2012年9月4日、深夜から朝にかけての笠井潔さんのツイートまとめ
- Barbirolli
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戦後日本人の「二度と戦争はゴメンだ」という根深い厭戦気分が、空想的な9条平和主義を支えてきたことは疑いない。英米仏はともかく、ドイツとソ連は第二次大戦で日本以上の戦死者(行方不明者を含む)を出しているし、なにしろ本国が戦場になったわけだから、悲惨な戦争体験は日本よりも上のはずだ。
2012-09-04 02:36:20にもかかわらず、第二次大戦後の東西ドイツやソ連に、日本のような大衆的厭戦気分はの広がりは見られない。いったどうしてなのか。答えは簡単。ヨーロッパ諸国は第一次大戦で700万という戦死者を出した。その結果、戦後日本と同じような厭戦気分が、とりわけ戦勝国の英仏に広まった。
2012-09-04 02:38:57最悪の平和でも戦争よりはマシだという厭戦気分によって、英仏はナチス・ドイツの好戦的姿勢を前にずるずると妥協を重ねていく。その最後の山場がミュンヘン会談で、ドイツのズデーテン併合を認めれば戦争は回避できると、ダラディエおよびチェンバレンは判断する。
2012-09-04 02:43:11ミュンヘン会談に際しての「平和か戦争か」をめぐる大衆的緊張感は、サルトルの『猶予』などを読むとよくわかる。サルトルはもちろん、戦闘的サンディカリストだったシモーヌ・ヴェイユさえ、最悪の平和でも戦争よりはマシだと考え、会談の結果を見守っていた。
2012-09-04 02:46:56大戦間に模索された戦争防止策、国際連盟やパリ不戦条約なども、同じ大衆的厭戦気分を背景としていた。しかし、それでも第二の世界大戦は起きた。ナチス・ドイツにいっさい妥協しないで、はじめから戦っていれば、第二次大戦の被害もあれほど大きくはならなかったろう。
2012-09-04 02:50:15たんなる厭戦気分は無力であり、むしろ戦争の被害を拡大するという「反省」が、第二次大戦後のヨーロッパ諸国では常識となる。しかし第一次大戦を通過していない日本は、第二次大戦後に大戦間のヨーロッパ諸国と同じような厭戦気分が瀰漫した。
2012-09-04 02:52:34しかし従軍体験者が平均寿命を超え、疎開世代でさえ70歳を超えた現在、第二次大戦の被害体験を背景とする大衆的厭戦気分の根は枯れようとしている。さて、9条平和主義者はどうするのか。
2012-09-04 03:03:26大江健三郎に代表されるような、古典的9条平和主義とは一味違うはずの論者も、なんだかヘンなことをいっている。9条をめぐる解釈改憲が大衆(とりわけ若い世代)の声なら、それは仕方ない、どんどん「汚れて」いく9条を引き受け続けることしか、9条の理想は守れないというのが加藤典洋。
2012-09-04 03:10:33互酬論からして、日本が軍備全廃という「平和」の贈与をすれば、先方もかならず「平和」の反対贈与をするはずだというのが柄谷行人。どっちもどっちではないだろうか。
2012-09-04 03:13:45リベラル派論者の最大公約数は、日米安保の比重を減らしながら、東アジアの国際安全保障体制を多方面的に構築するというところだろう。論旨がより精密か、大雑把かの違いがあるだけで、鳩山由紀夫と似たようなところだ。
2012-09-04 03:17:42とりあえず、この方向しかないにしても、そのためには日本の軍事的自立と海空の軍備強化は避けられない。防衛のための陸上兵力は、スイスの例を学んだ市民軍に置き換える。陸上兵力を海外派兵することはないのだから、それで充分。一家に一台RPG、一人一挺アサルトライフルである。
2012-09-04 03:30:30占領軍兵士1人を殺すため、日本人が10人死んでもいいという、かつて中国やヴェトナムで、いまアフガンで続いているような徹底抗戦をわれわれが決意するなら、どんな外国軍隊でも撃退できる。
2012-09-04 03:37:01もちろん外国軍隊の侵攻は最悪のケースで、そこまでいかないように手を尽くすべきだが、最悪のケースを想定して準備しなければならない。物理的な準備以上に、精神的準備が必要だ。
2012-09-04 03:39:59ところで最悪のケースの場合、突撃銃を振りまわすには歳をとりすぎている石原慎太郎は、老人用に支給される爆弾ベルトを巻いて、占領軍兵士を巻き添えに自爆する決意はあるのだろうか。そこまで考えているとは、どうしても思えないのだが。
2012-09-04 03:41:52中国軍との全面衝突の場合は、本土上陸以前に考慮しなければならないことが多々ある。アメリカの軍事専門家が、尖閣軍事衝突では日本の方が有利だと分析している。制空権の問題を度外視しているので、信用できないところもあるが、この判断が妥当だとしよう。
2012-09-04 03:46:57たとえ局地戦闘で中国軍を撃退できたとしても、それで終わりではない。そこまで事態が侵攻すれば、どんなことをしても中国は日本を潰しにかかる。レアメタル禁輸どころではすまない。中国にある日本資産の凍結、没収。日本は中国市場を失うばかりか、莫大な国富を奪われる。
2012-09-04 03:51:50企業倒産は相次ぎ、失業者は巷に溢れ、経済的に焼け野原になった日本が、それでもまだ屈服しなければ、中国は再強化した空陸兵力を動員して再度の軍事攻撃をはかる。
2012-09-04 03:54:18経済戦争だけではない。日本を大混乱に陥れるため、サイバー戦争もしかけてくるだろう。この点で日本が、国際水準以下的に脆弱なのは周知の事実だ。日米安保が維持されている限り、尖閣はともかく日本本土への軍事攻撃があればアメリカも動かざるをえない。
2012-09-04 03:58:22だから、中国軍の本土上陸は最悪のケースだ。としても、最悪のケースを想定して、そうならないように手を打ち続けるべきだし、すべてが裏目に出て、そうなったときもなんとかできるように、あらかじめ準備しておかなければならない。
2012-09-04 04:00:33戦力の逐次投入がガダルカナル戦の敗因だと、戦史家はいう。しかし日本の敗因は、戦力でなく「決意」の逐次投入だ。南太平洋で負けたから絶対国防圏、絶対国防圏を破られたからレイテ決戦、沖縄決戦、最後は本土決戦……。
2012-09-04 04:07:24本土決戦にも敗れたあと、どうするのか。パルチザン戦争で抵抗を続けるしかないのだが、なにも考えていない。これが「決意」の逐次投入。ようするに泥縄式で、その場しのぎなのだ。考えたくないことは考えない、考えてなくてもなんとかなる。みんなで一緒に頑張れば、なんとかなる。
2012-09-04 04:10:22これが8・15に、そして3・11に帰結したニッポン・イデオロギーだ。しかし、なんともならないまま大破局にいたる必然性は、繰り返し事実によって証明されている。このことは『8・15と3・11』で詳しく書いた。
2012-09-04 04:16:06尖閣問題で次にどういう手を打つかの判断は、先に書いたようなもろもろをすべて厳密に考慮し、最悪のケースを想定し決意した上でなされなければならない。
2012-09-04 04:20:06それなしに、中国に「ほえ面かかせる」とか口走っている慎太郎に乗せられ、後先の考えもなく対中強硬姿勢を景気よく唱えるような者こそが、亡国の徒である。
2012-09-04 04:20:24