丸山天寿先生の「食べるミステリー」

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丸山天寿 @tenjumaruyama

さて日曜日のお遊び。秋が深まった。この季節は読書に最適でもあり、食べ物も美味い。順調に行けば、私も来月には新作を出せそうだし、たまにはミステリーの事も呟かないと忘れられてしまう。そこで本日のお題は「食べるミステリー」。全ての異論、叱責、追加を認めます。文中敬称略。→

2012-10-14 07:54:02
丸山天寿 @tenjumaruyama

「料理長が多すぎる」―レックス・スタウト。料理人顔負けの食通探偵・ネロ・ウルフが活躍。ホテルで開かれた世界十大シェフによる晩さん会でシェフの一人が変死。招待されていたネロの捜査が始まる。徹頭徹尾、料理に拘るミステリー。探偵の推理も魅力的だが、出てくる料理が実に美味そう。→

2012-10-14 07:55:23
丸山天寿 @tenjumaruyama

「ベンスン殺人事件」-ヴァンダインのデビュー作品。探偵ファイロ・ヴァンスは美術収集家の知識人。そして希代の美食家でもある。密室状況で株式仲介人ベンスンが殺され、ヴァンスは捜査を依頼される。だが、彼は気をもむ捜査陣の前で、推理そっちのけでグルメ談義を始める。その薀蓄は並ではない。→

2012-10-14 07:57:46
丸山天寿 @tenjumaruyama

「初秋」-ロバート・B・パーカー。探偵スペンサーは元ボクサーでタフ。そしてワインとビールを愛し、チーズバーガーを好む親しみやすいヒーロー。ある女からの依頼で前夫から奪還した少年の心を癒すべく二人は森で共同生活を始める。あまり目立たないが料理や食事がいかに大切かを知らされる名作→

2012-10-14 08:00:01
丸山天寿 @tenjumaruyama

「クリスマス・プディングの冒険」-アガサ・クリスティー。ミステリーの女王が生んだ「世界で最も偉大な探偵」、ベルギー人エルキュール・ポワロ。その頭脳も凄いが、美食家でもある。この作品の中でイギリスのプラムプディングの作り方を述べている。推理物としてもだが料理物としても読む価値あり→

2012-10-14 08:01:44
丸山天寿 @tenjumaruyama

「007シリーズ」-イアン・フレミング。世界で最も有名なスパイ、ジェームス・ボンドは頭脳明晰にしてタフガイ。女にもモテルが実は大変なグルメ。ロンドンの自宅ではいつも同じものを食べるが、世界を飛び回る時は行く先々の珍味を味わう。日本でも松坂肉を食べている。目立たぬグルメミステリー→

2012-10-14 08:03:05
丸山天寿 @tenjumaruyama

「メグレ警部シリーズ」-ジョルジュ・シムノン。パリ司法警察の警部メグレは信念を曲げない強い男で優しい夫人と二人暮らし。この夫人が料理のレパートリーを100以上持つ。夫人の料理を食べるメグレは幸せ者だ。特にスパゲティ・カルボナーレが美味そう。作者は大変な美食家だったらしい。→

2012-10-14 08:04:37
丸山天寿 @tenjumaruyama

「メインディシュ」-北森鴻。料理上手の不思議な人物「ミケさん」が料理を通して活躍する料理短編連作集。献立の謎、レシピの謎など食へのこだわりから生れたミステリー。登場人物が語る言葉が素敵。「料理は足し算が出来て掛け算が出来て、割り算も出来る。が、引き算は出来ない」料理好きな人必読→

2012-10-14 08:06:36
丸山天寿 @tenjumaruyama

「グルメ殺人事件」-嵯峨島昭。お洒落でグルマンな酒島章警視。好意を持っている人妻・鮎子とのデートはいつも食べ歩き。その食の薀蓄を読むだけでも楽しい。そして、彼の行く先々で起こる殺人事件を解決する推理もそれ以上に楽しい。この作者の作品は他にもムフフな描写があり一冊で何度も楽しめる→

2012-10-14 08:09:09
丸山天寿 @tenjumaruyama

食のミステリーは実に多い。私の書棚をざっと見回しても二十数冊の本がある。私は浅学にして知らないが、おそらく誰かが、案内書を書いておられると思う。捜せばまだまだ名作、傑作があるだろう。読書と食欲の秋。皆さん、大いに食べて、大いにミステリーを読んで下さい。本屋と物書きの願いです。 了

2012-10-14 08:14:41