@SpikeBloom先生によるVJ技術論3:演出編[イメージ奏法・映像のラベリング・展開手法・素材数の目安・TV的演出]
- sinarisama
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先日の第1回にて、グルーヴとは何か? 「溜める」「走る」とは何か?について触れましたが 今回は、「イメージ奏法」についてお話しようと思います。
2012-10-03 11:55:47ロングプレイでのイメージ構成法については、このイメージ奏法についてを経過してからのほうがわかりやすいと思いますので、少々お付き合いください。
2012-10-03 11:55:55「イメージ」も、「グルーヴ」並に曖昧に使われている言葉ですが ここではその「奏法」つまり、どのように組み上げて演出してゆくかという事に触れたいと思います。 ここでの「イメージ」は想像力というよりも、[具体的な映像の種別の事] と還元してお話します。
2012-10-03 11:56:20映像のラベリング
先述のように、VJの素材は分類されて「属性」に分化したほうが良いとお話しましたが まず、どのような属性に分けるのが良いかという事を、Spike-Bloomの実例を上げながら ご紹介します。
2012-10-03 11:56:42では、ここで、例としてMan With No Nameのライブの映像を再び貼っておきます。http://t.co/vzrRsrRw
2012-10-03 11:56:54このMan With No Nameというアーティストは、トランス音楽のオリジネイターと言っても過言ではないキャリアの方です。「88年にメジャー・レーベル『POLYDOR』よりリリースされた『Urban Acid』は、いきなり65000枚以上のセールスを記録する」(クラベリア)
2012-10-03 12:02:16さて、この方の音楽は非常に抽象性が高く、また名前自体が「名無しさん」である事からもわかるように「俺が俺が」といって、前に出てくるタイプのアーティストではありません。
2012-10-03 12:05:12「人間とはなんぞや?」というような禅問答を、音楽で投げかけてくるような作家さんです。 そして、「俺はこう思うんだけど、やっぱ生きてるのは楽しいよね!」と、語りかけてくるような作風であると思います。
2012-10-03 12:05:24五行式分類を活用した展開手法
なので、このVJについては、基本抽象的な演出ラインで行くという事と、自然物を中心とした素材展開+人間のシルエットで構成してつないでゆきたいと考えました。 そこで、映像素材を「五行説」を参考に分類して配置しております。
2012-10-03 12:05:36「五行説」とは、自然界を「水・金・土・火・木」の五つの基本素材(エレメント)に分類し、それぞれに特徴を持たせることで相補関係や対立関係を読み解く、東洋思想の基本思想の一つです。錬金術にも若干似てますね。
2012-10-03 12:05:46「火は水に弱いが、金属は溶かす。木は焼く」「水は火に強く、土を押し流すが、木に吸い取られる」みたいな、ドラマティックな理屈付けが、この五行では展開するので、単純にやりやすいというのが五行説採用の理由です。特に、東洋思想かぶれなわけでもありません。各々自分のやり方を探してください。
2012-10-03 12:06:20僕の場合、これにチベット密教などで使われる「風(ルン)」や 「空」の概念を加えることが多いかもしれませんね。 それぞれにアレンジを加えて、自分の好きなようにやったら良いと思います。 大事なのは、自分で素材をきっちり理解していること。
2012-10-03 12:06:50「なんとなくこれ、気持ちいいから」もありだと思うのですが、それを五時間も六時間もやるのは 相当の集中力が必要になります。 「高効率である」という利点や、「次何出したらいいか解らなくなってきた!」って時にも、状況整理するのは役に立ちます。
2012-10-03 12:06:58例えば、水の素材が出ているときは、それに対して激しく展開が生まれた時には「火」の素材を、優しく展開した時には「木・森」の素材を、というように展開します。 突如、神聖で壮大な世界観に持っていかれた時には「風」や「空」に展開します。
2012-10-03 12:09:35それぞれをミックスして、「水」+「風」とか「森」+「人」+「宇宙」とか、様々に展開を行うことができます。 常に大事なのは、DJやライブがどんな展開をしても引き出しを持っていること。 自分が出している映像を客観的に見て、それに対してツッコミを入れる目線を常に持っていることです。
2012-10-03 12:09:51そうでないと、下手するとVJがノリノリでオナニーしているみたいな現場になり、それがハマればいいですが、そうでもない時には非常にダサいことになります。これは本人は気づいていないだけで、周囲はかなり冷めた目で見てますからw 次回以降呼ばれないって事になります。
2012-10-03 12:10:37一晩の演出に必要な素材数の目安は300以上
さて、話は素材に戻りますが、ここでは五つ+数個のエレメントに素材を分類して展開を紹介しました。素材として、プレイ中にミックスすることを考えると2~3個。同じような展開に備えるとすると5~6個は欲しい所です。区分けが7つの属性として、35から40個の素材が必要になります。
2012-10-03 12:11:15それ以外の素材として、クールでシリコンっぽい映像とか、女性のシルエットが踊る素材とか、人によっては漢字で攻めるとか、特徴を幾つか持っていないと、オリジナリティーのあるプレイは難しいでしょう。これなら確実にフロアが盛り上がる素材というのは、幾つか持っていても損にはなりません。
2012-10-03 12:11:38これは経験上での数字なのですが、これ以下の素材数だと分類しても項目に1点しか残らないとか、DJが変わって、次のDJも同じようなグルーヴの曲からスタートした際などに、殆ど同じ映像が出続けることになり、別の素材とかぶせて新しい映像に見せようとしても、無理が生じる事があります。
2012-10-03 12:12:07