猫・虹・葡萄の象徴について

象徴シリーズ。おまけ付き。
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カタリコ @TreeMaple

猫の象徴性について。古代エジプト時代から人々の想像力を掻き立ててきた動物である。神として崇拝されたり、逆に悪魔として迫害されたり。不吉な象徴としての猫の有名な例としては、魔女の使い魔であったり、黒猫が横切ると不吉だという伝承があったり、ポーの「黒猫」が表す意味内容などがある。

2012-08-28 11:22:29
カタリコ @TreeMaple

肯定的にも否定的にも捉えられる猫は、幅広い象徴と関連している。太陽の象徴としてのライオンのたてがみや、夜行性で月を象徴する猫たち。太陽も月も象徴するということが、その象徴性の幅広さの一端をうかがわせる。

2012-08-28 11:26:09
カタリコ @TreeMaple

古代エジプトでは猫が非常に崇拝されたことが知られている。猫を鳥撃ちの遠出に連れていき、猫を殺すことは第一級の犯罪であった。猫が死ぬとミイラにされ、月の女神バステトとみなされた。ミイラにした猫を埋葬する地ブバスチスの町では月が祀られ、猫は月の象徴として扱われた。

2012-08-28 11:36:24
カタリコ @TreeMaple

世界中に猫にまつわる物語がある。有名なものではフランスのシャルル・ペローの長靴をはいた猫、猫とネズミの因縁噺、日本のものでは、なぜ猫が12支に入れなかったのか、などの物語がある。一つ、猫にまつわる物語を取り上げてみたいと思う。

2012-08-28 11:43:04
カタリコ @TreeMaple

「ふたりの娘とネコとクマ」(アメリカの昔話) 昔、ファニタとマリアニタという、インディアンの姉妹がいました。ファニタの方が姉で、フィエスタという、夜通し歌ったり踊ったりする楽しい祭りには、両親はいつも姉のファニタを連れていきました。妹のマリアニタは、今日も家で、猫と一緒に留守番

2012-08-28 11:50:47
カタリコ @TreeMaple

夕方マリアニタが夕飯の支度をしていると、猫がそばによってきて、ニャーニャー可愛いい声で何か欲しがりました。マリアニタは優しい娘でしたので、肉を何切れか与え、猫が美味しそうに食べてゴロゴロ喉を鳴らすのを、嬉しそうにみていました。まもなく日が暮れ、マリアニタは少し心細くなってきました

2012-08-28 11:56:33
カタリコ @TreeMaple

「大丈夫かしら、猫とふたりきりで?」そう独り言を言うと、猫が答えました。「大丈夫ですとも。窓をすっかり閉めて、ドアに鍵をかけておきさえすれば」マリアニタは猫に言われた通りにしました。戸締りをして、そろそろご飯を食べようと考えていると、誰かがドアをトントン叩く音がしました。

2012-08-28 12:03:08
カタリコ @TreeMaple

(ちょっと省略すると、ここで家の中に押し入ろうとするクマと、賢い猫との駆け引きがあって、猫は「パンがまだ焼けてないから」と言って家にいれさせない。対するクマはプレゼントを持って来るのだけれどもそれでも猫は熊を家に入れさせずに……)

2012-08-28 12:07:20
カタリコ @TreeMaple

クマはもう待ちきれなくなって、体で無理やりにドアを押し開けようとしました。すると中からポーンとドアがあいて猫が飛び出すなり、クマの頭にぴょんと飛び乗りました。クマは面食らって頭を振り回し、プレゼントの袋を放り出すと、あたふたと後ろを振り返らずに逃げていきました。

2012-08-28 12:10:19
カタリコ @TreeMaple

袋の中には、綺麗なドレスやアクセサリーがザクザクと入っていました。マリアニタは大喜びで、まず猫に可愛いい赤いドレスや、ビーズの靴を履かせてやり、それから自分も洒落たピンクのドレスを着こんで、指輪を何個もはめ、きらきら光る首飾りを付けました』

2012-08-28 12:13:32
カタリコ @TreeMaple

この物語は幸福をもたらす猫の象徴の典型的な例だと思う。これに関連して日本の「招き猫」について少し。

2012-08-28 12:14:50
カタリコ @TreeMaple

招き猫の起源を調べると江戸の遊女と関連した話が出てくる。遊女屋に金猫銀猫の置物を置いたら繁盛した、という伝説や、吉原の遊女、薄雲太夫の話。芸者を「ねこ」と呼ぶ伝統は、三味線が猫の皮でできていることから言うが、遊郭で買われた猫は、華やかな緋縮緬の前垂れを付け、白粉をたたき紅をさす。

