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なぜ僕らは、映画『桐島、部活やめるってよ』に共感できるのかー「想像の共通体験」としての学校

映画『桐島、部活やめるってよ』のレビューです。 この映画に共感する人は上は40代から下は現役の10代までサブカル系を中心に幅広くいます。受けてきた教育、過ごした学校環境は人それぞれなのに、なんで映画『桐島』に過去の自分を重ね合わせるのだろう。共有されている「何か」があるんじゃないだろうか。
桐島、部活やめるってよ 映画
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YANA1945 @YANA1945
映画「桐島、部活やめるってよ」をどのようにレビューするか。自分が学校生活で体験したスクールカーストのエピソードと重ね合わせ、共感できる/できない、の二項対立でのみ語ってしまうのは、この映画の魅力をとらえきれていない。
YANA1945 @YANA1945
映画「桐島」が面白いのは、学校という場のリアリティが表現されているから。この映画にハマった人はみな登場人物の誰かと自分を重ね合わせている。青春を謳歌する「桐島」側ではなく、苦しい10代後半を送る「映画部」の側から学校生活を思い出す。
YANA1945 @YANA1945
この映画の監督である吉田大八氏は鹿児島県にある男子高ラ・サール高校出身だ。東大合格ランキング常連のエリート高校。しかし映画の舞台は、共学の、全国クラスのエリート校でもなく荒れた底辺校でもない、普通の(設定は公立の)高校だ。
YANA1945 @YANA1945
エリートな高校生活を送った吉田監督が(おそらくクイズ研究会が活躍しているような有名校では、文化部はこの映画の前田映画部長ほど迫害されていないと思う)作った映画に、満たされない想いをした「普通の人」たちが感動するのか。
YANA1945 @YANA1945
その謎はこの映画の構造にヒントがある。この映画に出てくる登場人物はみな類型的なリア充/オタクだ。見た目と性格が一致し、それぞれが既存のリア充像/オタク像を侵さない。アニメのキャラデザインで性格まで分かってしまうのと一緒。
YANA1945 @YANA1945
そして、部活をやめたらしい桐島をとりまく物語も、前田映画部長の屈折ぶりも、それ単体だと既視感のあるものだろう。
YANA1945 @YANA1945
(リア充な青春として『ウォーターボーイズ』を思い出すのは簡単だし、マニアックな映画の上映で意中の女子と出会うのは大槻ケンジ『グミ・チョコレート・パイン』そのまんまだ)
YANA1945 @YANA1945
実際の学校では、同時進行的いろんな奴いろんなことに挑戦していろいろと悩んでいる。男子シンクロも俳句甲子園もモテない男子のバンド活動もみんな日本の学校内での物語。
YANA1945 @YANA1945
『ウォーターボーイズ』『恋は五・七・五!』『グミ・チョコレート・パイン』も日本の学校でのひとつのグループのひとつの物語を取り上げて映画にしたものだ。
YANA1945 @YANA1945
それら学校で起きている物語を俯瞰的にひとつの映画のなかに押し込んだ作品、それが『桐島、部活やめるってよ』なのである。
YANA1945 @YANA1945
だから映画『桐島』は今まで日本で描かれてきた「学校」という物語の地図になっている。この映画を見て感動するのは、グーグルマップで自分の家を見つけて感動しているのと同じ。感じるポイントは違っても、皆に共有されている何かがある。
YANA1945 @YANA1945
なにが共有されているのか。それは「共通体験としての学校」である。もちろんそれはフィクションでしかない。学校体験は人それぞれ。受ける教育環境が違えばまるで違ってくる。
YANA1945 @YANA1945
「共通体験としての学校」を構成しているのは何か。それは物語である。マンガやアニメ、映画、ドラマで幾度となく描かれる学校についての物語。自分が実際に受けた教育とは関係なく、「学校についての物語」の受容体験じたいは世代が同じなら共有されているはずだ。
YANA1945 @YANA1945
だから映画「桐島」に共感できるかどうかに鑑賞者の履歴書は関係ない。男子校か共学か、エリートかDQNか、どうでもいい。それよりも今までに何を見、読み、聴いてきたか、どんな物語を受容してきたのか共感を決定する。
YANA1945 @YANA1945
第二次世界大戦での日本。あの戦争と同じ構造をしている。戦後、半世紀以上が立ち、戦争を体験した日本国民はもうほとんどいない。戦後生まれが社会の中心であるのに、あの戦争は日本人の共通体験として共有されている。
YANA1945 @YANA1945
なぜ自分自身には何の関係もない歴史問題にムキになる日本人が多いのか。戦争についての物語が共有されているからだろう。物語を通じて、僕たちはあの戦争を体験している。たえず反復しながら。
YANA1945 @YANA1945
映画『桐島』。これに自分を重ね涙する君。君の涙はもうすでに他の物語で流されたものなんだ。繰り返しているだけなんだ。物語として共有されたイデアとしての学校(もちろんこの世には存在しない)。実はリアルはここにはないと思う。

コメント

障害者雇用の働き方 @YANA1945 2012年9月3日
映画批評だよ。見てねー!
小林拓矢 @kobayashitakuya 2012年9月3日
やな夫さんには紙媒体デビューしてほしい、と思うことが時々。
障害者雇用の働き方 @YANA1945 2012年9月3日
タイトル変えたよ〜!読んで〜!
🌸少年ブレンダ🌸 @hibari_to_sora 2012年9月4日
「共通体験としての学校」って「ラノベにとっての学園」とかにも通じるような。映画は見てないのだけど、映画評を読んでそう思いました。
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