vita_to_okina さんのガンダムAGEについてのつぶやきのまとめ

水槽の中の犬 @yumegiwa_okina

youtubeにてAGEゲーム版を鑑賞中。アニメよりもやりたいことが明確に表現できているように思う。もし自分が小学生なら素直にプレイしたいと思える出来だった。ただ、アセム編だけはなんというか対象がズレているんじゃないか？という感想を持った。いや、つまんないという移民じゃなく。

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まずはアセム編で感じた違和感から。前後のフリット、キオ編と比べ異なるテーマを扱ったアセム編は主人公である彼のアイデンティティの確立までが描かれている。フリットやキオが「社会に対しての自分」を確立するまでの展開に対して、アセムは「自分が自分である」ことを確立するまでが描かれていた。

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フリットやキオが対面した社会とは「ヴェイガン(火星の人々)」であったり「ディーヴァの(自分の周りにいる)人々」であったりと他者との関係を基盤にしたモノであった。一方アセムにおいては「偉大な父」「ライバル」との関わりで生じる劣等感、つまり自意識を基盤とする自我の確立だったと言える。

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自意識との戦いというテーマは思春期において最も強く見られる課題傾向だ。土曜5時で低視聴率に終わったAGEの評判中でいくつか見られた「アセム編は好き」という感想はこの傾向を多少なり後押しするモノである。アセムを中心にゼハートやオブライトなどにもこの種の感情移入が派生しやすい。

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しかしAGEは曲がりなりにも大河ドラマ形式を取っている。前後に控えるフリット、キオ編で描かれるモノとアセム編で描かれるモノとでは明らかに違う。本来二項両立させるモノではなく、どちらもテーマとして相当な質量が含まれている。エヴァとヤマトをテーマ的に相乗りさせて放映するようなモノだ。

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人間の発達課題において思春期から青年期において最も強く見られる課題に自我の確立があり、自分の周囲との関係を結ぶ段階はこの時期よりも後の話となる。AGEは大河ドラマとしての巨視的な展開上、短時的とも言える自意識の問題を本来は受け入れ難いはずなのである。自意識は歴史にはならないから。

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ただアセム編て見られた多くのキャラクター達の葛藤が三世代において大きく昇華されていったことを鑑みれば、テーマとして扱うことが必ずしも悪いとは言えない。48話の壮絶なる展開はアセム編無しには絶対に起こり得なかった。アセム編で悩んだ彼らがキオ編で頼れる存在になっているのも面白い。

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そういったことも踏まえて「アセム編は面白かった」という感想に見られるある種の思春期的な、エヴァ的な心理展開が土曜5時のあの視聴者層に受け入れられたのも納得がいく。つまりマギも青エクも銀河美少年も皆皆自意識に悩む若者達の話で、それらを題材にした作品を多く扱うのがあの時間帯の特徴だ。

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ここまでが前振り。つまりそういった心理主義作品が求められていた放送枠に何を間違ったか(それともあのプロデューサーが期待したか)AGEを当て込んでしまったのだ。その心理展開は49話中せいぜい15話程度なのに！あんな可愛いフリットやキオに自意識過剰な中高生が感情移入とか無理だよ普通。

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で、最初のAGEゲーム版の話に戻ると物語全体のテーマとして「子供向け」という作りには大成功を収めていると確信した。問題は放送枠だ。放送枠はその時間帯に番組を見ることが既に習慣となった人々がメイン視聴者となる。視聴者側にもこの時間帯にこんなカンジの番組が見られる、という信頼がある。

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その視聴者の信頼に反するモノがAGEだったのである。もちろんガンダムは全て見るガノタもいらっしゃるが、そちらは「ガンダムとは～である(べきだ)」というより厄介な信頼が構築されてしまっている。悲しいが四面楚歌の状況である。土曜5時という戦場にアセム編という武器だけで迷い込んだのだ。

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以前AGEは水曜7時にやった場合を考えたのは、AGEが持つ作品としての魅力が発揮されるフィールドはそちらの方が適していると思えたからだ。「土曜5時」の慣習にしても「SEED以降のガンダム」にしても特異点となってしまうのがAGEなのである。唯一近いと言えるのは同テレ東枠のアレだ。

