キュゥべえさんの真面目な呟き「iPS細胞について」

キュゥべえさん(@QB0)の真面目な呟き「iPS細胞について」をまとめてみました。
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キュゥべえ @QB0

アメリカでips細胞の臨床応用をしたとされる、森口尚史さんの件が「実体のないものだった」というニュースが話題になっているみたいだね。よければそれについて、といってもボクは専門ではないから、技術的なことではないんだけれど、少し話をしてもいいかい?

2012-10-14 21:32:50
キュゥべえ @QB0

このニュースが注目された理由の一つには、京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞したこともあって、それでまた「ips細胞」というものに関心が集まってしまった部分がある。ただ、今回の事件は森口氏本人よりも、どちらかといえば最初に掲載した新聞社の不手際も大きかったみたいだね。

2012-10-14 21:35:24
キュゥべえ @QB0

もうだいぶ前の話しなるけれど、韓国で黄禹錫という教授がヒトの胚性幹細胞(ES細胞)の作成に成功したとされ、これが世界で話題になった。けれど、後になって捏造されたものだった、とわかったんだ。そのとき指摘されたのがマスメディアの科学・技術関係の記事に関する姿勢というものだった。

2012-10-14 21:40:58
キュゥべえ @QB0

NHKのtiwtterアカウントには「かぶん」という科学文化部の専門アカウントがあるんだけれど( @nhk_kabun)、こういう具合にメディアの中には科学関係のニュースを正確に報道するために、専用の記者を用意しているところもある。それだけ、科学のニュースは難しいからね。

2012-10-14 21:43:38
キュゥべえ @QB0

ところが、今回の事件の場合読売新聞などが、臨床手術に参加したとされる森口さんの発表を紙面に大々的に公開したことで騒ぎが大きくなってしまった。それはメディアの責任だし、これからしっかり報道してもらうしかないんだけれど、問題はips細胞に寄せられる期待の大きさにもあるんじゃないかな。

2012-10-14 21:47:28
キュゥべえ @QB0

さて、ips細胞についての話の前に、たぶんキミたちの中にも「ES細胞」というのは聞いたことがある人も多いんじゃないかな。ごく簡単にいってしまえば、これは人間のもとになる細胞のようなもので、そこから様々な器官や神経などの細胞が作り出すことができるといわれているものだよ。

2012-10-14 21:49:40
キュゥべえ @QB0

もともと、ES細胞はもうずい分前から「発見」されていた。最初は1981年にマウスで、それから人のES細胞がはじめて作り出されたのが1998年とされているみたいだね。http://t.co/7XyzQ7Xa

2012-10-14 21:53:28
キュゥべえ @QB0

このES細胞を利用すれば、現在では治療が困難だとされている神経の病気を治療するだけでなく、将来的には失われてしまった人間の器官などを作り出せる可能性も十分にあったことから、大いに期待はされていた。ところがまた、かなり大きな問題もあったんだ。

2012-10-14 21:55:09
キュゥべえ @QB0

それはES細胞の素材になるものが、「ヒト胚」といわれているもの。言い換えれば、将来は人間となる可能性の高い受精卵であったことに一番の理由がある。人間の生命の誕生を、どの段階と見るかには様々な議論があるみたいだけれど、もしもこの段階をすでに「人」であるとするのなら、これは問題だよね

2012-10-14 21:57:59
キュゥべえ @QB0

ES細胞だけでなく、クローンなどの技術(これもES細胞にかなり関わっているみたいだね)をはじめとした、生命の誕生に関する、あるいはこの世界には本来あり得ない同一の遺伝子をもった個体を作る技術は、「神の領域」を侵すとさえいわれ、それだけに世界各地で様々な論争が起きることになった。

2012-10-14 22:00:14
キュゥべえ @QB0

そのため、アメリカや欧州などではとくに人権的な問題、倫理的な問題からES細胞に関する技術も研究、実用に様々な障害が出てきてしまったんだ。そこへ、最初の方で書いた黄禹錫教授の捏造事件などもあって、一時期こういった技術はかなり停滞することになる。

2012-10-14 22:02:13
キュゥべえ @QB0

山中教授のips細胞の作成が、そこで画期的だとされた最大の理由はヒト胚を使わなくても、すでに成長した個体の細胞を初期化してES細胞と同じようなものを作れるというところにあった。ちなみに、山中教授と共同受賞したガードン博士は、この初期化の技術にカエルの遺伝子で成功した人物なんだよ。

2012-10-14 22:04:59
キュゥべえ @QB0

ここで今回のニュースをもう一度思い出して欲しいんだけれど、ips細胞の臨床実験が「仮に本当に成功していたなら」こんなに注目されたかといえば、今はもう世界の各地で早く臨床実験まで行いたい、という苛烈な競争状態にあるのがその理由だといってもいい。

2012-10-14 22:07:38
キュゥべえ @QB0

すでに海外では「ES細胞」を利用した臨床試験も行われている。http://t.co/j9MLD7UR ES細胞の方が、研究自体は先行して行われていたから、これは不思議ではないんだけれど、ips細胞もこうなるとできるだけ早期の臨床試験が行われるのが期待されるのは当たり前だよね。

2012-10-14 22:10:15
キュゥべえ @QB0

けれど、一方でips細胞の臨床試験には安全性の十分な確保や、国民的な議論が必要だともされている。一応、山中教授もかなり近いうちに日本で臨床試験が行われるという話はしていたけれど、この技術はさっきから書いているように様々なメリットも、とんでもない危険性もないというわけじゃない。

2012-10-14 22:12:58
キュゥべえ @QB0

今は、現在治療が困難とされている病気のことがクローズアップされているけれど、例えばもっと身近なアレルギー。例えば花粉症などもips細胞を使い、その発生のメカニズムなどを知ることができれば、新薬の開発にも大きく貢献するし、それは他の様々な病気でも同じことだよ。

2012-10-14 22:14:51
キュゥべえ @QB0

そこで、以前に話題になったスーパーコンピューターや、あるいは田中耕一さんのいる島津製作所などの持っている技術が大いに関係することになるんだけれど、その点ではまさにこれから日本という国の技術と研究の総力、開拓されていく分野だといってもいいんじゃないかな。

2012-10-14 22:16:35
キュゥべえ @QB0

一方で、倫理的な問題としてはips細胞からも、本来ならこの世にいない生物や、過去の人物などのクローンを作り出せてしまう可能性もないわけじゃないみたいだし、あるいは今回の森口さんはまだわからないけれど、成功を焦った研究者が安全性の確認されていない手術を行ってしまう可能性もある。

2012-10-14 22:19:32
キュゥべえ @QB0

このあたりは、専門家だけじゃなくて「素晴らしい技術」なだけに、その研究方法や取り扱いをめぐる議論をどこかで行っていく必要は、キミたちの価値観とすればあるかも知れないね。その意味で、山中教授のような人物がこの分野のオピニオンであることはありがたいことだと思うよ。

2012-10-14 22:21:27
キュゥべえ @QB0

大体、ボクの話はそんなところなんだけれど、今回も聞いてくれてありがとう。嬉しかったよ。

2012-10-14 22:22:28