片岡Kさん映画へのトラウマ？

片岡K @kataoka_k

映画を初めて撮った時のこと。ボクの撮った映画は撮影所で大きな評判になった。すごく面白い、すべてが斬新、みんなが褒めちぎる。関係者を集めた試写にはびっくりするほど人が集まり、上映後にはスタンディング・オベーションを浴びた。関係者ならよく知ってるだろうけど、マジな話なんだってば。

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すぐさま東京国際映画祭へ日本映画の代表としてコンペティション部門への出品が決まった。ところが試写で映画を観た評論家たちが映画をボロクソに評価した。と同時に、ボクの映画を褒めていた映画関係者たちも次第におとなしくなっていった。それからなのだ。ボクが映画を観るようになったのは。

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初めて映画を撮った時のボクはすごくピュアで、撮れと言われた題材を自分が撮りたいように撮った感じ。本当にそれだけ。どんな映画が面白い映画で、どんな映画が評価されるのか。そんなこと考えなかった。もちろん自分では面白い映画だと思っていたし、スタッフも皆口を揃えて面白いと言ってくれた。

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もう10年近く前に公開された映画で興行成績も映画評論も散々だったが、ビデオ屋に行けば借りられると思うので興味があったらぜひ観て欲しい。好き嫌いがハッキリ分かれることは間違いないないのだけれど、好きだと言ってくれる人はいまだに大好きと言ってくれたりする、そんな不思議な映画です。

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で、ここから先はちょっとヤバイ部分もあるのでボカしつつ。公開前に東京国際映画祭の他にもいくつか海外の映画祭に呼ばれたのね。最初に呼ばれたのはアジア某国の映画祭で、あの超人気人情喜劇シリーズで誰もが知る超有名映画監督と二人で飛行機に乗った。あちらはファーストクラスだったけど（笑）

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映画祭２日目にボクの映画が上映された。ボクはテレビの仕事がかなり忙しかったから翌日の飛行機で帰る予定だったのだけど、上映された晩に映画祭の関係者が来て言うワケ。「上映後の評価だとあなたの映画は何かしらの賞がもらえる」って。だから最終日まで残ってくれと。「あー全然無理」って断った。

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東京に帰ってテレビのスタッフに話したらギリギリまでスケジュール調整してくれて、最終日に合わせてもう一度行けそうになった。現地に伝えてもらったら「もう遅い」って返事が返ってきた。なんだ、授賞式に出られない映画は何も受賞しないのか。そうだとわかったら急にバカバカしくなっちゃった。

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後で聞いたら授賞式出席は第一条件で、そこから先にも結構いろいろあるらしい。「やっぱグランプリだと大金積んだりするんスか」なんて言って笑ったら、笑ってない関係者いっぱいいたけど（笑）

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そのまま他に呼ばれていた映画祭も全部断ったんだけど、それを知ったある関係者に「海外の映画祭のコンペに入れてもらうのにどんだけ金使ってると思ってるんだ」って怒られたりして。あ、出品するのにも金いるんだって思ったら、余計にバカバカしくなった。

片岡K @kataoka_k

映画祭には出品する地域ごとにディレクターという肩書きの担当者がいる。どの映画祭も事前に日本で挨拶した関係者はその人だけだが、みんなが必死にヨイショしていたなあ。今になって思い返せば、未公開映画の中からどの映画を出品させるかはこの人物が握っていたってことは疑いようがない。