【イリーン『チェルノブイリ:虚偽と真実』】⑤
- karitoshi2011
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第1弾です。
第2弾です。
第3弾です。
第4弾です。
それでは、本編、第5弾です。
1【イリーン『チェルノブイリ:虚偽と真実』】⑤本書でのイリーンの叙述は七沢潔『原発事故を問う―チェルノブイリからもんじゅへ』1996年の叙述を参照すると一段と見通しがよくなる。七沢著の第1章、第4章にイリーンの名が出てくる。避難させない政策を支える科学者の主軸だったことが分かる。
2012-09-11 10:55:512【イリーン『チェルノブイリ:虚偽と真実』】⑤七沢著p37―86年5月3日の段階で住民にヨードを渡さない決定はイリーンの判断に基づく。オルリク副首相(ウクライナ共和国)「放射線医学の専門家で、ソ連医学アカデミー副総裁のイリイン博士は、今住民に渡さない方がよいといっています」p57
2012-09-11 10:56:493【イリーン『チェルノブイリ:虚偽と真実』】⑤86年5月のキエフの危機的状況をめぐり七沢が記述するウクライナのオルリク副首相の発言「彼は10日分しかないから、今、使ってしまうと、この先もっと深刻な事態になった時に使えなくなる―という主張です。ヨード剤の配給は見合わせましょう。」
2012-09-11 10:57:354【イリーン『チェルノブイリ:虚偽と真実』】⑤この時イリーンは事故原子炉からさらに放射性物質が大幅に放出されることを怖れていた。5月7日にイリーンと放射線測量の専門家、ユーリー・イズラエリ国家水文気象委員会議長がモスクワから到着。2人はキエフでの「汚染状況は、子どもを含めた」
2012-09-11 10:58:275【イリーン『チェルノブイリ:虚偽と真実』】⑤「住民の健康に危険をもたらすものではない」「現在、食品にふくまれている放射能の値は、住民に危険をもらすものではない」と主張。2人は12時間かけて3通の勧告書を作成。例年どおりのキャンプ以外の子供の避難は不要。「情報の一元化」などを指示
2012-09-11 10:58:536【イリーン『チェルノブイリ:虚偽と真実』】⑤ウクライナ共和国最高会議議長ののシェフチェンコ女史はこれに反対、疎開を主張。結局、5月9日、夏休みキャンプを早めて実行するという形で実質的な疎開案を採用。25日までに52万6千人の母子・妊婦が疎開した。七沢著P67-71
2012-09-11 10:59:267【イリーン『チェルノブイリ:虚偽と真実』】⑤ウクライナ政府のこの決定に対し「ソ連政府は露骨に不快感を表した」パニックを起こしたと批判。5月14日被曝許容線量を引き上げるという「きわめつけの通達がモスクワのソ連保健省…から送られてきた」「ソ連保健省は…次のような新しい基準を」
2012-09-11 11:00:118【イリーン『チェルノブイリ…』】⑤「採用した。14歳以下の子どもと妊産婦の場合、年間10レム(100mSv)、一般人の場合は50レム(500mSv)まで許される。それ以下の場合、住民の疎開などの特別な措置はとらない」。イリーンはこれには反対して後に10レムまで引き下げられた。
2012-09-11 11:02:029【イリーン『チェルノブイリ:虚偽…】⑤それまでのソ連では年間5mSv(0.5レム)だったから、20倍に引き上げた。その頃のキエフの線量は毎時0.5ミリレム(5μSvというからかなり高い。(島薗注:そういえば日本も1mSvを20mSvにと20倍あげた)。七沢氏の概括は以下の如し。
2012-09-11 11:04:0510【イリーン『チェルノブイリ:虚偽と真実』】⑤「住民保護の対策を決める際の客観的な目安となるはずの被曝線量が、国の都合で勝手に変えられる。その動機としては、まずむやみに人の移動を認めて、パニックに導かないという政治上の大方針があった。そして同時に、被曝線許容量を引き上げることで
2012-09-11 11:04:4711【イリーン『チェルノブイリ:虚偽…】⑤「人の移動をさせない背景には、経済的要因もからんでいた」p73。七沢はこう述べて、ICRPの「最適化」の論を説明するイリーンの言葉を引く。どの国でも非常事態には高い基準が導入される決まり。キエフ市民300万人の疎開による社会的費用を考えよ
2012-09-11 11:05:1612【イリーン『チェルノブイリ:虚偽と真実』】⑤モスクワとウクライナは妥協。5月15日に疎開第1陣が出発。だが、放射線健康影響の専門家としてキエフに派遣され、ソ連側の立場を押し通そうとしたのがイリーンだということがよく分かる。89年の状況について述べている第4章でもイリーンが登場
2012-09-11 11:05:4313【イリーン『チェルノブイリ:虚偽と真実』】⑤甲状腺がんが出始めたこの段階でもソ連はなおできるだけ避難をさせない、補償をしない立場を固執。各地で住民が反発。1平方キロ当たり40キュリー以下は避難不要と。「その根拠となったのは、イリイン・ソ連医学アカデミー副総裁が唱えた」
2012-09-11 11:06:1114【イリーン『チェルノブイリ:虚偽と真実』】⑤「「生涯70年間に35レム(350mSv)までの被曝は許容される」という説であった。イリインは放射線医学の専門家としてこのころ、「汚染地帯の住民は避難しなくても十分に安全である」と説明していた」。長瀧・山下両氏とほぼ同じ役回り(続)
2012-09-11 11:07:39