刑法:実行の着手と実行行為

0
ドロドロ @fire_age

初歩的な質問かもしれないんですけどウェーバーの概括的故意の事案で第一行為は因果関係ありかつ故意ありとなりますが、第二行為(過失行為)と死の結果との因果関係は肯定されますか?

2012-09-28 03:41:28
ドロドロ @fire_age

●毎回「実行行為」と「実行の着手」の関係がよくわからなくなります。●両者が明らかに異なる機能を果たしている(前者は「因果関係の起点」、後者は「予備と未遂のメルクマール」)のはわかります。また、両者が異なる事実を指している(窃盗で言えば実行行為は占有移転だが実行の着手は物色等)のも

2012-09-29 01:12:27
ドロドロ @fire_age

わかります(わかったフリかもしれませんが)。●ただ、実行行為は「構成要件的結果を惹起する客観的な危険性が認められる行為」(山口総論50頁)であり、実行の着手は「既遂の具体的危険の発生」(山口総論271頁、実質的客観説の結果犯説が前提)とされていて、同じことのように感じてしまいます

2012-09-29 01:13:31
ドロドロ @fire_age

。●「実行行為があれば実行の着手も必ず肯定されるが、逆は真でない」などと単純に包摂関係にあると考えることは誤りですか?両者は概念としてどのような関係にあるのでしょう?みなさんが「実行行為」と「実行の着手」との関係をどのように考えているか教えていただけると助かります。

2012-09-29 01:13:56
ドロドロ @fire_age

@pocket_simon ●「実行行為=構成要件該当行為」というのは確実に正しいと思います。「実行の着手=構成要件該当行為に密接する行為」というのはわかりません…。●「密接する行為」というのは「実行の着手は実行行為そのものではなく、実行行為よりも広い範囲をカバーしている」との意

2012-09-29 01:52:55
ドロドロ @fire_age

@pocket_simon 図での表現でしょうか?だとしたら仰りたいことはわかる気がします。●ただ、これはクリティカルな批判かわかりませんが、その考えだと「実行の着手」概念は「実行行為(構成要件該当行為)」概念に従たる概念だと位置付けることになる(まずは「実行行為」を画定しなけれ

2012-09-29 01:53:42
ドロドロ @fire_age

@pocket_simon ば「密接する行為」も決まりません)と思うのですが、妥当なのでしょうか?実行の着手の判断基準としてはあくまで「既遂の具体的危険」が据えられるべきで、そこに「実行行為」を持ち出す必要性はないと思われます。

2012-09-29 01:54:03
ドロドロ @fire_age

クロロホルム事件(早すぎた結果の発生)に関して「未遂処罰の必要という実質的な考慮から拡張された実行行為の理解を、異なった構成要件である既遂犯についても妥当させている」と山口先生は評価している(216頁)けど、第一行為は実行の着手であったはずなのにいつのまにか実行行為になってる…?

2012-09-29 01:58:47
ドロドロ @fire_age

@pocket_simon 第一行為を実行の着手とするための要件として「密接性」「客観的危険性」が挙げられているの、確認しました。実行の着手の実質的客観説からは「客観的危険性」要件のみで足りるような気がしますが、「密接性」は危険概念が曖昧であるために策定された形式的基準の一環なの

2012-09-29 02:39:01
ドロドロ @fire_age

@pocket_simon かなと思いました(山口総論269頁)。この判断枠組みに実行行為概念がどう関わっているのかは僕もよくわかりません。

2012-09-29 02:39:37
ドロドロ @fire_age

【クロロホルム判例(最決平16・3・22)に関する疑問】第一行為が「実行の着手」であることと、第一行為に殺人既遂の結果を帰責するためには第一行為に「故意」があることが必要になることはわかります。しかし、「故意」は「実行行為=構成要件該当行為」の時点で必要なはずです(教科書何頁に書

2012-09-29 02:45:48
ドロドロ @fire_age

いてあるか発見できませんでした。これが間違っていたらただの僕の勘違いということになります)。「第一行為が『実行の着手』である」というのと「第一行為が『実行行為』である」というのとは異なるはずです。少なくとも教科書では「第一行為が実行の着手である」ということにしか触れていないのに「

