批判的であること志向性について自覚的になることで、メデアリテラシーについて考える

毎日新聞の記事「原発の呪縛・日本よ! 文芸評論家・加藤典洋さん」を例題に読んで批判的であることについて考える。そして、電力会社の2012年の電力需給ギャップがどうであったかの記事を例に読んで、志向性について考える。 註 実験的なものです。
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すみ @vptdmre

特集ワイド:原発の呪縛・日本よ! 文芸評論家・加藤典洋さん http://t.co/e9zu9zOI

2012-09-08 08:07:28

特集ワイド:原発の呪縛・日本よ! 文芸評論家・加藤典洋さん
毎日新聞 2012年09月07日 東京夕刊

 <この国はどこへ行こうとしているのか>

 ◇「有限性」感じ「脱成長」へ−−文芸評論家・加藤典洋さん(64)
 8月の熱気の中に静まり返った家並みは、通り過ぎてきた町々とさほど変わりはないはずなのに、何かが違う。ビニールハウスにふと目をやって気付いた。中で茂っているのは野菜でも果物でもない、ただの雑草だった。

 「ここにはもう農作業をする人はいないのだ、赤ん坊、子供一人いないんだと思いました」。今も全村に避難指示が出されている福島県飯舘村を先月、車で通りかかった際の感想を、加藤典洋さんは淡々と語った。早稲田大・大隈会館の教職員食堂。

 「放射能汚染というのは厄介です。太古から人は、先人から受け取ったものを子孫に手渡してきた。でも、福島第1原発事故後に生まれる赤ん坊には壊れた自然しか渡せない。その責任は私にもあります。文学者として、過去とのつながりについて考えてきましたが、あの事故を通して初めて、未来とのつながりを考えたと思うのです」

 97年の「敗戦後論」で「戦後とは何か」と問い、論壇に大反響を巻き起こした文芸評論家はかみしめるように言葉をつないだ。

 「事故前までは、安全対策が万全なら原発はあっていいと思っていました。科学技術と英知の進歩で原子力エネルギーが生まれた。それは後戻りのできない過程ですから。問題があれば、それを克服していくのが健全だろう、と」

 だが、3・11は起きた。発生時に滞在していた米国から帰国した直後、日記に「なすべきことは何か」を記した。事故収束に働く人、被災した人のことを忘れないこと。<どうすれば今回のことを今後のために生かせるのか、とできるだけ深く、考えること>。原発関連の本を読み続けるうち、ぼんやりとしていた「疑問」が、像を結んできた。

 一つ、なぜ原発の現場は秘密主義や閉鎖主義にとらわれてしまったのか。「私が原発の安全性を信じていたのは、実際の保全に携わる日本の技術者たちを信頼していたからです。政治は駄目でも、分厚い層をなす実直な人たちは道を誤らないだろうと。でも、彼らのチェックが全く働かなかった。機能不全の根源に、何があるのかと考えました」

 そうして見えてきたのは、使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出して再利用する「核燃料サイクル」とのかかわりだ。その要となる高速増殖炉は、核兵器の材料にもなり得る高純度のプルトニウムを生み出す。「非核三原則」を掲げる政府は公式に認めたことはないが、核燃料サイクル推進の裏には潜在的な核抑止力にしたいとの思惑があると言われている。

 <核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持するとともにこれに対する掣肘(せいちゅう)をうけないよう配慮する>。加藤さんは、核保有国以外の核武装を禁じた核拡散防止条約(NPT)への署名を前にした69年、外務省内で作成された文書の一節に注目する。「掣肘」とは外からの拘束や制約の意だ。「ここに、公開性や民主性を恐れる原子力ムラの秘密主義の原点がある。私にはそう思えました」

 一つ、なぜ唯一の被爆国である日本が原子力利用に進んだのか。「原発の開発が始まった50年代、被爆者団体も核の平和利用には賛成していたという歴史がある。『被爆者も宣伝工作に乗せられた』と解説する雑誌論文を読み、『本当にそうなのか』と疑問が湧いたのです」

 史料を読むにつれ「あの選択は、被爆者の絶望の表れだったのではないか」との思いを深める。「原爆は国際法違反の疑いがある無差別殺りく兵器です。なのに政府は米国に謝罪を求めず、その罪を国際社会に訴えようともしなかった。支えを失って孤立し絶望した被爆者には、原発賛成の選択肢しかなかったはず。原子力が人類に役立つなら、つらさも少しは癒やされるという心情に追い込まれた」

 唯一の被爆国「なのに」ではなく「だからこそ」、原発利用に突き進んだというのだ。

 つい問うた。理不尽な目にあっても抗弁しないのは日本人特有の心性なのか。

 ありきたりの日本人論に落着させようという意図を感じ取ったのか、加藤さんの表情が硬くなった。「日本人にはこんな傾向があるという議論は、日本人的ですね。何人であれ、普段の我々がどんな人間であれ、絶対に怒らなければならないことがある。原爆投下はその一つでしょう」

