大森田不可止氏によるゲーム雑誌「ハイスコア」あれこれ

ナムコ、ゲームスタジオ、チュンソフトなどでゲームソフトの開発にも携わった大森田不可止氏が、自らが深く関わったゲーム雑誌「ハイスコア」についてその創刊の話からツイートされています。貴重なものであると思いますのでまとめてみます。(随時更新)
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大森田不可止 @omorita

編集部で撮影に使ってたのは、シャープが販売してたファミコンテレビC1というテレビのRGB出力を持った画像チップに載せ替えたRGB出力ファミコン。方南町のシャープのサービスセンターでチップと回路図を入手することが出来た。ナムコに居た頃に秋葉でC1を根こそぎ購入したから無かったんだな

2012-10-16 21:30:09
大森田不可止 @omorita

若かったので、良く徹夜してた。月刊誌があんなに大変だとは知らなかった。自宅が大森だったけど、週に一度帰るくらいになって、結婚生活は破綻した。まぁ子供も居なかったしな。椅子を並べて寝るテクニックは、編集経験者は上達するんだな。雀荘の椅子、二つだけで熟睡する猛者も居た。

2012-10-16 21:34:52
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]←入れるの忘れてた。編集部のあった初台は、当時美味しい食べ物屋さんが無くて難儀した。吉野家はあったけど、食堂が3軒くらいだったなぁ。なので、おみやげが重要だった。

2012-10-16 21:39:05
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]校了が終わると、翌日から台割会議や広告営業、レイアウトの打ち合わせ。ネタは優秀な高校生ゲーマ達が、沢山探しだしてくれたので苦労は少なかった。昔から真面目なタイプなので、記事はしっかり書いてたつもり。ただ、徹夜の眠い時に、いい加減に書いた記事の方が受けが良かった。

2012-10-16 21:43:45
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]当時の高校生ゲーマーは、「ゼビウス1千万点の解法」の同人誌のオリジナルを書いてた、うる星あんずが、巣鴨キャロットで有名だったエクスチェンジャーというグループを連れてきてくれた。超絶テクニックで真面目な高校生で可愛い奴等だった。

2012-10-16 21:50:01
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]当時、べっぴんやデラべっぴん、ビデオボーイという綺麗なエロ本を作ってた英知出版。初めての一般誌って事で、英知出版の編集者には感謝された。やっと親に見せられる本が出たって事で。三流出版好きな私は気にせずに親に見せてただろうがな。

2012-10-16 21:57:15
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]英知出版の担当専務は、大学生の頃に「宇宙企画」を立ち上げた人。伝説の銀パックと言われた、恋人気分のエロビデオで一世を風靡。出版でも美的センスで、肌色の発色を良くするために、大日本印刷の印刷工程に乗り込んでクレームを付けた人。いろいろ勉強させてもらった。

2012-10-16 22:02:24
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]編集長はずっと出版畑だったけど、岡山商人の血筋。値切ることが大阪よりえげつない。なので敵は多かったみたい。とは言え、事を立ちあげてやり遂げる能力は一目置いてた。ニュースだから、読者の利益なる、面白いことなら記事にして良いという姿勢だった。メーカーには嫌われる訳だ

2012-10-16 22:08:10
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]編集部のゲーマーの中に自閉症気味の中学生がいた。今じゃ犯罪だな。ゲームが目茶苦茶上手くて、最初会話は出来なかったけど、みんなが存在を認めたので徐々に打ち解けて、話をするようになった。いじめが原因で内向してたんだな。ゲームが人を本当に救えるんだと思った瞬間。

2012-10-16 22:18:15
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]創刊から4~5ヶ月経った頃に、編集長が博報堂経由でエスキモーのアイスキャンディーのプレミアムの話を持ってきた。当時珍しかったグミ入りのアイスキャンディーで、ネームングが「ソンビハンター」。と言うわけで、ファミコンの「ゾンビハンター」を作ることになった。

2012-10-17 20:25:00
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]編集長が代々木八幡に持ってたパソコン会社で「ゾンビハンター」の制作開始。スタッフは知り合いに紹介されたグラフィックの須田くん(故人)を雇った。音楽その他は、ナムコで同期で仲の良かったMくんの会社に頼んだ。背景、音楽、音声合成をやってもらった。

2012-10-17 20:30:40
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]Mくんはナムコの頃、ファミコン解析チーム同士で、お互いにハードもソフトも出来たので、話は合ったんだな。彼は法律も詳しくて、いろいろ手広くやってた。ファミコン開発会社も経営してたので頼ったわけだ。それから随分後に、PS「かまいたちの夜」の移植も頼む事になった。

