てのひらを冷たい土で汚した少年は、澄んだ瞳で空を見上げた。あたりに散らばるのは遺物。孤独の味を舌先で転がして、少年は乾いて裂けた鉄を舐める。時が廻れば、この樹の下に眠らせた少女が、花になって会いに来てくれると。絶望に似た、祈りで。(夢羊、跳ねた)
2012-11-04 03:54:08空がグラデーションを描いて、まるで嘘めいた、その色彩は硝子製。「曖昧を食べ過ぎたら退屈になってしまうよ」語るのは獏。衣擦れの音を引き連れて、指先で角砂糖をほぐす。覚束ない足取りが支えていた、淡い微睡みに恋をしたのは誰。君にはおやすみのキスをしなくてはね。夢羊が跳ねてゆく4時。
2012-11-06 04:06:25甘やかに華やかな香りに誘われて森の奥へおいで。秘密の園へおいで。バターたっぷりのクッキー、宝石のような果実で飾りつけたタルト、とっておきの葉で淹れた紅茶、好きなものをたくさん集めた。かわりに。かわりにひとつお願いだ。どうかどうか、「僕」を君の中から消さないで。(夢羊、跳ねた)
2012-11-09 03:03:14打ち捨てられた、青い鳥をおさめた籠に、そっと傘を差しかける。「幸せなんて来なかった、」悲痛に濡れた背中を見送った後に。黒スグリの瞳がくるりと見つめてくる。「あなたは悪くない」扉を開け放つ。虹が出るのを一緒に待とう。「いつだって、掛けられる願いが重過ぎるだけだから」(夢羊、跳ねた)
2012-11-10 01:11:00糸車が回る。織り込むのは春の微睡み、夏の憂鬱、秋の感傷、冬の吐息。花々も飾りつけながら。陽射しがやわく透ける窓、そよりと風に運ばれた香りは「内緒だよ」と約束を囁く。盲いた少女が唄うのは淡い思い出。声失った少年が綴るのは遠い記憶。つなぐ為の糸、誰と、何を、何処に。(夢羊、跳ねた)
2012-11-13 03:11:03古びた時計台を眺める、小さな詩人は一人ブランコに乗って。『あの鐘が鳴るときには、』姉がそっと耳打ちした秘密。信じた弟は澄んだ瞳で。手元には一冊のスケッチブック、色鉛筆が何本か。まだかなぁ、と呟いた。『天使が休みに来るのよ』祈りを届かせてくれる歌を教わりたかった。(夢羊、跳ねた)
2012-11-14 02:09:55フォロワーさんと遊んでみたくて。
夢羊派遣はイメージポエムとは違いますので悪しからず…(今更) イメージを形作るには少々時間がいるので。昼間に派遣して白昼夢になるかも知れませんが、ゆるりとお待ちいただければ幸い。
2012-11-15 00:29:42ねぇ、そろそろ溶けてしまう。笑った顔は一瞬しか見えなくて、冷たい朝の陽光がさらっていってしまった。直前、ふわりと頬にふれた気がしたのに。床で砕けたグラス、炭酸水の泡がぱちぱちと消えていくように、まるで実感もないあの日に。(夢羊、跳ねた)
2012-11-15 02:23:42伸びてゆく。重なる。見失う、よく似た形。遠くの祭囃子。回る風車の気配。こんな黄昏刻にはよく逃げる。(見つけてごらん)心許ない足元と、くすくす笑い声。「かくれんぼなら負けないよ」さぁ遊ぼうか、 (羊跳ねる、影の夢 @KnowsKiss)
2012-11-15 18:34:37狭間をゆらゆらり。耳にしたのはきらきらと降りそそぐ音。ブランケットの中から眺める、とりどりの星屑砂糖菓子。掬いあげた手、あふれるのは空の落とし物。舌の上でほろりしゃりり、ああ、傘は何処だっけ。(羊跳ねる、星のあめの夢 @xx__moon)
2012-11-15 18:42:32三拍子。誘われてくるの、心まで揺らして。耳馴染むメロディ。琥珀色、落とした角砂糖、溶けてゆく呼吸、やわらかな香り。妖精との待ち合わせの時刻はもうすぐ。素敵なお茶会を準備しましょう。(羊跳ねる、音楽と紅茶の夢 @ty_aoi)