 原発事故に絡む二つの疑問を追及し、そこにこの国の病弊をみた評論家は「脱原発」へとたどり着く。「あれだけの事故を経た後も、政府は事故の原点を出発点までさかのぼって究明、反省する姿勢を示さなかった。放射性廃棄物の問題も残されたまま。原理的には再出発は可能だと思う。でも日本は『再度ゼロから出発する資格があるか』という試験に、この度は落第したんです。こんな状態なら脱原発しか道はない。唯一の被爆国で平和憲法を持つ日本は、軍事利用と決別すると国民に訴え、まず核燃料サイクルを中止するのがいい」

 飯舘村を訪れる3日前の夕刻、加藤さんは脱原発を訴えて国会を包囲するデモの中にいた。赤ん坊を乗せたベビーカーがいくつもあった。「驚きました、全く新しいタイプのデモでね。一方では原発事故のために日常性が奪われ、一方では日常性を武器に脱原発が訴えられる。被災した人たちの生活の回復と脱原発の訴えの間に、日常性への同じ志向が見えました。私には、いっとき、飯舘村から消えた子供たちが、あのデモに現れたかのように思えたんです」

 脱原発を求める金曜日の首相官邸デモは続き、政府が募ったパブリックコメント(意見公募)では9割近くが「30年に原発ゼロ」を支持した。

 「大きく、静かに、何かが変わってきた」と加藤さん。何か、とは?

 「例えば、もう誰も火星への人類到達など夢見ていません。いつの間にか有限性の感覚が生まれているのです。また、考え方や暮らし方のシンプルな人が増えてきました。消費税、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)、国境問題……こうした国の『大問題』について、それが日本にとってではなく、自分の暮らしにとってどういう意味を持つかと考える。新種のデモが良い例でしょう。日本人、市民としてではなく友人、家族で動いている。そしてまた、そう考える方が、日本だけでなく広く地球と世界へとつながっている。成長は成長なのですが、我々はより賢く『経済成長』から抜け出る方向に成長していると思います」

 首相官邸デモに集まる人たちは、シンプルに考えるからこそ軽々と「政治行動」ができるのかもしれない。

 最後に言った。「キーワードは有限性。日本は今、文明史的な大実験のさなかにいるんです」【宮田哲】

文芸評論家・加藤典洋さん
毎日新聞 2012年09月07日 東京夕刊

 早稲田大国際学術院教授。1948年生まれ。東京大文学部卒、国会図書館勤務、明治学院大教授を経て現職。「敗戦後論」で第9回伊藤整文学賞。「3・11 死に神に突き飛ばされる」など著書多数。

すみ @vptdmre

<メモ><引用>一つ、なぜ原発の現場は秘密主義や閉鎖主義にとらわれてしまったのか。「私が原発の安全性を信じていたのは、実際の保全に携わる日本の技術者たちを信頼していたからです。

2012-09-08 08:08:55
すみ @vptdmre

<メモ><引用>(承前)政治は駄目でも、分厚い層をなす実直な人たちは道を誤らないだろうと。でも、彼らのチェックが全く働かなかった。機能不全の根源に、何があるのかと考えました」

2012-09-08 08:09:35
すみ @vptdmre

<メモ><引用> 一つ、なぜ唯一の被爆国である日本が原子力利用に進んだのか。「原発の開発が始まった50年代、被爆者団体も核の平和利用には賛成していたという歴史がある。『被爆者も宣伝工作に乗せられた』と解説する雑誌論文を読み、『本当にそうなのか』と疑問が湧いたのです」

2012-09-08 08:12:57
すみ @vptdmre

<メモ><マクロ><Point>信用していたのだろうか。

2012-09-08 08:18:52
すみ @vptdmre

<メモ><マクロ><Point>チェック機能が働かなかったのだろうか。

2012-09-08 08:19:45
すみ @vptdmre

<メモ><マクロ><Point>原子力の破壊力、放射能の健康被害に危惧する人もいたが、高度な科学技術を積極的に利用したいとのぞんでいたのではないか。

2012-09-08 08:22:43
すみ @vptdmre

<メモ><引用>「大きく、静かに、何かが変わってきた」と加藤さん。何か、とは?

