ザナンの燃える赤い髪

診断メーカー 三題噺をつくるったー http://shindanmaker.com/49811 の結果と、フリーゲームElonaの登場人物ロイターを組み合わせた即興SS
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小路ビビ @vivivich

ロイターは「暗闇」、「髪」、「望み」を自由に組み合わせてお話を作りましょう #3daibanashi http://t.co/PdKg2kNb

2012-08-31 20:34:47
小路ビビ @vivivich

ロイターさんでなんか書く。タイムアタック、はっじまっるよー。

2012-08-31 20:35:05
小路ビビ @vivivich

いかん、やっぱり考え癖がついてるな。

2012-08-31 20:46:12
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS 「そこまで!」  朗々たる声が響き渡る。絢爛な本殿や離宮の壁さえ震わせる指示はその場にいた者すべてに直ちに行き渡り、響いていた男らの気迫のこもった声や剣戟の音は引き潮のごとく消え失せた。 「各自、武器の手入れを怠るな。解散!」

2012-08-31 20:54:27
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS 練兵場から兵士らが去っていくのを眺めながら、ロイターは汗を拭った。ザナンの紅血と字される赤い髪は、傾いた夕陽を受けて燃え上がるようだ。戦時でなくとも隊の訓練はぬかりなく行われていたが、ここ数日の訓練の激しさに兵士たちはどこと戦うのかと口々に噂した。

2012-08-31 21:00:27
小路ビビ @vivivich

ロイターさんって「俺」だっけ「私」だっけ

2012-08-31 21:10:02
物臭卿チヅカγ @atemoztli

@vivivich 冒頭のヴェセルとの会話では「俺」みたいです

2012-08-31 21:13:32
風切快夢 (:3)刀乙 @Caim_Kzkr

@vivivich 死亡ログは「俺が奴以外に~」となってますね。

2012-08-31 21:14:58
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS (パルミアか) 無人になった練兵場で、橙から藍色へと移り変わり始めた空を見やってロイターは呟いた。隊の精鋭だけを護衛に連れ、中立の大国に出向く。その真に意図するところは何なのか。 (俺の考えることではないか) 護衛隊長として与えられた一室に戻り、水を飲み干す。

2012-08-31 21:15:18
小路ビビ @vivivich

とんでもないミスをした。どうしよう。どうしようもないな。

2012-08-31 21:16:14
小路ビビ @vivivich

あ、これ今リアルタイムに考えながらアドリブで書いてます。挫折するかもね:P

2012-08-31 21:16:45
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS 乾ききった喉を潤し、身体を拭い、服を取り替えた。訓練の後は、パルミア行きの子細についてヴァリウスと話すことになっている。汗とホコリにまみれた服とタオルを女官に任せ、ロイターは部屋を出ようとするが、 「あの…」 女官が呼び止める。 「なんだ。急な用か」 「いえ…」

2012-08-31 21:26:26
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS 女官が目を伏せる。 「ヴァリウス卿を待たせてはことだ。行くぞ」 「…はい」 なおも何か言いたげな視線に訝しさを覚えつつも、ロイターは部屋を後にした。 ヴァリウスの部屋までやや距離があるが、その間にすれ違った他の女官らの様子もおかしいのにロイターは気がついた。

2012-08-31 21:31:52
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS ヴァリウスの部屋の前で小姓に取次を頼み、ほどなくして中へ通される。女官達の妙な様子は気になっていたが、小姓も宰相ヴァリウスにも変わった様子は見られず、気づかずに礼を失したことは無さそうだとロイターは内心、胸を撫で下ろした。

2012-08-31 21:34:58
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS ただの護衛とはいえ、二大国の戦争を日和見しつつ訓練ばかりの毎日で、任務は貴重だった。役を交代などということになれば、兵の信頼も損ね、居残りで訓練する日々に戻ってしまう。それはごめんだった。ヴァリウスとの会談は滞り無く済み、ロイターが部屋へ戻ろうとした、その時―

2012-08-31 21:39:04
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS 「ロイター」 呼び止めるヴァリウスの声にロイターは振り向いた。 「如何いたしました」 応えはない。ヴァリウスはただ黙ったまま、ロイターをじっと見つめている。美しく流れるような青い髪が灯りに照らされツヤツヤと輝く様は、それだけで一枚の絵画のようだった。

2012-08-31 21:41:47
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS やがて、ヴァリウスは一言だけ、ロイターにだけ聞こえるほど小さく、囁くように言った。 「気がついていますか、女官たちの視線に」 予想もしない一言に言葉はとっさに出なかったが、思い当たる節はある。その様子を見て、ヴァリウスは頷いた。 「まだ、望みはあるはずです」

2012-08-31 21:44:19
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS 「望み……?」 ヴァリウスの返事はなく、ロイターは首を傾げつつ部屋に戻っていった。その間にすれ違う中で、やはり女官だけが妙な視線で自分を見ている。 いったい何が起こっているのか。パルミアへ発つ日も近い。一切の問題は無くしておきたかった。

2012-08-31 21:48:11
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS ヴァリウスと話す間に日は暮れていた。自分に与えられた部屋に近づくごとに燭台の数は減り、辺りは暗くなっていく。宰相と護衛隊長では扱いも自然と違ってくる。 ふと、ロイターは自分の部屋まであと少しのところで足を止めた。窓の外の暗闇に、気配があった。

2012-09-02 09:20:01
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS 建物と建物の間の、ちょうど中庭になっているところだ。月の出る晩はザナンの貴い血筋のお歴々がくつろいでいることもあるが、今宵は雲に隠されて、窓から漏れる僅かな灯りが届くばかりだ。 (侵入者か?) ロイターは窓からそっと忍び出ると、植え込みに身を隠し様子を探った。

2012-08-31 22:00:07
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS 侵入者にしては気配を隠しきれていない。どうやら相手は一人だけ。手元に武器の類はないが、体術の心得はある上に、声を出せばいくらでも人を呼べる場所だ。不意を突いて拘束してしまえば良いだろう。植え込みの影からまた別の植え込みへ、気配の元へゆっくりと近づき……

2012-08-31 22:03:44
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS 「動くな」 背後から腕でがんじがらめにし、無駄な騒ぎを起こさぬよう、かつ相手を怯ませるよう、低く押し殺した声で恫喝する。 「んぐ!」 その相手の身体は細く、華奢で、柔らかく、まるで戦いなど知らぬ女のようだった。いや、 「……女?」 そのものだった。

2012-08-31 22:07:13
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS 暴れる様子もないと見て、ロイターは少し手を緩めた。 「あの、これは……げほっ……その、違うんです!」 聞き覚えのある声、ロイターの部屋で汚れた服とタオルを持っていった女官その人だった。 「違う?何がだ」 暗闇の中でも女官が手に何か持っているのがはっきりと見える。

2012-08-31 22:10:16
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS 白く、やや湿ったままの、汚れたタオルだ。 (なぜ、タオルだけを?) 疑問に思ったロイターは力なく抵抗する女官からタオルを奪い取ると、それを手に部屋へと向かった。この中庭は洗い物をする場所へも通じていたな、と思い出していた。 背後で女官が喚いている。

2012-08-31 22:16:05
小路ビビ @vivivich

@ElonaSS その声は、ダメです、ダメですと繰り返しているように聞こえた。 ともかく、部屋に戻ってタオルについて検分し、女官が何を企んでいるかを突き止めよう、とロイターは部屋に入り、後ろ手にドアを閉めた。 灯りの中で、タオルをまじまじと見つめると、そこには――

2012-08-31 22:18:55