2012-10-17 20:35:32
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]「ゾンビハンター」はアイスキャンディーの設定資料が多少あっただけ。本当言うと、オリジナルのゲーム企画なんてはじめて。マリオが売れてたんで、マリオ操作のアクションRPGにしようとは早くに決めたんだけど。プログラマが企画考えるとプログラム楽な方向に流れる弊害はあった

2012-10-17 20:42:16
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]任天堂の禁止してる操作を入れたり、完成が遅れて博報堂にへばりつかれたりしながら、何とか納品。9万本。今じゃ考えられないけど、当時じゃスマッシュヒットですら無かったな。アイスキャンディーのキャンペーンが最優先だったから、拘ることは出来なかった。

2012-10-17 20:47:55
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]「ゾンビハンター」はいろいろ厳しかったけど、最初の大きなオリジナルゲームとしては思い入れがある。開発環境も含めて、ひとりで作り上げたし、ある程度の結果も出せたので、ある意味私の原点ではある。

2012-10-17 20:51:55
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]当時の開発環境は、正式な何百万もする開発ツールは買えなかったので、PC98VXに40MBのハードディスク。当時マイフェスというエディターが発売された頃でプログラム環境は結構恵まれてた。動作チェックはROM焼くから数十分掛かってたけど。

2012-10-17 20:56:37
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]「ゾンビハンター」を発売しても、ハイスコアとの相乗効果はあまりなくて、ファミ通が創刊された頃だから、ハイスコは低落傾向。1ページあたりに掛ける金額がファミ通に比べると10分の1。メーカーに喧嘩売って作ってる雑誌だし、広告も入らないから仕方ないよな。

2012-10-17 21:01:39
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]ゾンビハンターで儲けたので、編集部は初台のマンションから、千駄ヶ谷のワンフロアに移った。フロアが近所の松任谷正隆さんのビルから見えたらしく、松任谷さんのお姉さんが興味を持って電話してくれたり。さすがにそんな資金力は無かったからな。

2012-10-17 21:06:18
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]千駄ヶ谷に移る時に事件。社長が千駄ヶ谷物件見に行った時、ビクター音楽産業に渡す2億円の領収書を持ったまま。今日中に入れてくださいと、連絡を受けて社長を追跡。当時手段は電話しかないんだけど、何とか探しだして、領収書を表参道のビクターに。今でも探し出せたのが不思議。

2012-10-18 21:26:40
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]千駄ヶ谷に移っても、徹夜体制は持続して、仮眠を取れる場所を近所のマンションに借りてもらった。裏窓からはお墓が見えるベストなポジション。ゲーマーの子達が宿泊施設として使ってしまって困ったな。

2012-10-18 21:31:13
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]ゾンビハンターは発売するには2億円ほど必要だったので、結局販売はビクター音楽産業に頼んだ。たまたま、ビデオの「ゾンビ」の版権は持ってた。ファミコン開発は当時現金商売。最初にお金を積まないと任天堂に作ってもらえなかった。

2012-10-18 21:34:41
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]ファミコン作るんで、当然任天堂に会いに行った。安く作れることは分かってたので、任天堂価格じゃなく販売できないかと。社長は岡山商人の血筋、勝てるんじゃないかと思ったけど、任天堂のディフェンスは鉄壁だったな。ナムコで懲りて対策を立てた時期らしい。

2012-10-18 21:38:41
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]ゾンビハンターはビクター音楽産業経由で任天堂から発売され、10万ほど売れた。販売価格を抑えたのと販売がビクターだったので利益は薄く5千万円くらい。CMの利益はあったけど。でも、社長の第一ステップには十分だったんだろうなぁ。その後、ぶんか社の買収につながる。

2012-10-18 21:44:39
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]ゲーム作るのに理屈から入るタイプ。ゾンビハンターはRPGだけど、ほぼ1本道。当時はダンジョン必要ないじゃん、と思ってたからな。迷路の探査って面白く無いだろうと。経験値上げが作業みたいだし。だけど時間がなくて内容充実出来なかったな。

2012-10-19 19:00:38
大森田不可止 @omorita

[月刊ハイスコア]ソンビハンターは、プログラム的には頑張っていて、ファミコンなのに、モンスターはそれぞれのスレッド動いていて、動きはスクリプトで記述できるようにしてた。プログラマが作ってたから、拙いゲームになってしまった。発想力と演出力の不足を実感したプロジェクトだった。

2012-10-19 19:04:08