こう読むー修士レベル化の中教審答申

修士レベル化を打ち出した8月28日の中教審答申のポイントについて、論点になるところや捉えづらいところを、自分なりにこう読むという連続ツイートのまとめ
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村山紀昭 @muranori7

修士レベル化に関する中教審答申全文がアップされています。http://t.co/5RBzvcyA 長い文章ですが、ぜひ原文に当たってお読み下さい。

2012-09-01 00:53:27
村山紀昭 @muranori7

修士レベル化に関する答申ですが、①採用前に修士が義務づけられ経済的負担が増える②大学に長くいさせても資質向上にならない③国立の教員養成系中心になり開放制が崩れる④総合大学や私大で教職志望が難しくなる④実習重視で専門知識が弱くなり専門学校化するなどの疑問を原文で吟味して下さい。

2012-08-30 19:23:04
村山紀昭 @muranori7

答申は修士レベル化だけを言っているわけではありません。現行の法定研修についても当面専修免単位にする、校内研修を重視する、研修プログラムについての大学と教委との共同、社会人など多様な人材の参入の促進、国公私の連携など広範に渡って提案が行われています。

2012-08-30 19:30:32
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル中教審答申)当面の改善策の提案と将来の3段階の免許制度の提案とがはっきりと分けられていることにご留意ください。3段階免許への免許法の全面改正はかなり先のことです。答申はその方向を修士レベル化と明言しつつ、それに向けてどういう課題があるかを論じています。

2012-08-30 19:40:06
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)まず当面の課題提案ですが、ポイントは現行制度でも現職が修士を取れるように教職大学院を拡充する(教科も含める)、総合大学の専修免許で一部実習を課すが中心で、学部についてはの研究授業への過度の傾斜を避けて日常学校ボランティアなどで子どもと触れるようにするなどです。

2012-08-30 20:10:04
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)同時に教育委員会からの現職派遣の増と各種研修の改善が提起されています。つまり免許法改正の前に実際に教師の資質を上げる方策の実施を提起しているのです。特に初任者研修の抜本改善が強調されています。学校が若手教師を育てる力が弱くなってきていることをふまえてのこと。

2012-08-30 20:16:26
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)しかし現職の派遣増も容易ではありません。穴を埋める教員の加配が不可欠ですし授業料の負担もあります(一部では大学と教委で授業料減免をやっていますが)。現職派遣増の成否は文科省からの財政支援次第でしょう。それと各教委の教員の資質向上への自覚と意欲。

2012-08-30 20:20:29
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化)学部卒については、経済的負担にも拘わらずより力を付けてから教壇に立ちたいという学生に、採用試験の一部免除などの措置が取られつつあります。しかしそれ以上に、長期インターンシップなどで学生が本当に力を付けたと実感できる修士コースの充実がもっと図られなければなりません。

2012-08-30 20:24:14
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)学卒者・現職教員双方について、改正前の最大の課題は、大学院レベルの高度さで資質を確実につけられる教育を具体的に作り上げることでしょう。これなしにただ免許法を変えても無意味です。この蓄積を基にして初めて3段階免許へ進むことができます。

2012-08-30 20:28:20
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)さてその上でいつ免許法を全面改正するか・・・これについて答申はまったく触れていません。先に述べた改善策の準備によるし、何よりも修士レベル化の受け皿がどう用意できるか難しいところがあるからです。もちろん政治的・財政的問題も大きい。少なくとも2,3年内は無理かも。

2012-08-30 20:33:51
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)大量退職時代が終わってからという見方もあるでしょうが、そこまで教師の資質問題待っていられるか。学校の教師育成機能の衰えや法定研修の効果の疑問は拭えません。私見ですが、修士レベル化を日本の教員養成の質の大改革のチャンスとして、できるだけ早期に実現した方がいい。

2012-08-30 20:37:59
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)では3段階免許実施の時はどうなるでしょうか。ポイントは学部=基礎免と修士=一般免、それと採用との関係です。ここを正確に見ないと、改正後は採用前に教師志望者全員修士まで行かなければならなくなるとだけ捉えられることになります。これは正確ではありません。