2012-09-29 02:46:29
ドロドロ @fire_age

第一行為の時点で故意があるから殺人既遂の結果を帰責できる」というように第一行為が実行行為であることを前提としたようなことを述べている気がしてよくわかりません。僕の教科書の読み込みが甘いという可能性はかなりあります。

2012-09-29 02:46:50
太郎('◇') @l_taro

@fire_age 山口説のように、実行の着手に多義性を持たせたり、かつての山口説のように実行行為概念自体を否定するとかだと、話は変わってきますが。

2012-09-29 03:00:34
ドロドロ @fire_age

@l_taro ●不遜ですが「通説によれば『実行の着手=実行行為の開始』」は誤りであると思います。また、これは非本質的ですが、かつての山口先生は実行行為概念を否定されているわけではありません。●「実行の着手」の理解に関しては客観的基準を立てるべきとの認識から客観説が通説で、その中

2012-09-29 03:20:00
ドロドロ @fire_age

@l_taro 正して実質的客観説と同じ見解に立っているとのことです)。また、「本来的な形式的客観説」によれば判例の物色説等を正当化することもできません。私見としては「実行行為あり⇒実行の着手あり」というのは賛成できますが「実行の着手あり⇒実行行為の開始あり」というのは全く賛成で

2012-09-29 03:21:02
ドロドロ @fire_age

@l_taro きません(山口総論によれば判例とも通説とも山口説とも異なる理解だからです)。山口総論267頁。●だから、「『第一行為が実行の着手』というのと『第一行為が実行行為』というのは同じ」というのは判例・通説であっても言えないと思います。●山口先生は「実行行為」概念が実質的

2012-09-29 03:21:31
ドロドロ @fire_age

@l_taro な問題を包み隠すブラックボックスと化していることを懸念する観点から「実行行為」概念を「否定」したのであって、構成要件的行為としての「実行行為」概念まで否定されたわけではないのだと思います。山口総論51頁。

2012-09-29 03:21:53
太郎('◇') @l_taro

@fire_age とりあえず、非本質部分。「かつての山口先生は実行行為概念を否定されているわけではありません」、知ってます、実行行為性概念の多様な使い方への警鐘として、実行行為概念を使わないようにしてみた、と理解しています。

2012-09-29 03:23:16
太郎('◇') @l_taro

@fire_age 仮に「実行の着手」と、「実行行為の開始」を分けている説というのがあるとすると、例えば、どういう行為とどういう行為が着手で、開始なのでしょうか?(素朴に質問です)。

2012-09-29 03:26:41
ドロドロ @fire_age

@l_taro 窃盗を例にすると、窃盗の「実行行為」は「財物の占有を移転する行為としての窃取行為」なので、「実行行為の開始」は「窃取行為の開始」です。他方、「実行の着手」はその「実行行為の開始」よりも前段階である「物色」等の時点で肯定される、との旨山口総論には書いてあります。

2012-09-29 03:35:40
太郎('◇') @l_taro

@fire_age 議論の混乱は、まさしく山口先生の言う実行行為概念の多様な使われ方のせいでもあるのでしょう。実行行為とは、「構成要件に該当する行為」であるとも「構成要件的結果発生の現実的危険のある行為」とも言われ、(もともと自説にしていた)大谷説では、後者の定義が普通なので

2012-09-29 03:35:40
太郎('◇') @l_taro

@fire_age 大谷説では「実行の着手」と「実行行為の開始」と同じになります。

2012-09-29 03:37:31
ドロドロ @fire_age

@passiveMERRY 「箪笥の方に向かう」のと「物を取り始める」のの両方とも「実行の着手」ってことですか?箪笥の方に向かうのだけが実行の着手だと思ってました…。故意の存在時期は疑問に思ってたのでかなり参考になります、ありがとうございます。

2012-09-29 03:40:01
太郎('◇') @l_taro

@fire_age そして、件の判例は、第一行為を「実行行為性のある行為(≒実行行為?)」ととらえてるため、実行の着手と実行行為開始を同じものと考えていると思います(判旨の書き方からすれば、そう解するしかない)。実行行為という言葉の使い方が雑だと言われれば、その通りでしょう。

2012-09-29 03:41:47