「U・M・A・リターンズ!」#4(#1:http://t.co/7qiRyh5A #2:http://t.co/tzzFcvQz #3:http://t.co/VujGmnPR)
2012-09-11 10:15:52「ドーモ、アサイラムです」「ドーモ、ボーンアーマーです」バイオニンジャ2人がオジギをする。いまだ半身を水中に留めるネッシーがゆっくりと首を下げる。たとえバイオニンジャであろうとも、ニンジャかカイジュウか判然としなかろうとも、イクサはアイサツに始まりアイサツに終わる!当然至極!1
2012-09-11 10:23:22先手を取ったのはネッシーであった。水中より現れた長い尾がアサイラムとボーンアーマーを薙ぎ払う!アイサツ終了直後の攻撃は実際高等技術であり、それはすなわち知性と判断力、そしてカラテの証である!同時にネッシーが波とともに上陸、古代雷竜ブロントサウルスめいたその全貌が明らかとなる!2
2012-09-11 10:28:55巨大なムチの如きネッシーの尾、打ち振られるそれは音速寸前!「「イヤーッ!」」長ナワトビめいてジャンプ回避!間髪入れずの逆薙ぎを「「イヤーッ!」」再びジャンプ回避!「叩き斬ヨロシサンるのは分かった!それで、どうするのだ!」「貴様が抑え、俺が斬る。簡単だ」「イディオット!」3
2012-09-11 10:40:43着地した2人に影が落ちる!ネッシーが後ろ足で立ち上がり、ヤクスギ・パインめいた前足で全体重を乗せたストンプ!踏み潰されれば問答無用でセンベイである!2人は同方向に飛び離れ回避!土煙が舞う!「イディオットは貴様だ。このバカげたカイジュウ相手に貴様のカラテでは決定打にならない」4
2012-09-11 10:46:58「ヨロシかし!」「黙れ。これを乗りきれなければ貴様は役立たずだ」「アー!モウ!抑えればよいのだな!少しヨロシ時間を稼げ!」「よかろう」アサイラムが4刀を構え駆け出し、ネッシーの脇腹にイアイドを繰り出す!次々に刀傷が刻まれてゆくも…実ダメージは皆無!まるでカマキリの斧である!5
2012-09-11 10:54:21ネッシーが首を巡らせアサイラムを見た。同時にそれは頭突きの予備動作である!板バネめいて曲げられた首が突如シンカンセンの速度で伸びる!とっさに身をひねり回避したものの、風圧によって身を巻き上げられたアサイラムは空中でコントロール不能に陥る!追撃の尻尾ムチ!アブナイ!6
2012-09-11 11:05:31しかし「イアイド!」4刀が閃くや「VOOOOOOOOOOO!?」尻尾の先端2メートル程が斬り飛ばされる!アサイラムは冷酷な笑みを浮かべた。斬れぬ相手ではない!「ボーンアーマー=サン!」「ヨロシ!ジャイアントボーンマン!」ボーンアーマーが応えるやそのガイコツ身体が巨大化してゆく!7
2012-09-11 11:12:03巨大ボーンアーマーの最終的な身長は4メートル。ネッシーの巨体に比すればそれでもまだ猛牛と闘牛士程度の差はある。しかも巨大化したのは外骨格のみであり、筋肉の密度は劇的に低下している。必然的に動きは重く鈍くなる。だがボーンアーマーは果敢にネッシーへと立ち向かう!8
2012-09-11 11:21:54「VOOOOOOO!」再びの尻尾ムチ!「グワーッ!?」まともに受けた巨大ボーンアーマーはへし折れた肋骨を飛び散らせながら尻もちを着く!ネッシーがのし掛かってくる!「VOOOOOOOO!」ストンプ!左肩破損!しかし右の腕はネッシーの首元を掴み、千切れよとばかりにこれを引っ張る!9
2012-09-11 11:30:18「イツデモ!ヨロシサン!」ボーンアーマーが叫ぶ!アサイラムは3刀を投げ捨て、ただ一刀のみを4本の腕で大上段に構え跳ぶ!「イ!ア!イ!ド!」身体丸ごとを1本のカタナとしたその一撃が、極限まで引き伸ばされたネッシーの首を切断!ゴウランガ!10
2012-09-11 11:40:00切れたゴムベルトめいた勢いにボーンアーマーは思わず手を離す!ネッシーの頭部はタマ・リバーへと放物線を描いて飛び「サヨナラ!」水柱を立て落水!そして残された巨体のあちこちから閃光が漏れ…爆発四散!血と肉と内臓と骨の雨が降り注ぐ!タマ・リバーが赤く染まる!11
