茂木健一郎: 『主権国家が核の文化を手放すことは期待できない。人類が、一度手にした道具を放棄した事例はない』

(2012年9月3日、茂木健一郎氏・連続ツイート第704回「主権国家と、核の現実」)
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まとめ memo: 原発をめぐるコトバと合意形成と… 「純然たる統計的事実」ってどうよ…とは思いつつも 1564 pv 4 2
まとめ 茂木健一郎: “それでもなお、私は、原発を維持することが国のエネルギー安全保障上必要である、と判断します” 茂木氏曰く…「このように、原発にまつわる「不都合が真実」は枚挙にいとまがありませんが、それでもなお、私は、原発を維持することが国のエネルギー安全保障上必要である、と判断します。太陽光や風力だけでは解決しません。人間が地上に生きるということは、すさまじいことですね。」 https://twitter.com/#!/kenichiromogi/status/200435123978641409 20067 pv 93 353
まとめ 茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第657回「たかが電気と言われることが、電力会社の人の誇.. 脳科学者・茂木健一郎さんの7月17日の連続ツイート。 本日は、昨日の気になるニュースについて。 12848 pv 164 4 users 83
切り取り線 @kiri_tori

✄------------ 9/3(月) ------------✄

2012-09-03 00:00:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-09-03 06:27:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第704回をお送りします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、このところ考えていたこと。

2012-09-03 06:47:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

しか(1)東日本大震災で起こった福島第一原発事故は、日本の社会に大きな影を投げかけている。脱原発を唱える人たちと、原発を容認する人たちの間で意見の対立があり、感情的なぶつかり合いにも。故郷の町に帰れない方々がいるなど、甚大な影響を与えた原発事故。その周辺問題について考えたい。

2012-09-03 06:49:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

しか(2)人類が原子力の理論的可能性に出会ったのは、アインシュタインのE=mc2においてである。そして、質量欠損の現象が発見されるに至って、現実的な道筋が見えた。第二次大戦中、そのアインシュタインが、ナチスドイツが先に原爆を開発することを懸念して、大統領に書簡を送った。

2012-09-03 06:52:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

しか(3)マンハッタン計画によってつくられた原爆は広島、長崎に投下され、一瞬にして何万人もの命が失われた。アメリカは、現在に至るまでもなお、原爆投下は戦争終結のために必要だった、という論理を放棄していない。その後の冷戦の中で、ミサイルを含めた核兵器の開発競争が進んだ。

2012-09-03 06:54:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

しか(4)冷戦時代、アメリカとソ連の間では、お互いにもし攻撃があれば相手を殲滅させるという相互確証破壊(Mutually Assured Destruction, 略称MAD)が戦略として議論された。人類の文明を何度も絶滅させるだけの力で対峙することで、かりそめの平和が保たれた。

2012-09-03 06:56:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

しか(5)ベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終結した今でも、アメリカ、ロシアの二大国は大量の核兵器、ミサイルを蓄積、運用している。相互確証破壊(MAD)は緊迫度こそ薄れたものの、核兵器の存在を正当化するロジックとして有効性を失っていない。中国がMADに加わる可能性も取りざたされている。

2012-09-03 06:59:10
茂木健一郎 @kenichiromogi

しか(6)チャップリンは、映画『殺人狂時代』で、一人を殺せば殺人者だが、何万人も殺せば英雄だと述べた。広島、長崎への原爆投下の背後にあるのは、英雄をつくりだす主権国家。ホッブズが述べたように、国家は社会契約を通してリヴァイアサンとなるが、核の文化と結びついた時に凶暴性が増す。

2012-09-03 07:00:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

しか(7)原子力発電所の問題は、人類が手にしてしまった「核の文化」の一部分である。第二次大戦は、そのまま、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の戦勝国のみが核兵器を持つという構造に引き継がれ、イスラエル、北朝鮮、インド、パキスタン、そしてイランと核の拡散も止まらない。

2012-09-03 07:02:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

しか(8)懸念されるのは、核兵器に関するブラック・スワン・イベントである。従来は、相互確証破壊の下、大国の責任ある政府が管理するという前提に、核兵器の偶発的爆発が抑止されてきた。しかし、どんな管理システムにも脆弱性がある。テロリストが核兵器を手に入れる可能性も否定できない。

2012-09-03 07:04:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

しか(9)国家の主権が核の文化と結びついた時に、さまざまな事象が起こる。日本では、原発を減らすないしはなくすことが実現するかもしれないが、世界的に見れば、主権国家が核の文化を手放すことは期待できない。人類が、一度手にした道具を放棄した事例はない。私たちは核の現実の中に生きている。

2012-09-03 07:07:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第704回「主権国家と、核の現実」でした。なお、このテーマとそれに関連した諸点については、9月発売の「新潮45」の連載「日本八策」第八回において、「原子の倫理」(nuclear ethics)というタイトルの下に、論じます。

2012-09-03 07:16:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

なる。@curatorshinya 要は敵対概念なのかと。自らの生命を守る為に必要だった家族や部族といった敵対概念がネーションにまで拡大して、核の時代の到来とグローバル化以降、その敵対概念を生み出すネーションの存在が、自らの生命を脅かす存在になってしまったのだと思います。

2012-09-03 18:56:47