指導者層から見る60年安保闘争(2)――知識人有志による『諸組織への要望』(1960年2月)を読む
[book] 今日はこのへんをひとつ。日付は1960年2月15日。 / 清水幾太郎ほか(1960)「諸組織への要望」in: 三一書房編集部編(1969)『資料戦後学生運動5 1959-1961』, 三一書房, pp.272-6 http://t.co/eK1eZlIG
2012-08-28 01:10:39[history][quote]「私たちの反対にもかかわらず、ついに日米新安保条約の調印が行われました〔1960年1月19日のこと〕」(ibid., p.272)
2012-08-28 01:13:42[history][quote]「発表された条約の条文を研究し、また、アメリカにおける岸首相一行の言動などを考えますと、私たちの当初からの疑惑と批判との正しかったことが、今更のように分ります」(ibid., p.272)
2012-08-28 01:14:14[history][quote]「しかし、調印は行なわれましたけれども、元来、調印は政府の一方的行為として可能であり、これに対して、批准は国民の見識と決意とを通して行わるべきものであります」(ibid., p.272-3)
2012-08-28 01:15:02[history][quote]「政府の仕事が終ったところから、国民の仕事は本当に始まるのでありまして、私たちの新安保条約反対運動は、今こそ本格的な段階に入るものと考えられます」(ibid., p.273)
2012-08-28 01:15:34[history][quote]「二 新安保条約反対の国民運動は、既に一年有余の歴史を持っております」(ibid., p.273)
2012-08-28 01:16:46[history][quote] 「数カ月前までは『警職法改正の問題とは違って、安保条約改定の問題は国民の間に滲透しない』という運動家たちの嘆きが示しておりました通り、この問題の比類ない重要性は、容易に一般国民の間に徹底しませんでした」(ibid., p.273)
2012-08-28 01:17:12[history][quote]「多くの団体ならびに個人の貴重な努力のお陰で、新安保条約の破滅的な意味が広汎な地域の、また、おびただしい職場の人たちの胸中に深く自覚されるようになったからであり、*条約反対の巨大なエネルギーが蓄えられるに至ったからであります」(ibid.)
2012-08-28 01:18:28[history][quote] 「多くの報道機関が、一方、この事件に烈しい非難を加えながらも、他方、新安保条約の内容ならびに岸首相の渡米に極めて批判的な態度をとっておりますのも、或る程度まで、こうしたエネルギーの増大に気づいている故でありましょう」(ibid., p.273f)
2012-08-28 01:19:39[history][quote]「この点を考えますと、私たちは、批准反対の闘争に勝利を収めて、新安保条約の成立を阻止し得るという明るい希望を感じることができるのであります」(ibid., p.274)
2012-08-28 01:20:10[history][quote]「三 しかし、率直にいって、現在、最も憂慮に堪えないのは、この広汎かつ強烈なエネルギーを有効に組織する政治的指導性が欠けているように見える点であります」(ibid., p.274)
2012-08-28 01:20:34[history][quote]「『国民の間に滲透しない』という段階は過ぎて、むしろ、『国民の間に滲透した』結果であるエネルギーを政党や組合を初めとする諸組織が高い地点において生かしきっていないところに、今日の深刻な問題があると思われます」(ibid., p.274)
2012-08-28 01:20:52[history][quote]「エネルギーと指導性との不幸なギャップは、さきに触れた『国会乱入』事件に対して諸組織が示した低い評価および収拾の方法において明らかであり、とりわけ、〔1960年〕1月16日の羽田への全国大衆行動の抑圧において明らかであります」(ibid.)
2012-08-28 01:21:31[history][quote]「有力な諸組織の指導部は、増大する全国民的エネルギーに向かって『……をするな』と説くことのみ多く、エネルギーに適合した方法で『……をしよう』と呼びかけてはいないようです」(ibid., p.274)
2012-08-28 01:21:49[history][quote]「そして、そこから生じた爆発的結果については、大切な味方である勢力に非難を浴びせるのみであって、かえって、広汎な戦線に分裂を招いているように思われます」(ibid., p.274f)
2012-08-28 01:22:29[history][quote]「このような状態が続いて行けば、新安保条約反対の全国民的エネルギーは、批准阻止に成功するどころか、空しく四散してしまうでありましょう」(ibid., p.275)
2012-08-28 01:22:45[history][quote]「以上のように考えますと、既に批准国会が開かれている現在、私たちの運動は極めて重大な地点に立っていると申さなければなりません」(ibid., p.275)
2012-08-28 01:23:12[history][quote]「夙に、多くの人には、このことを鋭く感じております。新安保条約反対運動が名誉ある成功を収めるか、恥多い挫折を余儀なくされるか、微妙な、しかし決定的な岐路に日本国民は立っているのであります」(ibid., p.275)
2012-08-28 01:24:03[history][quote]「『統一と団結』という言葉は、正に、今日のこの瞬間のためにあったものではないでしょうか」(ibid., p.275)
2012-08-28 01:24:54[history][quote] 「この地点に立って、私たちは、新安保条約に反対する多くの組織が、全国民的なエネルギーを剰〔あま〕すところなく吸いあげて、これを真に生かしきるような方向へ新しい一歩を踏み出してくれることを心から願うものであります」(ibid., p.275)
2012-08-28 01:25:51[history][quote] 阿部知二、家永三郎、石川達三、岡本清一、亀井勝一郎、木下半治、久野収、島恭彦、清水幾太郎、末川博、竹内好、恒藤恭、中野好夫、奈良本辰也、名和統一、前芝確三、務台理作 (アイウエオ順)(ibid., p.275f)〔肩書きは省略した―引用者〕
2012-08-28 01:27:43