茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第741回「違うことをやるから、ライバルは輝く」

乃科学者・茂木健一郎さんの10月10日の連続ツイート。 本日も、引き続いて、日本を元気にするツイートシリーズ。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-10-10 06:26:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第741回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日も、引き続いて、日本を元気にするツイートシリーズ!

2012-10-10 07:09:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちら(1)子どもの頃、梶原一騎原作の『巨人の星』に絶大な影響を受けた。ちょうど、放送が小学校1、2年頃で(確か)、毎週固唾を飲んで見ていた。今見返してもすごいと思うのは、ライバル関係の設定。投手である星飛雄馬に、野手の花形満、左門豊作、さらにはアームストロング・オズマが挑む。

2012-10-10 07:11:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちら(2)花形満は、星飛雄馬に出会うことで、プロ野球入りを決意する。飛雄馬が軽量という致命的な欠陥を補うために編み出した「大リーグボール一号」を、花形は鉄球を打つという血の特訓で打ち崩す。その結果、自分の身体に負荷をかけてしまって、倒れる。子ども心に、すげーと思った。

2012-10-10 07:13:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちら(3)星飛雄馬が苦労して編み出した大リーグボール二号、消える魔球。子ども心に、こんなにいろいろ大変だったんだから、そのまま打たないでおいてくれよ、と思った。ところが、アームストロング・オズマが出てきて、バットをぶるぶる振り回して、ガツーンと打ってしまう。

2012-10-10 07:14:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちら(4)あげくの果てに、星飛雄馬の一番の親友だったはずの伴宙太さえもが、敵側に回ってしまう。最後の最後で、飛雄馬が下手投げの大リーグボール三号で達成寸前の完全試合さえも、伴宙太は逆立ち作戦で打ち崩そうとしてしまうのだ。『巨人の星』は、すさまじいまでのライバル物語だ。

2012-10-10 07:16:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちら(5)なぜ、梶原一騎はあそこまですさまじいライバル物語をつくったのか。誰でも、自分を脅かす存在は、できればなければいいと思う。ところが、ライバルなしでは、本当は自分を高めることができない。存在を根底から脅かすような相手がいてこそ、現状を超えて、さなぎから蝶になれる。

2012-10-10 07:18:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちら(6)ライバルが出現することは不幸なことのように見えて、実はライバルの不在こそが不幸である。あいつには負けたくない、あいつには負けるかもしれないというライバルが存在して、初めて私たちの生命は輝く。だから、人生では、金のわらじを履いてでも、ライバルを探さなければならない。

2012-10-10 07:19:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちら(7)ところで、ライバルというと、受験の時の点数競争を思い出す人がいるかもしれない。同じペーパーテストという土俵で、並んで走る。あいつは何点で、オレは何点だと勝敗が決まる。こういう「ライバル」は、梶原一騎が『巨人の星』で描いた「ライバル」とは似て非なるものである。

2012-10-10 07:21:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちら(8)『巨人の星』におけるライバルは、投手と打者というように、違うことをやっている。お互いに違うことをやっているから、同じ基準で点数化して比べようがない。むしろ向き合うのである。相補的ですらある。梶原一騎が『巨人の星』で描いたライバルは、違うことをやっているからこそ面白い。

2012-10-10 07:24:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちら(9)野球は投手と打者の対立が相補的でわかりやすいが、世の中では、そのような舞台を見つけることが難しいかもしれない。しかし、もしその文脈を見つけて成長することができれば、大いなる福音となる。少なくとも、単なる点数争いは深いライバルではないことを、『巨人の星』が教えてくれた。

2012-10-10 07:26:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第741回『違うことをやるから、ライバルは輝く』でした。

2012-10-10 07:26:48