思わず【いいね!】と言ってしまいたくなる夏休みの自由研究
――扇風機の音が、こぢんまりとした和室に響き渡ります。夏の別れを告げるかのような夕焼けと、ツクツクボウシの蝉時雨の中、一つのちゃぶ台を挟んで、真剣な顔のずん子とイタコ姉さまが、正座して向かい合っていました。
2012-08-29 16:02:57そうですわね……。ですが、これはもう決まったこと、すなわち、あたしとずんちゃんの運命ですわ。運命は避けられません。避けられないからこそ、あたしたちは努力をして、それを少しだけでもマシにしようとあがくのです(`・ω・´)
2012-08-29 16:04:36姉さまの言葉に、ずん子は気の利いた言葉を返すことが出来ません。二人の間に沈黙が流れ、再び、扇風機の音が部屋を支配します。真面目な顔のイタコ姉さまはそんな彼女を見て、固くなった場の雰囲気をほぐすように、くすりと笑いました。
2012-08-29 16:04:54イタコ姉さまはもう一度笑って、ちゃぶ台の中央に、右手の小指を突き出しました。彼女の意図を察したずん子も、それに応えるように、自分の小指を絡ませます。
2012-08-29 16:05:36夏の朝。お休みしてくれていた太陽が昇り始めると、空気があっという間に熱されます。八月暮日、ずん子は終わりつつある夏休みを懐かしみながら、扇風機に向かって喋っていました。
2012-08-29 16:09:02長く厳しい冬に備えるため、一般的に東北の学生の夏休みは短いのですが――全国から謎の力を持った少女が集まるずん子の高校は、八月末まで、お休みをもらえます。他の学生よりも一段と長い夏休みの影響もあいまって、油断しきった彼女の表情は、すっかり夏休みボケしてしまっていました。
2012-08-29 16:10:11ちゃぶ台の前には、暑そうな格好をしためたんが座っています。ずん子が扇風機を占領しているので、彼女の左手には、いつものドリル「ハイド」ではなく、うちわが握られていました。
2012-08-29 16:11:18『この財布であなたも開運! ~ボクがこんなにモテモテなんて、今までのボクは夢にも見ませんでした!~』と『1ヶ月で300万稼ぐ方法、これを読んだあなただけに教えます――ジャッジメントですの――』、どっちのタイトルにインパクトがあるかしら。
2012-08-29 16:11:36