文芸評論 博士(学術)日本映画大学准教授。編著『東日本大震災後文学論』『地域アート』『ららほら』単著『新世紀ゾンビ論』『虚構内存在』『シン・ゴジラ論』『娯楽としての炎上』『攻殻機動隊論』、RTや「いいね」するものは、真実・事実だと裏を取っているわけではなく、必ずしも賛同しているわけではないので注意してください。
マクゴニガルの本を読んで、ぼくも代替現実ゲームを開発してみた。名づけて「銀河のゲラ直し」。このゲラが宇宙を象徴していて、自分がこのゲラを直さないと宇宙が崩壊するっ! と思い込むゲーム。ただし、ディックファン以外にはあまり効果が無い。
2012-10-04 13:25:32「銀河のゲラ直し」の欠点は、その後に大惨事とか戦争が起きたときに、「あのときのっ、俺のっ、ゲラ直しにっ、直しきれなかった部分がっ、あったからっ!!」って言って泣きながら「もうゲラは直さない」ってなっちゃって黄色い救急車が来るかもしれないところ。
2012-10-04 13:35:28「銀河のゲラ直し」と思わないと、「なんでお前はこんなひどい文章書いて完成したと思って送れたのか」という超自我の叱責に耐えかねてしんどい。「いや、それは前に宇宙を作った前任者の仕事で、わたくしはそれを直しているんですよ、エントロピー」とか思わないとやってけない
2012-10-04 13:45:53「俺が書いて送ったとき」と「ゲラになって読むとき」の情報の伝達と時間の経過の中で「銀河のゲラ」が「マクスウェルの悪魔」の干渉を受けていたことになった。「マ、マクスウェル! お前の仕業だったのか! 俺の記憶の中のゲラと違うのは、お前の謀略だったのだな!」
2012-10-04 13:55:55マクスウェルの悪魔「ふっふっふ、藤田よ。悪魔は私ではない。私はあくまで思考実験の中で観測するだけの虚構の存在。すなわち、悪魔はお前たちの心の中にいるのだ…… 悪魔がいる限り、戦争は終わらないし、銀河のゲラ直しも終わることがないのだ」というクライマックスまできた。
2012-10-04 13:58:31愛と絆と、それまでは敵対していた宇宙通商連合の協力で悪魔を倒したあとに、朝日を浴びながら「そうだ! ぼくたちの心の中の悪魔を倒さない限り、醜い争いは絶えることがないんだ!ぼくたちは自分の中の悪魔と戦って、戦争のない世の中を作るんだ!」というところまで来た。ゲラは進んでない。
2012-10-04 14:01:06困ったな。人類は教育と進歩によって道徳的に調和が可能なのか否かについて、主人公とヒロインが対立を始めてしまった。「人類は……果たして……それが可能なのだろうか? そこまでして、救うべき価値があるものなのだろうか?」ゲラをやれ。
2012-10-04 14:04:44「正気に戻って! 少なくともゲラをやらないと、へたくそな文章が世に広まって、銀河だけじゃない、あなたの預金残高に響くのよ! またパンの耳を食べる生活に戻りたいのっ!」
2012-10-04 14:06:02「銀河」と「宇宙」と「人類」の可能性に対する苦悩が、通帳の預金残高の輝きによって粉砕され、輝く光の中で主人公は新生する。「そうか…… 俺が直しているのは銀河じゃなかったんだ…… ゲラだったんだ……」
2012-10-04 14:16:39「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」 「ありがとう」 そしてゲラは進んでいない。
2012-10-04 14:18:19
- 約一時間後…