生誕127年 いろぶつ先生のボーアの量子条件の話。

いろぶつ先生が ボーアの論文をみて 解説されておられたのでまとめてみました。
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前野[いろもの物理学者]昌弘 @irobutsu

せっかく生誕127年だし、ということでボーアの論文→ http://t.co/eOo5CxJK の流れを少し解説しとくと。まず最初に量子力学の教科書ほぼ全部に書いてあるように、「ラザフォード模型だと原子核の周りの電子はすぐに落ち込んじゃう」と書いている。この流れはお馴染みのもの。

2012-10-07 14:37:16
前野[いろもの物理学者]昌弘 @irobutsu

@irobutsu で、次にボーアが量子条件をつけるのだけど、この量子条件はお馴染みのmv×2πr = nhじゃなくて、「電子の運動エネルギー = hν/2」というもの。プランクの輻射理論を他の現象にも当てはめようというのは他にもやっている人がいた、とも書いてある。

2012-10-07 14:40:31
前野[いろもの物理学者]昌弘 @irobutsu

@irobutsu 特に、ボーアはラザフォード模型でやったのだけど、トムソン模型の方でプランク定数の条件を入れて、ということをHaasという人が先にやっていて、ボーアはちゃんとその話に言及している。で、この条件でちゃんと水素原子のイオン化エネルギー出てくるぜ、と主張。

2012-10-07 14:42:01
前野[いろもの物理学者]昌弘 @irobutsu

@irobutsu で、以下の仮定を置く、と言う。(1)定常状態にある系の力学平衡は普通の力学で議論できる。一方定常状態の間の変化はこの方法では記述できない。(2)後者のプロセスはプランクの式で表される放射の吸収/放出を伴う(抄訳)。

2012-10-07 14:49:06
前野[いろもの物理学者]昌弘 @irobutsu

@irobutsu ここではボーア本人が「電磁波が出ない理由」を特に書いてないけど、「普通の力学」というところに「電磁波の放出を考えないで計算した」という意味を加えているのかもしれない。電磁波については(2)でだけ考えるからね、ということなのかも。

2012-10-07 14:51:21
前野[いろもの物理学者]昌弘 @irobutsu

@irobutsu この続きも、今の量子力学の教科書に書いてあるのと全く同じ式(記号とかは違うけどね)が書いてある。もちろんバルマー系列などとの実験とあってるよ、ってところも。

2012-10-07 14:53:26
前野[いろもの物理学者]昌弘 @irobutsu

@irobutsu この後少し、電子のエネルギーをエネルギー量子として考えられるか、みたいな議論をしているけど、エネルギーレベルの差が一様じゃないから、それは難しいな、と考えている様子。

2012-10-07 14:57:59
前野[いろもの物理学者]昌弘 @irobutsu

@irobutsu この後の考察の部分がわかりにくい(ほんとはここが一番熟読したいところだが)。最後に彼が「permanent state」と呼んでいる基底状態に対する考察があるが、これも古典力学的に話をしようとして悪戦苦闘している感じ(そりゃ量子力学ないんだから当たり前)。

2012-10-07 15:15:15
前野[いろもの物理学者]昌弘 @irobutsu

@irobutsu とまぁ、結局古い論文だしいろいろ不明な点やごたついている処があって、読んだらスッキリとはいかなかったのだけど、ボーアが単純に「この条件を満たしていれば電磁波出ない」などと考えていたのではないという点は間違いないと思う。だらだら長くてごめん。

2012-10-07 15:21:56
前野[いろもの物理学者]昌弘 @irobutsu

読み終わった後で思わず自分の教科書読み返して、嘘書いてないか確認してしまったぜ。

2012-10-07 15:23:36
前野[いろもの物理学者]昌弘 @irobutsu

古典力学と量子力学の違いとは?という話はいろいろ切り口があるんだけど、「古典力学ではxとpがどんな運動も許されるが、量子力学では量子条件を満たすのしか許されない」という切り口がボーア条件。もうちょっと詳しく言うと、「古典力学の位相空間(x,p)は点だが、量子力学では面積hの面」。

2012-10-07 15:27:15