2012-08-28 12:27:51
カタリコ @TreeMaple

猫好きの薄雲太夫はつねに手元に猫をおいていたけれども、疑惑から猫の首が切り落とされてしまい、それでも薄雲が蛇に襲われた時にその愛猫が死してなお薄雲を助けたという話がある。その忠義ある猫の供養のために塚を立て、それが遊女屋に猫の置物を飾る起源になったとか。でも招き猫起源には諸説ある

2012-08-28 12:32:58
カタリコ @TreeMaple

あと、古代日本においては猫とタヌキは同一視されていたようである。日本の猫の起源としては、経典や仏像をネズミから守るために輸入されたという説がある。西洋においては、猫は夜闇の中でも獲物を捕獲できることから、邪悪な闇の力と関連付けられた。魔女と猫の組み合わせはステレオタイプなものだ。

2012-08-28 12:39:01
カタリコ @TreeMaple

アントーニ・タピエスの「白とオレンジ」 http://t.co/9rpnXUm5

2012-08-28 19:43:16
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カタリコ @TreeMaple

クルト・シュヴィッタースの「メルツ94:緑のしみ」 http://t.co/iZyHKyT2

2012-08-28 19:45:17
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カタリコ @TreeMaple

ルチオ・フォンタナの「空間概念」。キャンバスを直に切り裂いている。今のすさんだ気分にジャストミート。(黒) http://t.co/5QYBcV28

2012-08-29 10:04:59
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カタリコ @TreeMaple

虹の象徴性について。天と地を結ぶ架け橋のように見える虹。そのモチーフは例えば「小さな世界」という有名な歌で「虹の橋を渡ってゆく」というフレーズが出てきたり、オズの魔法使いのテーマソングだったり、数多くの作品にモチーフとして現れるものであり、西洋絵画においても象徴性を帯びて描かれる

2012-08-30 11:02:55
カタリコ @TreeMaple

この多彩で弓形の光学現象は、ゲルマン諸民族の間では神々と地上の連絡橋とされている。ギリシャ神話へ虹の女神とされるイリスは、神々の伝令神であることからも、虹の持つ連絡橋という側面がうかがわれる。聖書においては、「しるし」や、使者としての虹が強調されている。

2012-08-30 11:08:37
カタリコ @TreeMaple

例えばノアの方舟の話において現れる虹は、神の保証のしるしであり、世界の循環の正常が約束された証であるという。新たな天と新たな地の契約として、虹の架け橋が「繋ぎとめるもの」として現れたと考えられる。また、虹は「天の美しい弓」と称えられているマリアの寓意としても描かれることがある。

2012-08-30 11:14:07
カタリコ @TreeMaple

諸民族の虹に対する認識は一定しておらず、7色ではなく3色のところもある。メキシコのマヤ系チャムラ族がその虹を3色として捉えている民族の例としてあげられるが、彼らはまた虹の出ている時の雨にあたると病気になり、虹を指差してはいけないという伝承を持つ。子供が虹を指さすと腐るという部族も

2012-08-30 11:21:22
カタリコ @TreeMaple

虹を指差してはいけないというタブーは不思議と広く分布している。コロンビアのデザナ族の神話では、うなぎのような魚が、世界の大火のあと水から出てきて、天と地の仲介者になったのが虹の姿であるといい、指差すとうなぎに戻って噛み付いてくるという。神が姿を変えたものが虹と捉える民族は数多い。

2012-08-30 11:26:23
カタリコ @TreeMaple

ベンガル湾のアンダマン群島民は、虹を死者との世界にまたがる杖とみなす。それゆえ死者がこの世界にやってくる時は虹をつたってやってくると考え、虹を不吉な兆し、病気の前兆と考えている。これは今までとりあげた神々しい虹の象徴性とは対象的な、ネガティブイメージの虹の捉え方である。

2012-08-30 14:55:41
カタリコ @TreeMaple

オーストラリアのシャーマンは虹を伝って天に昇ると言われる。また虹は蛇であるという観念も広くある。泉の守護霊としての大蛇。日本の水神の表れが虹だとされ水神は蛇のことが多い。上橋菜穂子の守り人シリーズのラストに蛇と虹との結合イメージが現れるが、これはアボリジニの「蛇虹」を踏まえている

2012-08-30 15:01:56
カタリコ @TreeMaple

アボリジニの蛇虹は、その世界観の中心的な位置を占めているといという。このような天と地とを結びつけるものとしての虹の捉え方は世界に広く見られる。これは人類に類似の内在的な要素の働きであろう。例えば集合的無意識のような。聖なるものとそれにつきもののタブーが、虹にまつわる伝説がら見える

2012-08-30 15:06:16