2012-11-15 18:47:44瞬きを繰り返して、眩しさに目を細め。雪、違う。それは、星。硝子球儀の中、ここはスタードーム。照らす、世界で唯一の顔をする光。反射して煌めいて、ああ、私の庭を壊さないで。絶望にも似た、今は。(羊跳ねる、星の朝の夢 @ki_mi_ni)
2012-11-15 18:57:18見上げた偶像。色硝子で映したのは誰のこと。その瞳は何を見ているの。ぱきん。踏み砕いた、ひび割れた、棺に納めるのは硬質な少女の寝顔。揃いのペンダントは失くしたの? 阻む静謐に透かされて、少年は膝をつく。(羊跳ねる、硝子の夢 @s_shumu)
2012-11-15 19:08:32ふわり、夜色のケープを纏って飛ぶ。散りばめられた鉱石をそっと小瓶に入れて。持ち帰って部屋を飾る。ねぇそんなに急がないで。流れるその背にひらりと乗って、一緒に。予定変更、あなたをおどかしに行こう。(羊跳ねる、星屑と流れ星の夢 @kino_box)
2012-11-15 19:20:44揺らめく視界と感覚を失くす指先。絶え間なく浮かんでいく泡沫に連れ去られていく。恋を失くして消えたお姫様に憧れて、そう、憧れのままで。「――、」こぽ、り。声になれなかった想いひとつ、この泡に託して。(羊跳ねる、泡の夢 @masago_a)
2012-11-15 19:30:23小さな望遠鏡を覗きこんで探し物。背中合わせの鼓動に紛れて願い事を隠す。「あの星座の名前」「知らないよ」「じゃあ作ろう」星屑を繋ぐ指を追う、二人の合言葉にする。星の雨が降ったって、今だったら許すよ。(羊跳ねる、星屑の夢 @hmxxx_)
2012-11-15 19:43:29潮騒の中に君の声を聞いた気がした。空から月が落ちてくれば、もう一度会えるかも知れない。遊泳禁止区域、深夜迷子警報。足を浸してゆく、青く黒い、さざめき、さらわれて。とぷり。酸素はすべてあげるから、もう還らせて。(羊跳ねる、夜の海の夢 @mt_ly)
2012-11-15 21:09:29深い夜の遊園地。忘れられた廃墟の色。もう音楽は鳴らない。もう電気装飾はされない。白いワンピース、秘密の待ち合わせ。木馬の上で待つの。12時の鐘が鳴る頃、迎えに来てね。硝子の靴はいらないから、ふわりと、笑って?(羊跳ねる、木馬の夢 @_____72X)
2012-11-15 21:15:16そっと握ったてのひら。少年と少女は泣きそうに微笑う。こんな温度では凍えてしまうかな。うん、でも、あたたかいよ。額をあわせて、同じ歌を紡ぐ。心音とともに融けてゆく温もり。重なるとき、寄り添い続ける彼らを月が静かに見ている。(羊跳ねる、温度の夢 @ps_plum)
2012-11-15 21:23:32指で四角く切り取った空。見失った約束を探して、届きはしないかと口笛を高く。『雪が降る前に、君に、』かじかむ身体を小さくして、さくさくと足音を聞く。幾度めかを数えた季節。白い空は、素知らぬふりで小指を引き離している。(羊跳ねる、冬の空の夢 @w_t_r_00)
2012-11-15 21:33:01ケトルの音が響く。甘いカフェオレに恋をしたから。足元をすり抜ける猫が、私にはミルクを、と鳴く。ふたりぼっちに雨の音が訪ねてきたから、オルゴールの発条を回す。けれど、そろそろぬいぐるみが起き出す時間になる。(羊跳ねる、眠れない夜の夢 @am_gappa)
2012-11-15 21:39:42カルナバルを告げる鳥が夕暮れの空を渡る。洋燈がゆらゆら、弾ける笑い声。ポケットに忍ばせた宝物。秘密基地へふたり。結晶を摸した砂糖菓子を分けあう。囁くような内緒話、ふれたのは甘い甘い紅。いつしか大人びた横顔。(羊跳ねる、氷砂糖の夢 @hasmkai)
2012-11-15 21:49:34