亡くなられた方の作品の続きは、永遠に読むことが出来ない(グイン……涙)。けれど、森博嗣の「引退」は、それと同等の意味を持ってくるような気がする。きっと、森博嗣は書かないと言ったら、二度と書かないだろうから。
2010-08-01 00:55:25秋山の思考や性質を構成している内の20%くらいは、森博嗣かもしれない。森博嗣の知性や優位点に惹かれて、影響を強く受けたいと思っている。森博嗣の新作が出なくなったら、後は、もう最初から順番に読み返していくしかない。
2010-08-01 00:57:25ただ、既刊の分量を考えれば、森博嗣の著作を、繰り返し読むだけで、ただ、それだけで充分に余生を過ごすことは容易い。秋山の場合は、川上稔にも心酔しているから、交互に読んでいけば、もう誰の小説も読まなくていい。
2010-08-01 00:58:15森博嗣のWikipediaを見ていたら、気が狂いそうになってくる。どうして、ここまでスマートで、インテリジェントで、ユニークで、スケーラビリティに富んだ知性の持ち主の新作が読めない日が来てしまうのだろうか。いや、逆か、であるゆえに引退を選択するのか。
2010-08-01 01:02:30刹那性と永遠性。まったく真逆のものでありながら、その本質は、驚くほど似通っているような気がしてならない。所詮、この瞬間など波長に過ぎない。すべての物質は停止し、何も動いていない。
2010-08-01 01:03:22秋山は「初音ミクが可愛いことは、せかいで唯一、秋山だけが知っていればいい」と思っており、同時に「森博嗣の知性が素晴らしいことは、秋山だけが知っていればいい」と思っているけれど、時々こうも思う。どうしてミステリは森博嗣を評価できなかったのか、と。
2010-08-01 01:06:31小学生のとき、はやみねかおるの『そして五人がいなくなる』で洗礼を受けて、中学生になったら『すべてがFになる』でその美しい旅の道は延びていったんだ。何処までも何処までも。
2010-08-01 01:15:07森博嗣と初めて出会ったのは、S&Mシリーズの文庫版で。多分、詩的私的ジャックが新刊として、刊行されたくらいの頃だと思う。鮮烈なタイトルと、印象的な表紙であり、学校帰りの秋山は衝撃を受けた。分厚い文庫で高くて買えなかったので、その日は買わずに帰った。
2010-08-01 01:16:17翌日、小遣いを財布に補充して、学校帰り再びいつもの書店へ。そこで知った驚愕の事実、詩的私的ジャックは、シリーズ物の4巻であった! これを読むには、まず1巻を買わなければならない。1巻のタイトルは? すべてがFになる。よし、これも面白いに違いない!!
2010-08-01 01:18:34帰宅してからも、制服のまま読み続け、親に夕飯の手伝いをしなさいと部屋に怒鳴られに来るまでずっと読んでいた。ああ、幸せだったなあ。あの瞬間の、物事の考え方が、音を立てて入れ替わってゆく感覚。世の中には、こんなすごいことを考えて書くことのできるひとがいるのかと。学校とは全然違った。
2010-08-01 01:22:06秋山の人生を塗り替えた作家を、ひとり選べと言われた、それは迷うことなく、寸断の間もなく森博嗣、であろう。すべてがFになるを読まなければ、秋山の人生は変わっていたかもしれない。いや、違うな、前提が違った。島田荘司と綾辻行人だ。
2010-08-01 01:25:58父親の書棚にあった島田荘司と綾辻行人。この2人を読んだから秋山は、ミステリに傾倒したのだ。待て、待て待て。もっと前だ、小学校2年生のときに学校の図書館で出会った赤川次郎。赤川次郎から、秋山のミステリ者としての人生は始まった。
2010-08-01 01:26:55だが、結局のところ、これも回避不可能であった。秋山の通っていた日本人学校は、保護者の寄付によって図書館が成立していた。子供向けの本は、すぐに読み終えてしまった。だから、赤川次郎に辿り着いたのは偶然でもなんでもなく必然。故に──、秋山が森博嗣と出会ったのは偶然でもなんでもない!
2010-08-01 01:27:55そうか、森さんは本当に世間から消えてしまったのか…。著作もまだ数えるほどしか読んでいないけど、私なんかより遙かに知性のある方が、自分から消えていくことを望むのは、すごく感じるものがある。きっと私には永久にたどり着けない境地なのだろう…
2010-08-01 01:39:59森博嗣と京極夏彦って、動機に重きを置かないという点で似た作家だと思う。そもそも意味をおかない森に対して、京極の動機は探偵の都合のいいように作られたもの
2010-08-01 01:42:48