伝統地場産業と同業者町の形成(京のまちづくり史セミナー)

2012年9月3日に京都市景観・まちづくりセンターで行われた京のまちづくり史セミナーの内容。 成美大学経営情報学部の滋野浩毅准教授によるお話をまとめました。
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Yasugi Naoya @nyyas

京都市景観・まちづくりセンターなう。19時から「京のまちづくり史セミナー 伝統地場産業と同業者の形成」講師:滋野浩毅氏(成美大学准教授) @seishindo11 伝統産業の現状から地域の産業集積の理論、様々な取組事例についてお話を伺います。 #mono0903

2012-09-03 19:04:09
Yasugi Naoya @nyyas

滋野氏の自己紹介。大学卒業後は室町で6年弱ほど勤めた。バブル崩壊直後で和装業界は右肩下がりを実感。単なる企業が減っただけでなく、地域文化が失われていくことを危惧し、「伝統産業とまちづくり」について研究を始めた。98年に任意団体「京都ものづくり塾」を立ち上げた。 #mono0903

2012-09-03 19:08:13
Yasugi Naoya @nyyas

アジェンダ。京都の伝統産業の現状/京都の伝統産業産地の特徴/伝統産業に係る法律、府・市の条例や施策/京都における伝統産業産地の推移/地域の(産業)集積に係る理論と学説/京都の伝統産業産地における取組事例。テーマ:伝統産業がもたらすものは経済的価値だけなのか #mono0903

2012-09-03 19:16:40
Yasugi Naoya @nyyas

西陣織の企業数は1978年以降約3分の1、従業者数4分の1。総出荷額はバブル期に伸びているが、単価の上昇によるもの。京友禅生産数量は昭和46年から30年間でやく5%に減少。2000年以降の京焼・清水焼の事業所数や従業者数等も約20%減。 #mono0903

2012-09-03 19:21:36
Yasugi Naoya @nyyas

西陣織の制作は22の工程に大変複雑に分業している。織屋を中心に糸染業、図案、紋意匠、綜絖等専門家がいる。出機(でばた)は京都の外の工場にアウトソーシングしている。京友禅も図案制作や糊置、糸染等30ほど。京焼・清水焼、京仏壇工程についても分業化されている。 #mono0903

2012-09-03 19:26:26
Yasugi Naoya @nyyas

京都における伝統産業産地の約40年間の推移。西陣織は元西陣学区を事例に。1965年以降の人口は約3分の2。最近10年ほどで人口、世帯数ともに約20%増加。世帯あたりの人数は減少。繊維工業事業所数は、約6分の1に大幅減少。地域内での繊維工業の比率は高い。 #mono0903

2012-09-03 19:35:33
Yasugi Naoya @nyyas

元西陣学区における工業従業者数も1960年から2005年までに約6分の1に減少。他方、商業事業所数は1980年頃にピークを迎え、2005年までに約半減。 #mono0903

2012-09-03 19:38:31
Yasugi Naoya @nyyas

中京区元本能学区は京友禅等の産地。人口は1965年から1995年まで3分の2に減少。その後、マンション建設が進み、人口流入。2005年には1965年とほぼ同数。世帯数はかつてなく増加し、1965年の2倍以上。他方、工業事業所数は、約4分の1に大幅減少。 #mono0903

2012-09-03 19:42:40
Yasugi Naoya @nyyas

元本能学区における工業従事者数は約5分の1。卸売の事業所比率が高い。 #mono0903

2012-09-03 19:46:13
Yasugi Naoya @nyyas

元修道学区は清水焼の産地。人口、工業事業所数も同様に大幅減少。元西陣、元本能学区に比べて地場産業への従事者比率は低い。また、小売店舗が多いことが特徴。植柳学区における京仏壇もほぼ同傾向。 #mono0903

2012-09-03 19:53:19
Yasugi Naoya @nyyas

伝統産業がもたらすのは経済的価値だけか。「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」公布(1974)。昭和40年代、高度経済成長を経て、公害問題、都市問題、また大量消費社会の反省に立った伝統的なものへの回帰、手仕事への興味、本物指向を意識し始めていた。 #mono0903

2012-09-03 19:58:42
Yasugi Naoya @nyyas

伝産法における伝統産業の要件としては、(1)日常生活で使用(2)製造工程の主要部分が手工芸(3)伝統的技術・技法による製造(4)伝統的原材料の使用(5)地域において少なくないものがその製造を行うことが挙げられる。つまり地域集積が崩れると定義から外れる。 #mono0903

2012-09-03 20:01:33
Yasugi Naoya @nyyas

京都府伝統と文化のものづくり産業振興条例、京都市伝統産業活性化推進条例がいずれも平成17年に制定。府・市それぞれが伝統工芸品を定義し、振興を図っている。市では平成24年3月から第2期京都市伝統産業活性化推進計画が推められている。 #mono0903

2012-09-03 20:06:03
Yasugi Naoya @nyyas

市の推進計画では、活性化の側面として経済的価値の他、文化的価値についても言及。計画の基本理念として、価値や魅力の発信、日本独自の伝統文化の継承と文化の想像を謳っている。 #mono0903

2012-09-03 20:08:32
Yasugi Naoya @nyyas

イギリスの経済学者あるフレット・マーシャルは産業集積論において、地域化された産業は、熟練技術の継承、補助産業の発達、高価な機械の経済的利用、熟練技術の市場形成の結果、それが外部経済をメリットとしてもたらすとした。 #mono0903

2012-09-03 20:11:24
Yasugi Naoya @nyyas

また、マーシャルは職人や技術者等が集積することによって、「産業的雰囲気」をもたらすとした。特定産業地域内のコミュニケーションにおいて、その特定産業が特性に関連した知識や行動パターンや思考方法が、その発展を継続させる。 #mono0903

2012-09-03 20:16:00
Yasugi Naoya @nyyas

ジェーン・ジェイコブズによる「都市の多様性を生み出す条件」、マイケル・ポーターの「クラスター理論」、M・J・ピオリとC・F・セーブルによる「第二の産業分水嶺」、リチャード・フロリダによるクリエイティブ資本論。伝統産業の文化的価値を考える上で適用可能な理論では。 #mono0903

2012-09-03 20:22:38
Yasugi Naoya @nyyas

ピオリとセーブルは、柔軟な専門家が生まれコミュニティ的結びつきが強く影響するとしている。リチャードフロリダはクリエイティブな人たちは職場の所在地や住みたいと思う場所を選ぶ。その要素として美的感覚、人に出会える場所、文化に出会える場所、開放的な場所等を挙げている #mono0903

2012-09-03 20:30:09
Yasugi Naoya @nyyas

元西陣、元本能、植柳学区では、それぞれ地域の産業を活かした行事が行われ、文化的な価値を発信している。各地域の持つ景観形成、まちづくり、イノベーションに寄与するであろう。 #mono0903

2012-09-03 20:35:41
Yasugi Naoya @nyyas

今後の課題として、(1)集積のもたらす「文化的価値」について(2)地域コミュニティにおける経済活動とまちづくりの関係性について(3)伝統産業のイノベーションについてそれぞれ更に深く考察する必要がある。 #mono0903

2012-09-03 20:42:27