2012-08-30 20:43:34
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)新免許制度については次の2点にご留意下さい。①一般免許が「標準免許」で「当面は」学部の「基礎免も併せて創設する」が「早期に一般免許取得が期待される」となっていて(8~10P)、将来像としては一般免許が標準でそれなしには教師になれなくなるように書かれています。

2012-08-30 20:57:31
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)他方②基礎免が維持されている段階で、一般免許と基礎免と採用の関係について3つのパターンが記されています。1)一般取得後採用2)基礎免取得し「採用直後初任研と融合した修士の課程で」一般免取得3)基礎免取得採用後一定期間(7~8年?)のうちに一般免取得の3つです。

2012-08-30 21:04:49
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)この3パターンについて答申は「それぞれにメリット、デメリットがあり、地域の実情に応じて様々な試行が必要」としています。つまり①も②も確定化を避けているのです。ここがわかりづらいかもしれません。でもまずは①と②を区別して下さい。

2012-08-30 21:10:47
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)ここはこうとらえられるでしょう(あくまでも私見です)。将来の一般免標準は間違いなく想定されているが、それまでは学部=基礎免が維持されるわけで、その際学部卒で採用されその後修士=一般免取得の道が明記されているわけです。

2012-08-30 21:16:15
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)曖昧といえば曖昧ですが、一気に修士6年制による教員養成が現実的でないことをふまえた配慮とも言えましょう。この点の明確化を、資質向上への関係者や国民世論、さらには財政的見通しに託したと言ってもいいかもしれません。

2012-08-30 21:21:05
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)しかし「基礎免」が答申で否定されているわれではありません。基礎免がそれ自体修士レベル化と矛盾するものでもありません。実際問題としてそう簡単に学部での免許取得を完全に止めることなど簡単にできるわけありません。で、将来の「標準化」は別にしてまずは②で考えましょう。

2012-08-30 21:29:07
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)もし3段階免許に法改正された場合、大きくは学部から直接修士に進み専門や教職の力を十分付けてから採用試験を受け教師になるケースと、学部で試験を受け採用されて教師になりその後一般免許を取るの二つのケースが考えられます。

2012-08-30 21:33:54
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)この二つをただ並べた場合、お金と時間をかけて修士に行くより学部卒で教師になった方がいいと一般には思われるでしょう。ここは考えどころで、法改正後もあの3パターンが維持できるかどうかは問題が残る。ただ修士卒の方が確かに力がつき採用でも有利が明確であれば違ってくる。

2012-08-30 21:42:32
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)他方学部卒で採用後修士は経済的負担は軽減されるし、採用後10年近く経ってからだと教師としてのブラッシュアップで現行の現職派遣と同様なやり方で(福井方式の勤務しながらも十分ありうる)意義がある。ただそれでは学校の教師育て力の低下のもと新卒採用者はどうなるのか?

2012-08-30 21:49:49
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)先の2)「採用直後初任研と融合した修士課程」というのはこの点で意味がある。しかし初任段階で勤務しながら修士コースというのがイメージしづらい。担任を持たないにしてもアカデミックコースたりうるか?かつ大量の補充教員の必要が出てくる。これは教委サイドで決断できるか。

2012-08-30 21:54:33
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)難問だ。でも答申はそれも含めて「試行を重ねる必要」があるとしている。未知に属するチャレンジングな試みです。でもやってみる価値は大いにある。ただそれは国の全面バックアップなしには無理ではないか。コース設計は工夫と努力次第でできる。世界に類のない挑戦でもある。

2012-08-30 21:59:49
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)学校現場に即して、理論と実践の往還と自らの振り返りによる新しいタイプの高度専門職養成への挑戦です。一人で教室で子どもに面する教師にその位念入りな育ちを社会的に用意するのは無用だろうか?1週間前まで学生気分だった新人教師が4月1日から一人前の教師には無理がある。

2012-08-30 22:06:58
村山紀昭 @muranori7

(修士レベル化答申)法改正後の基礎免の維持について答申は確定的ではない。でも基礎免が維持される限り上述の初任段階での修士化の道を放棄すべきでないと、むしろ新たな挑戦課題にすべきと思います。3万人の新採教員にもう少し自信をもって教育に当たって貰いたい。

2012-08-30 22:11:23