茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【日本のイノベーター：野茂英雄、イチロー、ダルビッシュ、村上春樹、堀江貴文、そして橋下徹】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第７２１回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、日本のこの頃を見ていて、思うこと。

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にい（１）今年の１０月２０日が来ると、私は５０歳になる。私が生まれてから、最初の３０年間は、日本に勢いがあって、絶好調であった。ところが、バブルが崩壊した後は、日本はすっかり沈滞して、「失われた２０年」になった。最近の学生は勢いのない日本しか知らなくて、可哀相である。

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にい（２）では、日本にはもう希望がないのかというと、そんなことはないと思う。この失われた２０年で、日本人がどんな人を評価し、スターにしてきたのかということを考えればわかる。良い大学を出て、良い会社に入るという「安全運転」の人生は、保険にはなるもののどこか見限られている。

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にい（３）この２０年、とりわけ近年において、日本において評価されてきたのは、今までにないことをする「イノベーター」たち。大リーグに挑戦してきた野茂英雄、イチロー、ダルビッシュ。世界文学の仲間入りした村上春樹。日本人は、本当は何をしなくてはいけないかわかっているのだ。

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にい（４）堀江貴文さん（ホリエモン）が注目されたのも、彼が偉大なるイノベーターだったから。日本の社会で、こんなことが可能なのか、こんな手があったのかというようなことを次々とやってきた。結果として保守的な社会に挫折させられたが、彼の試みは今でも鮮やかな残像として心にある。

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にい（５）沖縄に行くと、鳩山由紀夫さんの「最低でも県外」という発言は、実は評価が高い。結果として実現できなかったものの、それまでの日本の政治の中では不可能だと思われるようなヴィジョンを示した。結局、予定調和では局面を打開することはできない。今までにない光景を見たいのだ。

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にい（６）今、橋下徹さんが政治のスターとなっているのも、彼の発言が強かったり、行動が迅速だというだけの理由ではない。橋下さんは、政治におけるイノベーションを起こしてきた。例えば、大阪府知事から、市とのねじれを解消するために市長選に出るというのは、一つの革新であった。

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にい（７）とかくイデオロギーの問題として拘泥しがちだった日の丸や国歌の問題を、マネジメントの問題へと転換したのも、橋下徹さんのイノベーションであった。結局、橋下徹さんが評価されたのは、今までの日本のやり方を変える「発明家」としての力においてであり、単なるポピュリズムではない。

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にい（８）日本人は情緒に流され、大局観に基づく冷静な判断ができないと思われがちだが、ここ２０年ほど、実はイノベーターたちが正当に評価されてきたように思う。既得権益にどっぷりと浸かった人たちは、許容されるが、決して尊敬はされない。そのあたりの嗅覚は、共有されている。

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にい（９）日本の国力の隆盛に寄与し、自分自身の社会的声価も高めたいという人が目指すべきなのは、いたずらに声高に叫ぶことでも、既得権益に取り入ることでもなく、今まで日本では不可能と思われた回路を開く、イノベーターになることである。iPhoneをつくることと何も変わりはしない。

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以上、連続ツイート第７２１回「日本では実は、イノベーターが評価されてきた」でした。