2012-09-08 08:28:51
すみ @vptdmre

<メモ><Point>本当に変わったのだろうか。変わったとしたら何が変わり、何が変わらないのか。

2012-09-08 08:30:10
すみ @vptdmre

<メモ><引用> 「例えば、もう誰も火星への人類到達など夢見ていません。いつの間にか有限性の感覚が生まれているのです。また、考え方や暮らし方のシンプルな人が増えてきました。

2012-09-08 08:31:46
すみ @vptdmre

<メモ><引用>(承前)消費税、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)、国境問題……こうした国の『大問題』について、それが日本にとってではなく、自分の暮らしにとってどういう意味を持つかと考える。

2012-09-08 08:32:32
すみ @vptdmre

<メモ><引用>(承前)新種のデモが良い例でしょう。日本人、市民としてではなく友人、家族で動いている。そしてまた、そう考える方が、日本だけでなく広く地球と世界へとつながっている。

2012-09-08 08:34:07
すみ @vptdmre

<メモ><引用>成長は成長なのですが、我々はより賢く『経済成長』から抜け出る方向に成長していると思います」

2012-09-08 08:35:59
すみ @vptdmre

<メモ><引用>首相官邸デモに集まる人たちは、シンプルに考えるからこそ軽々と「政治行動」ができるのかもしれない。

2012-09-08 08:37:22
すみ @vptdmre

<メモ><Point>「有限性」の中で私達はいきているのは間違いない。自分の暮らしの中でどういう意味があるのか考えるのは今に始まったことではないだろう。むしろ、新たな環境の中での問題意識が芽生えたことからによる、位置づけによる変化だろう。

2012-09-08 08:40:15
すみ @vptdmre

<メモ><Point>経済成長に頼らない成長とあるが、それはどのような成長であるのか。果たして、それは成長することを可能とするのか。あるいは、今の環境を持続的に、つまり成長につなげることができるのか。

2012-09-08 08:42:21
すみ @vptdmre

<メモ><ケーススタディ>日本において、過去にも反核の運動が盛んになったことがあるが、なぜ課題を解決することができなかったのか。その運動と今の運動に違いがあるのか。あるとしたら何が変わらないで、何が変わったのか。

2012-09-08 08:44:42
すみ @vptdmre

<メモ><ケーススタディ>現在と過去は違う。その違いをどのように評価して、現在と過去を相対化するのか。

2012-09-08 08:46:30
すみ @vptdmre

東京新聞:再稼働なしでも3%超余裕 関電認める:経済(TOKYO Web) http://t.co/wFfvL7l3

2012-09-08 09:36:06
リンク 東京新聞 TOKYO Web 再稼働なしでも3%超余裕 関電認める 関西電力は七日、夏の電力供給力について、大飯原発(福井県おおい町)を再稼働しなかった場合でも、政府が「最低限必要」とした3%を超える余裕があったとの試算を明&

再稼働なしでも3%超余裕 関電認める

2012年9月8日 朝刊

 関西電力は七日、夏の電力供給力について、大飯原発(福井県おおい町)を再稼働しなかった場合でも、政府が「最低限必要」とした3%を超える余裕があったとの試算を明らかにした。同社は電力不足を訴えて再稼働を強行したが、夏の節電目標の最終日に、必要なかったことを自ら認める形になった。 
 大飯原発3、4号機を七月に稼働したことで、関電は電力消費が増える同月下旬から八月にかけて、一部の火力発電所を休ませていた。大飯原発がなくても、こうした待機火力を活用すれば供給力の余裕は最低でも3・2%確保でき、電力不足にはならなかったとの試算を示した。さらに関電が電気予報で「厳しい」と位置付ける5%以下になる日は、試算によると三日間だけだった。
 こうした試算を示す一方で、七日に大阪市で記者会見した八木誠社長は「発電所のトラブルが重なる可能性も否定できない」と述べ、再稼働は妥当だったと強調した。
 同社は九月も「電力需給が厳しくなるおそれがある」として大飯原発を稼働し続ける。だが、根拠としている需要予想は八月に公表した最大二千九百二万キロワットのままで、八月実績の最大二千六百八十一万キロワットを大幅に上回るという無理な想定だ。夏の需要予想も過大だったことが明らかになっており、専門家でつくる大阪府市エネルギー戦略会議(座長・植田和弘京都大教授)は停止を求めている。
 一方、政府は七日午後八時、関西、四国、九州の三電力管内に求めた夏の節電の数値目標を解除した。関電は二〇一〇年比10%の節電目標を上回る11%、九州は目標通り10%程度の節電を達成したと分析。四国も5%の目標を上回る8・3%の効果があったと試算した。

すみ @vptdmre

節電:家庭は12%達成、原発ゼロ乗り切る http://t.co/WxzQLY6Q

2012-09-08 12:01:56
リンク mainichi.jp 節電:家庭は12%達成、原発ゼロ乗り切る 政府と九州電力による10年夏比「10%以上」の節電要請が7日、終了した。期間中、電力需給が逼迫(ひ...