心理学ワークショップ「ゲシュタルト・アウェアネス・プラクティス」体験記

ゲシュタルト療法理論に基づいたワークショップの体験記です。
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倉沢 繭樹 @mayuqix

2008年11月、田川郡英彦山の宿泊施設で行われたワークショップ「リトリート in 英彦山」に参加しました。このワークに参加するのは、昨年に引き続き2度目です。プログラムは、基本的に「ゲシュタルト・アウェアネス・プラクティス」というものに基づいているようです。

2012-10-10 16:38:57
倉沢 繭樹 @mayuqix

アウェアネスとは「気づき」のこと。何に気づくのか。それは、あわただしい日常で見落としているものすべてにです。現代の日常生活は、かなり思考にかたよっている。目的地まで何時間か、この商品はいくらか、気分が悪いのはなぜか、この男とつきあって得することは何か、等々。

2012-10-10 16:40:41
倉沢 繭樹 @mayuqix

移動時間から人間関係まで、計算したり分析したりしています。複雑な現代社会に適応するには必要なことですが、頭で何もかもやっていると、かなりマズい。感情・感覚に鈍感になってしまう。それじゃ生きている実感がうすくなってしまいます。

2012-10-10 16:41:51
倉沢 繭樹 @mayuqix

ワークのファシリテーターは、NPO法人の代表でカウンセラーの葉月優理菜先生です。ゲシュタルト療法、交流分析、NLPなどを中心に学ばれ、他のカウンセリング・心理療法も研究されています。心理療法家、クリスティン・プライスを師としていらっしゃいます。

2012-10-10 16:42:39
倉沢 繭樹 @mayuqix

思考はすぐに未来にいったり過去にいったりします。来年は今の彼氏と続いているかな、とか、2年前に親に言われたあの言葉に傷ついた、等々。でも、私たちは今にしか生きていません。未来を心配したり、過去にとらわれている間に、今という時間は過ぎ去る。

2012-10-10 16:43:29
倉沢 繭樹 @mayuqix

「今、ここ」を感じるために大切なのが、ほかでもない、私たち自身の身体です。思考がどこをさまよっても、カラダはここにしかないからです。参加者同士で互いに「今、ここ」での気づきを伝え合う「ベーシック・コンティニュアム」というワークをします。

2012-10-10 16:45:46
倉沢 繭樹 @mayuqix

空気の冷たさ、身体の緊張、風の音など「~に気づいています」というふうに伝える。私たちは生きている限り、つねに何かに気づき続けています。でも日常生活では、そのほとんどを通り過ぎてしまう。ワークでは、日常とは正反対のことをします。気づきをちゃんと感じ言葉にするのです。

2012-10-10 16:46:40
倉沢 繭樹 @mayuqix

たとえば、空気が冷たいことに気づいています、と言葉にして相手に伝える。そんな当たり前のこと、普段はわざわざ口に出して言わない。日常とは正反対のことをワークでしていると、混乱することもありますが、なかなか楽しい経験でもあります。いったいいつもどれほどの感覚を捨てているかに気づく。

2012-10-10 16:47:43
倉沢 繭樹 @mayuqix

思考にかたよった生活に気づく。自分がどんなフレーム(枠)の中で生きているかに気づく。私たちは、話を聞いている相手の反応によって、知らず知らずのうちに誘導されています。相手が嫌な顔をした話題は、それ以上続けないで別の話に変えたりしている。

2012-10-10 16:48:59
倉沢 繭樹 @mayuqix

また、日常生活では、何かの質問に一度答えたら、もう訊かれることはない。「リピーティング・クエスチョン」というワークでは、順番に、自分が選んだ同じ質問を何度も相手から訊かれ、答えます。

2012-10-10 16:50:06
倉沢 繭樹 @mayuqix

ファシリテーター(進行・促進・まとめ役)の葉月先生が示した、あなたにとって救いとは何ですか? といったような3つほどの質問から、自分が選んだ同じ質問に、何度も答え続ける。初めは思考で答えていますが、そのうちにネタが尽きます。そこからがワークの真の目的です。

2012-10-10 16:51:13
倉沢 繭樹 @mayuqix

自己の内面を掘り下げていき、感情とともに表現する段階にいたります。とっさの時や追いつめられた時、自分で思ってもみなかったことを言ったりしたりした経験はないですか?

