『資本論』を学ぶために -- 長谷部文雄 「夢見る研究コース」 抜き書き

長谷部文雄著 『資本論随筆』 (1956年刊) 収録。
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seki_yo @seki_yo

孤藻万里さんが twitter を 抜けられたので、代わりに 資本論について 少しだけ。 といっても 長谷部文雄 「夢見る 研究コース」 からの 抜き書きですが ...

2012-10-02 19:54:26
seki_yo @seki_yo

(1) 第1部第1篇と第3部第7篇とはつねに反復熟読しなければならない。前者は『資本論』全体の理論的基礎であり、後者は要約であり結論である。結論は研究のためには序論としても役立ちうる。

2012-10-02 19:57:33
seki_yo @seki_yo

(2) つぎに反復精読しなければならぬのは、第1部の第8、11、12、13、22、23章などと共に、第3部第20、36、47章などの歴史的叙述である。これは唯物史観的研究のためばかりでなく、価値論的研究のためにも必要である。

2012-10-02 20:01:23
seki_yo @seki_yo

(3) 『資本論』を研究する根本目的は、剰余価値の生産、流通、分配にかんする精密な抽象的理論を学ぶことよりも、むしろ、マルクス的=唯物弁証法的な考え方を学ぶことにある。そのためには、抽象的理論の諸章節よりも歴史的および批判的な諸章節の方が重要と思われる。

2012-10-02 20:05:46
seki_yo @seki_yo

そのための一つの読み方は、問題意識だとか目的意識だとかいう一種の成心をもってでなく、すなおな気持ちで、一応、マルクスの叙述にゆっくりついていくことであろう。

2012-10-02 20:07:40
seki_yo @seki_yo

(4) 『資本論』をたてから唯物史観的に、そしてよこから価値論的に、研究すること。私が唯物史観的研究というのは、富(単純な社会的生産物=使用価値)が、いかにして使用価値と価値との分裂をきたして商品とななり、いかにしてこの分裂・対立・闘争が止揚されて富=使用価値(ただし、 (続)

2012-10-02 20:12:57
seki_yo @seki_yo

より高度で豊富な)に統一されるか、という点を中心とする研究であり、価値論的研究というのは、商品の内部における使用価値と価値との分裂・対立・闘争そのものの研究であって、この二つは『資本論』研究のたていととよこいとである。

2012-10-02 20:16:14
seki_yo @seki_yo

価値論的研究のコースについては、多年らい一つの思いつきをもっている。それは、第3部における利潤論、利子論、地代論を、第1部首章の抽象的価値法則の具体化として立証することである。

2012-10-02 20:19:13
seki_yo @seki_yo

冒頭の価値法則は範疇としての商品一般に妥当する抽象的法則であって、具体的な資本制的商品は当然ながらそれ独自の具体的価値法則を有する。それは生産価格の法則であり、さらにこの法則に立脚して、利潤・利子・地代の法則に発展し具体化する。つまり冒頭の抽象的価値法則は、 (続)

2012-10-02 20:23:50
seki_yo @seki_yo

地代論をまって初めて、資本制的商品一般に妥当する具体的法則に発展するのである。

2012-10-02 20:25:08
seki_yo @seki_yo

しかし、法則の具体化はこれで終わるのではない。帝国主義、独占資本主義の支配する現代において、価値法則が、恒常的独占利潤を説明する法則にまで具体化さねばならぬのは勿論である。(了)

2012-10-02 20:27:42
seki_yo @seki_yo

これが、簡にして 要を 得た 資本論への 手引きだと 考えています。 どうだろうか ?

2012-10-02 20:32:55