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アレとは「SDガンダムフォース」である。理由は単純に主人公のシュウトが自己の在り方に悩まないからだ。そういった意味で「子供向け」とは自意識のような過度の心理描写を用いないことを言うのかもしれない。脇役は別に悩んでもいい。主人公が笑顔で解決してくれるからだ。

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改めて言うとアセムは自己の在り方に悩み、フリットとキオは他者との関係に悩んだ。この二つは作品の根幹から異なる性質を持っていて、ハッキリ言えば商品を買ってくれるお客だって変わってくる部分だ。その子供向けと自我の確立という要素を「世代を超える物語」という巨大な枠で包括したのがAGE。

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そんなわけで批判される要素満載ながら無事最終話まで放送を終えたAGEだがこのままの評価ではちょっとあんまりだ。純粋に作品を楽しめないバイアスを少しでも修正したいので提案したい、いくつかのことがあります。目標は「観た時の印象をダンボールやイナイレと同程度になる」ことを目指します。

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レベル5他作品でも世代を跨ぐストーリー展開が見られる。AGEとの違いは世代が移り変わるまでの話数だ。イナイレもダンボールもほぼ1年かけてから移行している。一方AGEは平均15話。足りるわけがないが、雰囲気は掴める。ああ、時間が過ぎてるんだなぐらい。普通子供番組にはない要素だ。

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時間の経過が語られるアニメは案外少ない。ちょい前はループするのが普通、もしくは卒業とか終わりが設定されているかのどちらか。AGEは100年間、という時間を括りにしていて歴史を眺める視点が必要とされる。つまり「記憶」に関心を持つことであり、二度見、三度見をするのが良い見方。

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次にキャラへの感情移入の視点。前述のアセム編は自己の在り方、フリット、キオ編は他者との関係が見所。後者はわかりやすく言えば、世界平和を目指して勇者が活躍する展開みたいなモノ。49話の時間の中で世界平和、自己、世界平和、世界平和+葛藤の昇華といったテーマでそれぞれ展開していく。

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そして最後にガノタとしての視点。ガンダムとして見て、過去作品として比較するにもAGEはリアルガンダムとは比較する土俵が異なるのではないだろうか。ゲーム版のMSを見て現代のSDガンダムと言える、デフォルメされた存在のように思えた。AGEはSDガンダムに類するべき作品なのだ。

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ガノタの中でSDガンダムは不可侵の領域であり、それらの作品はほとんど批評されることがない。個人の感想に多少見られる程度でリアルガンダムで活発に行われるそれとは雀の涙程に過ぎない。専門家がいないことが原因だと思われるが、SDガンダムはその可愛らしいデザイン反するメッセージ性を持つ。

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レベル5作品のメカデザインはSDガンダムの系譜に則るモノであり、アニメはリアルガンダム系の造形になったが、元企画がゲームにあるのは明らかでデザイン自体もそちらの方が本質に近いのだと思う。あの時間帯、SEED以降というバイアスにかかった結果のあのメカデザインなのではないか。

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AGEメカデザインはゲーム版が本質って呟いたけど、企画としてのデザインはもちろんリアルに描かれたモノを次にデフォルメしたのだと思う。問題は作者の中ではどちらがイメージに近かったのかということ。大きな視点で見る時は、対象物は小さくならないと制御できない。コンセプト上のコマみたいな。

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AGE劇中の過去作品オマージュを見るに日野さんは企画する際に相当な過去作品を見ていることは間違いない。だがその中にSDガンダムは果たしてどれだけ含まれていただろうか？その存在を知っていればあのコンセプトでわざわざ土曜5時にやる必要性は感じないはずだ。サンライズも同罪。

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SDガンダムはリアルガンダムと比較していつも一段下に置かれがちだ。しかしその独自のドラマツルギーに魅せられた人々は確実にいて、その信頼も根強い。AGEはそこにカテゴライズされた方が作品として幸福になれると思う。大人達の思惑に振り回された作品だった。

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でもホントにAGEはSDガンダムとして見直すとあらゆるストレスがなくなると思う。フルカラー劇場を書いてた、あずま勇輝先生にキャラを描いてもらったら人気出たと思う。ジジイ化するAGE1とか反抗期のDBとかそれを止めるFXとか。GP兄弟みたいだけど。