2012-10-10 16:52:33
倉沢 繭樹 @mayuqix

でもそれはあなたが気づいていなかっただけで、やはりあなたの中にあった何かなのです。リピーティング・クエスチョンでは、ゆっくりとその何かを確かめます。聞き手は、話し手を誘導しないように、なるべく反応をひかえて傾聴します。すると、話し手は深く内省し「思ってもみない」ことを語り出す。

2012-10-10 16:53:46
倉沢 繭樹 @mayuqix

昨年は、アートワークとして、模造紙に自分の身体の形を写し取り、3日間通して彩色するということをしました。今回は、自己をイメージして、粘土で作品を作りました。そして、自分の作品や他の参加者のものを鑑賞して、カードにコメントを書いて捧げました。

2012-10-10 16:54:34
倉沢 繭樹 @mayuqix

最終日、制作者本人が解説をして、作品から得た直感を手紙にして発表しました。ロールシャッハ・テスト、箱庭療法、描画テスト、コラージュ療法等、これらは「投映法」と呼ばれます。アートワークもその要素を含んでいます。

2012-10-10 16:55:35
倉沢 繭樹 @mayuqix

粘土で作品をつくれば、そこに自分の中の何かが映し出されます。それが投映(投影)です。作品と向き合うことは、形になった自己の一部を吟味しているということです。ある種、シンボルであり、願望であり、苦悩であり、抱えている問題の外在化です。

2012-10-10 16:56:29
倉沢 繭樹 @mayuqix

ワークには、身体を使うボディワークもあります。私たちは普段特に意識しなくても、問題なく歩くことができます。と言うか、意識すると逆に歩き方がぎこちなくなります。ワークでは、そのぎこちない歩行をあえて行います。一歩一歩確かめるようにゆっくりと歩いてみます。

2012-10-10 16:57:12
倉沢 繭樹 @mayuqix

この「ウォーキング・メディテーション」は、自分の身体に気づくためのワークです。今、ここで運動している身体に「なる」わけです。ゲシュタルト療法では、言葉と並んで身体を重視します。日常的な身体の使い方は、効率的ではありますが、不自由です。

2012-10-10 16:58:30
倉沢 繭樹 @mayuqix

ワークでは、音楽に合わせて、自分で動かしたいように自分の身体を動かす「ヒーリング・ダンス」をします。はた目からは、かなり変な動きに見えます。しかし、長い時間、動きたいように動いていると、だんだん感情が外に出てきます。スッキリしてくるのです。

2012-10-10 16:59:35
倉沢 繭樹 @mayuqix

昨年のワークでは、野外で「トラスト・ウォーク」をしました。ペアになって手を結び、一切話さず山を散策します。何か注意を引くものや面白いものを発見したら、言葉を使わず、相手の身体に触れたりボディランゲージで伝えます。このワークでは、相手との信頼感を体験します。

2012-10-10 17:00:27
倉沢 繭樹 @mayuqix

また、言葉を使わないノンバーバル・コミュニケーションが、実は伝達手段として豊かであることを知るのです。今回は参加者数の関係で、野外ワークは少し離れた神社まで散歩しました。でも、ただの散歩ではなく、気づいたことを声に出して言いながら歩きます。

2012-10-10 17:01:54
倉沢 繭樹 @mayuqix

すると、普段なら見過ごしてしまいそうなことに気づきます。道に落ちている石の形が途中から違っていること。奇妙な生え方をしている樹木。土の固さ。自然の多様性を感じます。

2012-10-10 17:02:53
倉沢 繭樹 @mayuqix

宿泊型ワークの終わりは、いつもとても悲しくなります。もっとこの時間が続けばいいのに、という寂しさ、名残惜しさがこみ上げてくるのです。ワークの最後に、ファシリテーターの葉月先生の師匠であるクリスティン・プライスがよく歌うという歌を、みんなで歌うことになりました。

2012-10-10 17:03:41
倉沢 繭樹 @mayuqix

でも、僕はまともに歌うことができませんでした。葉月先生が歌い始めた瞬間、涙があふれてとまらなかったからです。号泣。

2012-10-10 17:04:22
倉沢 繭樹 @mayuqix

ワーク終了時、みんなで手をつないで輪になります。葉月先生は語ります。この輪の外の現実は、辛く厳しいかもしれません。戻って来たくなったら、いつでもこの輪の中に戻って来てください。また、この輪の外で闘っている、たくさんの仲間たちのことも思ってください。

2012-10-10 17:05:21