茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第７１５回「東アジアに位置することの、リスクについて」

茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ！　ぷれいりーどっぐくん、おはよう！

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連続ツイート第７１５回をお送りします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、ここのところの国際ニュースを見て、思うこと。

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ひり（１）今朝の報道によると、中国政府の幹部が、尖閣問題をめぐって日本製品の不買を容認したという。一国の政府が、このような発言をするのはきわめて異例である。残念なことだが、そもそも、現在の中国が、どのような正統性に基づく、どのような政府なのか今一度考えてみた方がいいのではないか。

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ひり（２）まずは確認しておきたいこと。日本人も喝采を上げたiPhone 5は、大量に中国で製造されている。今や経済は密接に絡み、相互依存関係を脱するのは不可能。どんなに立場が違っても、相互交流を続け、東アジア、そして世界の発展、繁栄に寄与するのが正しいことは言うまでもない。

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ひり（３）それにしても、その中国は、なんと不可思議な政府によって統治されていることだろう。固有の文化を持つチベットを勝手に併合し、文化的ジェノサイドを続けている。民主的な選挙は皆無。中国共産党員は、２０人に一人でしかない。言論の自由はなし。民主化運動は弾圧される。

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ひり（４）私個人は、死刑制度に反対だが、人を殺めた場合に、死刑の適用を主張する人がいることはまだ理解できる。中国では、驚いたことに経済事犯でも死刑になる。日本人も、薬物の密輸で死刑を執行された。人命の軽い国、中国。年間数千人と推定される死刑執行数は、世界の死刑大国である。

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ひり（５）中国の１３億人の人たちに、罪はない。問題はその政府。正直、フランシス・フクヤマの言う「歴史の終わり」で定着したはずの自由主義、民主主義とはほど遠い政府である。今回の尖閣諸島に関する対応で驚いている人が多いようだが、中国の政治は、もともとトンデモ政治なのである。

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ひり（６）言うまでもなく、日本は東アジアに位置している。明治維新では、日本は非西欧諸国で初めて立憲政治、民主主義を実現した。そのことを日本は誇りに思って良い。当時、「脱亜入欧」を主張したのは、当然の生理であった。時代が流れ、東アジアに位置することのリスクに私たちは直面している。

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ひり（７）お隣の国韓国では、民主主義が実現したが、分断国家の北朝鮮は、周知の通り独裁国家である。北朝鮮の人たちに罪はない。「世襲」という、二十一世紀における遺物的政体をとる体制が、トンデモというだけの話。東アジアには、中国、北朝鮮という二つの「トンデモ政府」があることになる。

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ひり（８）中国には民主主義がないから、異なる意見の人と辛抱強く議論をする文化的伝統が存在しない。だからこそ、「愛国無罪」で対日の世論も先鋭化する。「国家」の名の下にわあわあ騒ぐ人たちは愚民であるが、その程度の「市民」しか育っていないのは、中国の政体がトンデモなのだから仕方がない。

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ひり（９）民主主義が存在しない国と関わりを持たないよりも、関わりを持った方が相手の民主主義を促すことにつながるだろう。相互依存関係は続けた方がいい。私が主張したいのは、領土問題で初めて騒ぐのではなくて、最初から、人権や、チベット、民主主義の問題を、カードとして使うことである。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第７１５回「東アジアに位置することの、リスクについて」でした。