茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第709回「韓流ドラマと、テレビのガラパゴスな関係」
- toshihiro36
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連続ツイート第709回をお送りします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、今朝「ああ、そうか」と思ったことについて。
2012-09-08 09:13:36はて(1)私は時々ツイッターのつぶやきで「炎上」事件を起こす。京都大学の入試カンニング事件の時も大変だったが、一番凄かったのは、韓流ドラマの問題だった。フジテレビが韓流ドラマをやりすぎている、という話題が出たとき、「グローバル化だし、別にいいじゃん」とつぶやいて、大炎上した。
2012-09-08 09:15:26はて(2)あの時は、夜酔っ払って帰ってきて、韓流ドラマのことでツイッターが盛り上がっているのを見て、「別に韓流ドラマやってもいいじゃん」とつぶやいて、そのまま寝ちまって、朝起きたら、TLが大変なことになっていた。数百くらいの@メンション。収束するのに、2週間くらいかかった。
2012-09-08 09:16:38はて(3)今日、フジテレビが韓流ドラマの放送予定がない、との発表があったり、新聞にもBS日テレが韓流ドラマの削減検討とあり、時の流れを感じる。もともと私は韓流ドラマってほとんど見たことがないが、市場の構造や、時代の空気というのはこのようにして変わっていくのだろう。
2012-09-08 09:19:10はて(3)ところで、韓流ドラマ問題で私のツイッターが炎上した時もそうだったし、今もそうだが、私には、なぜ、テレビ局が韓流ドラマを放送するのかどうかがそんなに大きな話題になるのかが、感覚的にわからない。わからないなりに今朝ぼんやりと考えているうちに、「ああ、そうか」と思った。
2012-09-08 09:20:56はて(4)今仕事をしている間にかかっているのは、Apple TVのradioの、mozart piano の局である。昨日眠る前に聞いていたのは、youtubeで、落語『たばこの火』だった。ネット上にはさまざまなコンテンツがあり、そのコンテンツを選択する無限の自由がある。
2012-09-08 09:22:33はて(5)韓流ドラマが嫌いだという人も、ネット上に韓流ドラマが何百万、何千万種類のコンテンツの一部としてあっても、別に怒り出さないだろう。テレビ、とりわけ地上波テレビが韓流ドラマを放送することに反発があるのは、結局、テレビのオンエアタイムが有限の資源だから。ネットと事情が違う。
2012-09-08 09:23:53はて(6)地上波テレビは、有限の「公共の電波」を使っている。許認可しているのは「国」である。ウェブ上のサービスが国境を越えて流通するのに対して、地上波テレビはドメスティックな存在。「国家」というあり方と、深く関わっている。同じ地上波テレビを見ていることが、国民の統合にもつながる。
2012-09-08 09:26:00はて(7)このように考えると、韓流ドラマを地上波テレビが放送するかどうかということは、市場の需要があるとか、資本主義の論理とかを超えた、国家としてのアイデンティティの問題に抵触してしまうということが見えてくる。なにしろ、地上波テレビの許認可は、最終的には国が握っているのだから。
2012-09-08 09:27:14はて(8)個人としては、国家と結びついた地上波テレビに対する距離感があって、未来は、むしろ国境を越えるウェブの方にあると思っている。日本のテレビも、本当はウェブと融合して、国境を越え外に出た方がいいと思っている。だからこそ、国内の番組編成に、あまり関心がないのかもしれない。
2012-09-08 09:29:11はて(9)韓流ドラマを放送するかどうかが強烈な話題になるくらい、地上波テレビはまだ存在感を持っている。しかし、それはその存在がドメスティックであるがゆえ。テレビの強さは、ガラパゴス王者たること。その弱さは、ガラパゴス裸の王様であること。たかがテレビされどテレビ。難しいね。
2012-09-08 09:31:59