【科学技術と倫理】

宗教学者 島薗進氏の一連のツイートをまとめました。 「iPS細胞から人を作る」ことが可能になるとして、それを実行しても良いかどうか?という倫理的問題に切り込んでいます。 申し訳ありませんが、コメントは削除させていただきます。 議論は各自のブログ等で、しっかり字数を取って展開していただくほうがよろしいかと思います。
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島薗進 @Shimazono

1【科学技術と倫理】「iPS細胞から卵子 生命作製、倫理に課題 ヒト応用、不妊治療には期待」産経10/5 http://t.co/lC3wFYHB これはなぜ重要?不妊原因解明の治療利益はさほどのものではない。むしろ倫理的に重い問題と経済的な利益が大きいことがニュースヴァリュー

2012-10-06 07:44:18
島薗進 @Shimazono

2【科学技術と倫理】iPS細胞から卵子を作る。すでに精子は作れる。iPS細胞から人が作ることができる。これはES細胞の研究においてすでに論じられてきたこと。多能性細胞を作ることは生殖細胞を作ることを可能にし、そしてそれは人を作ることも可能にする。ではどこで線引きをするのか?

2012-10-06 07:44:31
島薗進 @Shimazono

3【科学技術と倫理】京大の科学者たちはヒトのiPS細胞から作った卵子が不妊治療に使われることを想定している。だがそれが倫理的に妥当なことかどうか分からない。でも日本の科学技術と経済のためになるからやっている。すでに倫理は後回しになってる。この悪循環を止める方法はたぶん一つ。

2012-10-06 07:45:20
島薗進 @Shimazono

4【科学技術と倫理】科学技術を倫理的な規範によって統御するための本格的な国際的討議を進めること。そして、科学技術が経済的な動機によって進められる度合いを強めている現状に歯止めをかけること。しかし英仏米をはじめ多くの国の科学者共同体はそうした倫理的意志の維持がますます困難に。

2012-10-06 07:46:12
島薗進 @Shimazono

5【科学技術と倫理】iPS細胞による「人間作成」に歯止めをかけることができそうな思想資源は今のところ「いのちの神聖性」を唱えるカトリック教会と一部のプロテスタントなどだ。だが、やがてイスラムや仏教もこれに加わるだろう。「いのちの神聖性」は超宗教的な理念になる可能性がある。

2012-10-06 07:46:35
島薗進 @Shimazono

6【科学技術と倫理】日本の場合、多元的な宗教伝統故にまとまった見解は提示されにくいが超宗派的な理念に近づいていく潜在的な可能性をもつ。だが残念ながら日本の宗教界・哲学思想界にそうした議論の力が足りない。拙著『いのちの始まりの生命倫理』http://t.co/IjiWTNzn

2012-10-06 07:50:21
島薗進 @Shimazono

7【科学技術と倫理】iPS問題と原発の問題は関連。科学技術が経済的利益に引きずられ、人類の幸福の為という目的を見失いむしろその基礎を破壊する方向を向いてしまう。R・シュペーマン(ミュンヘン大)「東日本大震災をめぐるドイツ人哲学者との対話」『神学ダイジェスト』112号(6月刊)参。

2012-10-06 07:51:31
島薗進 @Shimazono

8【科学技術と倫理】「簡便な検査で重い結果も 乏しい妊婦の相談態勢 新出生前診断に懸念」共同通信10/2。 http://t.co/kKt0bNk4 このニュースも関連する。できることはやってしまう。後からその倫理的意味を考える。だが、始めてしまったら容易にやめられない。

2012-10-06 07:51:48