イザヤ・ベンダサンbotまとめ/「(”人間であれ”という)法外の法」が「法」に優先する日本教の世界/~「人間学」はあれど”神学は無い”一つの宗教「日本教」~

イザヤ・ベンダサン著『日本人とユダヤ人』/全員一致の審決は無効/103頁以降より抜粋引用。
3
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

1】前略~まず第一に日本では「決議は百%は人を拘束せず」という厳然たる原則がある。戦争直後、ヤミ米を食べずに餓死した裁判官がひとりいた。<『日本人とユダヤ人』

2012-10-03 03:58:34
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

2】という事は、その人が例外なのであって、他の裁判官は勿論の事、この法律を議決した議員も、その議員を選出した国民も、誰一人として、国会の議決によるこの厳然たる法律に、百%拘束されていなかったことを示している。

2012-10-03 04:58:34
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

3】ユダヤ人ではこうはいかない。正統派ユダヤ教徒の律法政守の厳格さは、もしこれを刻明に話せば、たいていの日本人は驚きあきれ、時には失笑し、まず「話半分としても、厳格なものですなあ」という返事がかえってくるのが落ちである。だが話は半分ではないのである。

2012-10-03 05:58:35
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

4】細かい説明はしないが、戦後…あるユダヤ人のもとに毎土曜日(というのは安息日)アルバイトに行っていた日本女性の、驚きあきれた話をきけば十分であろう。彼女はその家庭に、夕刻に電燈をともしに行き、11時に消燈に行ったのである。

2012-10-03 06:58:34
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

5】というのはユダヤ人はその律法によって、安息日には絶対に動かないからである。日本人にはまことにあきれた話だが、昔はもっとひどかった。ローマのポンペイウスがエルサレムを攻撃したとき、はじめは何度強襲しても成功しなかった。

2012-10-03 07:58:35
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

6】その時ひとりの物知りがそっと彼に言った。「安息日に攻撃なさい、彼らは殺されても動きませんから」と。ポンペイウスは半信半疑で攻撃した。するとその言葉の通りであった。従ってエルサレムは落城した。全く「バッカじゃなかろうか」であろう。

2012-10-03 08:58:50
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

7】しかし、ユダヤ人だけでなくアメリカ人にも、日本人から見れば少々ばかげたことがある。裁判では、陪審員がまず有罪か無罪かをのべる。有罪ときまればあとは全く法律が自動的に作用するから、さまざまの犯罪を重ねたものには「懲役256年」などという判決が出る。

2012-10-03 09:58:52
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

8】日本人の目から見れば百年だろうが…二百年だろうが、人間がそんなに生きている筈はないから、こんな数字は無意味であろう。しかしアメリカでは、それは当たり前の事で、法は法として百%適用されねばならないからであって、その人間がその期間の全部を服役できるかできないかは問題外なのである。

2012-10-03 10:58:51
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

9】日本では、満場一致の決議さえ、その議決者をも完全に拘束するわけでないし、国権の最高機関と定められた国会の法律さえ、百%国民に施行されるわけではないから、厳守すれば必ず餓死する法律ができても、別に誰も異論はとなえない。

2012-10-03 11:58:51
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

10】法律を守った人間はニュースになるが、破った人間はもちろん話題にものぼらない。といって全日本が無法状態なのではない。ここに日本独得の「法外の法」があり「満場一致の議決も法外の法を無視することを得ず」という断固たる不文律があるからである。

2012-10-03 12:58:49
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

11】従って裁判もそうであって「法」と「法外の法」との両方が勘案されて判決が下され、情状酌量、人間味あふるる名判決などとなる。日本人はこの不文律を無意識の内に前提とするが、これは日本独得のもので外国にはないから、外国の会社などと契約を結ぶ場合…えてして大きな失敗をするわけである。

2012-10-03 13:58:51
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

12】ではこの法外の法の基本は何なのであろう。面白い事にそれは日本人が使う「人間」または「人間性」という言葉の内容なのである。

2012-10-03 14:58:46
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

13】今のべたような「人間味あふるる判決」とか、また「人間性の豊かな」「人間ができている」「本当に人間らしい」とかいう言葉、またこの逆の「人間とは思えない」「全く非人間的だ」「人間って、そんなもんじゃない」「人間性を無視している」という言葉、(続

2012-10-03 15:58:51
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

14】続>さらに「人間不在の政治」「人間不在の教育」「人間不在の組織」という言葉、このどこにでも出てくるジョーカーのような「人間」という言葉の意味する内容すなわち定義が、実は日本における最高の法であり、これに違反する決定は全て、まるで違憲の法律のように棄却されてしまうのである。

2012-10-03 16:58:53
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

15】守れば餓死するような法律などは「そんな人間性を無視した法律を守る必要はない」と全国民が考えると、その瞬間に違憲として棄却されるから、ないも同様になる。それならこの法律を国会で廃止すれば良いではないか、と主張する外国人が居れば、まことに日本を知らぬ奴といわねばならない。

2012-10-03 17:58:51
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

16】というのはこの法律は「人間性を無視しない範囲内」では厳然として存在し、それをおかせば罰せられるのである。従って「そりゃ、ヤミをやらねば食って行けないし、おれもやってるけど、あいつはやりすぎるよ、あんなことまでやれば、つかまるのはあたりまえだ」

2012-10-03 18:58:50
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

17】ということは、人間性という法外の法の保障する範囲がはっきり決まっており、これを乗り越えればすぐさま、国会の定める法により処断される、それが当然だ、という考え方である。このヤミという言葉はもう昔話である。今、同じような位置にあるのが税であろう。

2012-10-03 19:58:53
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

18】日本の税法をモーセの律法のように厳格に適用すれば、結果において脱税していない日本人はひとりもおるまい。さてここで問題になるのは日本人のいう「人間」「人間性」「人間味」「人間的」とは、いったいどういう内容で、それを基とする「法外の法」とはどんなものか、ということであろう。

2012-10-03 20:58:53
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

19】日本人自身これをどうお考えか、是非ききたいと思う。ただ私即ち一ユダヤ人の考え方からすると、これは一種の宗教的規定だといわざるを得ない。宗教、まさに宗教なのだ。といっても宗教の定義もまたむずかしいが、イスラム教やユダヤ教が宗教なら、これは立派な一つの宗教である。

2012-10-03 21:58:53
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

20】日本人が無宗教だなどというのは嘘で、日本人とは、日本教という宗教の信徒で、それは人間を基準とする宗教であるが故に、人間学はあるが神学はない一つの宗教なのである。そしてこの宗教は「人間とはかくあるべき者だ」とはっきり規定している。つまり一つの基本的立場が存在するのである。

2012-10-03 22:58:55
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

21】全ての法律、規則、規定、決議は、満揚一員であろうとなかろうと、この宗規に違反していないかどうか厳密に審査されねばならない。従って議決は常に最終的決定でなく、いわば満場一致の決議案にすぎないのだから、日本人は、これにさして神経質にならない。

2012-10-03 23:58:54
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

22】従って「全員一致の決議は無効である」という規定を設ける必要もないのである。ここに日本独得の弁証法がある。即ち「人間性」と「法」との弁証法とも言うべきものでこれが非常にゆっくりだが一種の正→反→合を繰り返している事は日本の新聞論調とその推移を辿って行けば明らかであろう。~後略

2012-10-04 00:58:34