別冊少年マガジン班長に聞く――少年誌、本格ミステリ、そして頭脳バトル漫画について
- ashibetaku
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@betsumaga お疲れさまです! 質問なのですが、貴誌の兄貴分である少年マガジンは探偵漫画、それも謎解き主体の本格ミステリで一時代を築かれましたが、このジャンルでの成功例はほかに数えるほどというのが実状かと思います。少年誌における推理漫画の要件とは何でしょう。(続きます)
2012-10-11 18:02:29@betsumaga (続きです)そもそもこのジャンルは必要とされているのか、漫画との相性はどうなのか。今回新連載コンペで求めておられる「頭脳バトル漫画」からの連想なのですが、たとえば推理物はこれに合致するのか。ざっくばらんにお答えいただければ幸甚です。
2012-10-11 18:02:34芦辺先生、ありがとうございます!芦辺先生に対してミステリに何かを語るなんてとうていできないので、ご質問をこのように単純化させてください。1)ミステリ漫画とミステリ小説の違いは?2)ミステリ漫画は今後も需要があるか?3)ミステリ漫画と今回の頭脳バトル漫画の違いは?
2012-10-12 23:30:23突然、話が変わりますが、「漫画に向いているスポーツとは何か?」って何だと思いますか?ざっくりとした答えはこうです。「心理戦があって一発逆転があるスポーツ」です。それが一番向いている。野球やボクシングの漫画に名作が多いのは一目瞭然ですね。意外な所ではビリヤードや将棋も向いています。
2012-10-12 23:35:21つまり、サッカーは本当は漫画にするのは大変なスポーツです(週マガのエリアの騎士は本当に凄いんです。編集者はみんなそう思ってます)。むしろバスケットボールのほうがドラマチックにしやすい。3点シュートがあるから。心理戦と一発逆転。これが漫画を面白くする。
2012-10-12 23:38:03そこから翻ってミステリ漫画を眺めたとき、いかがでしょうか? まさに心理戦と一発逆転の宝庫ではないでしょうか。そこに目を付けた「金田一少年の事件簿」天樹征丸先生、金成陽三郎先生の企画力はまさに天才的だと思います。なんで今まで漫画になかったん!?と目から鱗だったと聞いています。
2012-10-12 23:41:48これほど漫画に向いたジャンルはないというくらいミステリ漫画はぴったり合うと思うし、パッケージは変わってもその需要は今後も衰えないでしょう。ただ、ミステリ小説と少し違うかもしれないのは、トリックがただの道具である割合が漫画のほうが高いです。
2012-10-12 23:43:48昼間も少しつぶやきましたが、漫画は感情を揺さぶるところが面白い。キャラクター同士の相克や愛情、駆け引きを主体に描くのが漫画のミステリです。トリックは添え物です。添え物なんてレベルじゃないぞというくらい天樹先生のトリックも素晴らしいと思いますが、それでも、
2012-10-12 23:47:01それでも天樹先生の意識もキャラクターのぶつかり合い、かっこよさ、動機を描くことに重きを置いているように思います。小説は門外漢ですが、その点で少し比重が違うかもしれません。最後に、頭脳バトル漫画とミステリ漫画の違いは、明確です。
2012-10-12 23:48:54メインの議題は殺人事件でもいいんです。それをずっと同じ犯人VS探偵で、1対1での駆け引きをずっと続けてくれたら頭脳バトル漫画です。古畑任三郎や週マガの「探偵犬シャードッグ」のような、あらかじめ犯人がわかっている倒叙ミステリを、強力な犯人役と対峙して対決していくイメージでしょうか。
2012-10-12 23:52:22その犯人役のほうを主人公にしたら、デスノートじゃないかと言われると、そうかもしれませんね。ミステリであっても、犯人役が毎回変わるのではなく、強敵との1対1の対決を描くことを主眼にすると、頭脳バトル漫画の領域に入っていくというイメージです。冗長ですみません。以上ですm(__)m。
2012-10-12 23:55:05@betsumaga お答え、感謝です! 謎を解き、犯人と対決し、秩序を回復する本格ミステリは、その意味で最も古典的な物語の枠組みに忠実で、にもかかわらず、そこから一番かけ離れたものになってしまいがちです。少年漫画という物語の王道を行くものとミステリの接点を見出すことで(続く)
2012-10-13 00:01:32@betsumaga 本格ミステリというものに「物語る力」みたいなものを取り入れることができないか――そう考えて、漫画作りの最前線におられる別冊少年マガジン班長様に問いを投げかけてみました。確かに何かが見てきた気がします。本当にありがとうございました!
2012-10-13 00:04:42