2012-09-11 11:43:50しばらく経つと、血の海が2箇所泡立った。折れたカタナを手にしたアサイラムと、元のサイズに戻ったボーンアーマーが、目がくらむほど赤い血を滴らせ、ジゴクのオニめいて立ち上がった。12
2012-09-11 11:47:25【U・M・A!?謎の巨大頭骨が漂着!】昨日未明、タマ・リバー河口で奇妙で巨大な物体が発見された。ネオサイタマ大学による鑑定の結果、それは実際何らかの巨大生物の頭骨であり、しかも化石化していないという。形状他の特徴は恐竜のそれに酷似しているものの、正体は依然不明のままである。14
2012-09-11 11:52:54「同大は変異バイオ生物の可能性を指摘、引き続き調査を進める方針だ。それにしても市民を無用な混乱に陥れる現政権の無能、ASAPの政権交代が必要なのだ…とのことですね」サブジュゲイターは広げていた「日刊コレワ」から目を離し、アサイラムとボーンアーマーを見た。「少々詰めが甘い」15
2012-09-11 12:00:39「申し訳ありません、マスター」「申し訳ヨロシサン」「しかし初の実戦投入でこの結果。決して悪くはない」サブジュゲイターが報告書を手に取る。クリーチャー化した住民多数、ニンジャ2名、巨大生物1匹を排除。反乱の首魁こそ取り逃がしたものの、むしろ生還を評価すべきだろう。「悪くはない」16
2012-09-11 12:06:03良い手駒を手に入れた。サブジュゲイターはほくそ笑んだ。「…ヨロシサンの現体制は多くの矛盾を孕んでいます。我々は言わばカンフルであり、ワクチンだ。トシヨリの延命めいてはいますが…しかしそれは社の理念そのもの。これからも期待していますよ。ゆっくり休みなさい」「ハッ」「ハッ」17
2012-09-11 12:10:402人を退出させると、サブジュゲイターは報告書を破り捨てた。アサイラムの書いたそれは奥ゆかしさに過ぎる。これは社を揺るがす大事件でなければならず、その解決にはバイオニンジャの存在が不可欠でなければならない。彼はノートUNIXを開くと、注意深く言葉を選びつつタイプを始めた。18
2012-09-11 12:16:12サブジュゲイターは考える。いずれヨロシサンの実権は我々バイオニンジャが握る。そしてその頂点、CEOに君臨するのは自分だ。道程は長い。まずは実績が要る。「彼らには、もっと働いて貰わなくては」既に次のミッションが控えている。彼らの休息はそう長くは続くまい。「期待していますよ」19
2012-09-11 12:21:07バイオスズメ舞う荒野を1台のジープが行く!側面にはお馴染みの「ビョウキ・トシヨリ・ヨロシサン」ロゴが描かれており、その所属は明らかだ!ジープに乗り込むのは2人の男、その手には特大サイズのヨーカンめいた何かが握られている!21
2012-09-11 12:27:43運転席に納まるのはアサイラム。見違えるほど太くなった4本の腕には無数の手術跡が刻まれている。助手席の男はボーンアーマー。皮膚の所々を破り、外骨格めいて骨が覗く。彼らは今や歴戦のバイオニンジャであり、ジゴク・ヘルの獄卒めいたそのアトモスフィアは隠しても隠しきれるものではない。22
2012-09-11 12:32:29ボーンアーマーが資料を手繰る。「バイオニンジャの暴走…お決まりのヨロシサンだ。最近サブジュゲイター=サンは我ヨロシサンらを働かせ過ぎではないか?」「俺はカタナを振るえるなら何処へなりと行く。嫌なら貴様は降りろ」「そういうわけにもヨロシ行かぬだろう」「ならば文句を垂れるな」23
2012-09-11 12:38:09「俺と貴様ではバイオ度合いが違うサン!このインゴットをヨロシサン見よ!俺はこれを全て平らげなければならぬのだ!」「同情する」アサイラムは空いた手でボーンアーマーから資料を奪った。バイオニンジャ「ナーガラージャ」が輸送中に脱走。今回のミッションはその捕獲もしくは殺害である。24
2012-09-11 12:43:40