茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第750回「三重回しの縄が足下を通った瞬間、できるに変わる」
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連続ツイート第750回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日も、引き続いて、日本を元気にするツイートシリーズ! (日本が元気になるまで、当分続きます)
2012-10-19 06:33:36さで(1)人間の脳は、「挑戦する脳」である。今までにできないことに挑戦して、それを乗り越えるときに、脳は最大のよろこびを感じる。できないと思っていたことができるということは、一つの「誤差」であるから、脳内報酬系のドーパミンも、大きく放出される。結果として回路が強化される。
2012-10-19 06:34:57さで(2)問題なのは、「できない」状況にある人にとって、「できる」状況を想像することが難しいということである。どうしたら、「できない」暗闇から、向こう側の「できる」明るさの中に移動できるのか、よくわからない。だから、自分が、まるで「できない」壁に囲まれているように感じてしまう。
2012-10-19 06:36:13さで(3)そこで、私がいつも思い出すのが、なわとびの三重回しのことである。小学校2年の時、まず二重回しに挑戦して、結局連続200回くらいできるようになった。次は三重回し。何度挑戦しても、ダメ。三回目で、縄が足に引っかかってしまう。練習していたのが冬だったから、ピシッと痛かった。
2012-10-19 06:37:54さで(4)三重回しを練習していた、校庭の片隅をありありと思い出す。思い切り高く飛び上がって、最後に足を縮めて降りてみたが、それでもダメ。なわを速く回しても、ダメ。何をやってもダメで、要するに、三重回しができない私には、三重回しが出来ているところが想像できなかった。
2012-10-19 06:39:14さで(5)諦めずに、一週間くらい練習していたある日。クルクルクル! まるでウソのようにすっと、三回目の縄が足の下をくぐっていった。三重回しが出来た! それよりもなお、三重回しができる、というのはこういう体感なのか、と経験できたことが大きかった。大げさに言えば、世界が変わった。
2012-10-19 06:40:56さで(6)一度できると、あとは時々失敗してもできるようになって、最後は十数回連続で三重回しができるようになった。あれから「ん十年」たったわけだが、何かができない、できることが想像できないという時には、いつも、小学校の校庭で三重回しの練習をしていた時のことを思い出してみる。
2012-10-19 06:42:49さで(7)一度でも「できる」ことの意味は、その経験が脳の回路の力学の軌跡として体感され、記憶されることになる。一度でもできると、その経路を後からたどれる。何度も辿っているうちに、やがて経路が太くなってくる。だからこそ、一度でもいいから、成功することが大切なのだ。
2012-10-19 06:44:19さで(8)NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』の司会をしていた時、あるプロフェッショナルの方が、「私の人生には、失敗ということはありません。なぜなら、成功するまで続けるから」とおっしゃっていた。人間の脳は、たった一度でも成功すると、その軌跡が、脳の回路に刻み込まれる。
2012-10-19 06:45:25さで(9)かつて、「人生で必要なことは幼稚園の砂場で学んだ」という本があったが、私は、「人生で必要なことは小学校のなわとびで学んだ」。できなくても、諦めずに続けることの意味は、「成功」のたった一回の軌跡が、脳内に革命を起こすから。たった一回でいいから、縄が足の下を通れば良いのだ。
2012-10-19 06:47:27