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2012年10月20日

こまつだこばなしろぐ

こまつだの小咄ログ。 ぴくしぶに投稿済みのものは除外。
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【歯を立てる】
年齢操作竹谷夢。竹谷四年、ヒロイン二年のお話。

こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢01】 叩き付けるような豪雨は過ぎ去ったものの、相変わらず降り続ける雨は泥を跳ね上げ、けぶる水気は青臭い木々の臭いばかりを鼻腔へ送り込んでいく。 「……くそっ、」 滴る水滴を鬱陶しげに払い、竹谷は目深にかぶった蓑笠を持ち上げて天を仰いだ。

2012-11-20 02:17:41
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢02】 ――くのいち教室の数名が、裏山の土砂崩れに巻き込まれた。 そんな知らせが学園にもたらされたのは、数刻前に遡る。 自身も巻き込まれたのだろう、泥にまみれた姿でそれでも正確に仲間の位置を告げた少女は、そのまま崩れ落ちるようにその場に倒れ伏した。

2012-11-20 02:24:37
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢03】 忍務で学園を離れている数名を除き、――更に言うならば、知らせを聞くや否や学園を飛び出した鉢屋三郎も除いて、――召集された上級生たちによって、救出隊が編成される。 その中には、この春に上級生の仲間入りをしたばかりの竹谷も含まれていた。

2012-11-20 02:28:49
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢04】 そうして向かった裏山の惨状は想像以上に酷く、木々から見下ろした山肌は一反、二反ではきかない範囲を赤土と岩で埋め尽くされ、自然の恐ろしさに竹谷は己の背骨の芯が冷えるような感覚に襲われていた。

2012-11-20 02:34:51
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢05】 予想以上の広範囲に渡っていた土砂崩れに、個人ごとに範囲を割り振って捜索を開始したのが、ほんの一刻程前になる。 (泥に埋まってなきゃぁいいが…) 懐の苦無を握り締め、僅かな匂いも逃すまいと、竹谷は冷えた鼻をひくつかせた。

2012-11-20 02:39:19
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢06】 「………!」 水と土の臭いに紛れて、嗅ぎ覚えのある匂いが竹谷の鼻腔を擽った。 慌てて周囲を見渡せども、土塊と石ころが広がるばかりで、人の姿はどこにも見当たらない。 (嘘だろ…嘘だろ…!)

2012-11-20 02:46:17
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢07】 手にした苦無で匂い強い赤土を掘れば、僅かに覗いた人の指先。 その瞬間、全身の穴という穴から、ぶわ、と脂汗が吹き出す。 「くそ…間に合ってくれ!」 天に祈るような思いで我武者羅に土を掘り進め、現れた小さな身体を泥の中から引きずり出す。

2012-11-20 02:52:21
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢08】 掴んだ腕の冷たさ固さに背筋がぞくりと震えたが、口元に耳を寄せれば、か細いながらも彼女の呼吸は続いていた。 最悪の事態は避けられたことに、竹谷はほっと安堵の息をついた。

2012-11-20 02:58:08
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢09】 一番出血の酷い腕を頭巾で止血し、自身の体温で少しでも分け与えるために、蓑を開いて冷え切ったその身体を包み込む。 「おひろちゃん、おひろちゃん、聞こえるかい?」 見知った彼女の名を繰り返し呼び、細い細い意識の紐を必死に手繰り寄せる。

2012-11-20 03:06:16
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢10】 ゆらゆらと揺れる少女の頭がかくんと崩れるたび、それをもたげて何度も何度も、竹谷は目覚めぬままの彼女の名を呼び続けた。 そうしたやり取りが何度か続いたあと、再び力無く反らされた少女の首筋から、竹谷はなぜか目を離せなくなってしまった。

2012-11-20 03:12:35
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢11】 血の気の引いた肌は常より尚白く、竹谷は吸い寄せられるようにそこに唇を押し当てた。 浅い呼吸にひくひくと引き攣る喉をべろりと舐め上げれば、土の味に混じって得も言われぬ甘露の如き美味が、竹谷の喉を潤した。

2012-11-21 01:15:12
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢12】 刹那、喉奥から脳へと走り抜ける快楽。 「………ッ!」 竹谷は泥にまみれた少女の襟をひっつかみ、引き裂くかの如く露わにした首の付け根にむしゃぶりついた。 いつの間にか蓑笠は滑り落ちて、雨を含んだ蓬髪が竹谷の顔に纏わりつく。

2012-11-21 01:26:17
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢13】 それに構うことなく、竹谷は己の犬歯が少女の柔肉に食い込むその感触にひたすら酔いしれていた。 再び強さを増した雨は容赦なく二人の体温を奪い、僅かに取り戻していた赤味が少女の頬から消え去っていく。

2012-11-21 01:33:57
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢14】 徐々に小さくなっていく少女の命の灯火を、竹谷はどこか冷静な心持ちで見つめいた。 (このまま、俺の腕の中で息絶えてしまうのなら、) 少女の喉笛を食い締めた竹谷の顎が、万力で推し潰すかの如くぎりぎりと閉じられていく。

2012-11-21 01:38:37
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢15】 ――まだ温かいうちに、腹の内に収めてしまいたい。 ぶちり、と肉を裂く感触は酷く生々しく、その振動は脳味噌まで震わせるよう。 ごうごうと響く耳鳴りの中、竹谷は口内に広がる極上の美味に陶酔していた。

2012-11-21 01:43:43
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢16】 ピイイィィィーーー!! 突如として山間に響いた甲高い音に、虚ろな竹谷の眼が再び光を宿した。 その両の目が血の滴る少女の首筋を捕らえた時、竹谷はざあぁ、と血の気が引くのを感じた。 (おれは、おれはいったいなにを)

2012-11-21 01:51:15
こまつだ? @komatsuda99

【歯を立てる・竹谷夢17】 呆然とする竹谷の目の前で、少女の体が僅かに身じろぐ。 (そうだ、今は早くこの子を助けなければ) 微かでも、確かにそこに灯った希望の光。 再び鳴り響いた呼子笛に応えるように、竹谷はあらん限りの力を込めて手にした笛を吹き鳴らした。(終)

2012-11-21 01:56:10

【触れたい】
八丁堀6年+仕事人5年、で、鉢屋夢。

こまつだ? @komatsuda99

【触れたい・鉢屋夢01】 彼女の細い指先が、日に焼けた墨色の羽織りをくしゅりと押し潰していく。 そうして手繰られた布地は、しゅい、と糸が引かれると共に、また元の形を取り戻した。

2012-11-17 03:14:03
こまつだ? @komatsuda99

【触れたい・鉢屋夢02】 裏返しては出来具合を確認しているのか、白い手の合間から時折ちらりと裏地が見える。 (顔も性根も四角張った八丁堀の癖に、気取るところは気取りやがって) 目の下にくっきりと隈を刻み込んだ羽織りの持ち主を思い浮かべ、心の内で思うさま悪態をついた。

2012-11-17 03:20:32
こまつだ? @komatsuda99

【触れたい・鉢屋夢03】 「…三郎さん、そんなに見つめられちゃァ、穴が開いてしまいそう」 窘めるような声音に顔を上げれば、僅かに頬を染めた彼女が、困ったような表情をこちらを向けていた。 「繕い物が、そんなに珍しい?」 「…そういう訳では、ないけれど、」

2012-11-17 03:28:23
こまつだ? @komatsuda99

【触れたい・鉢屋夢04】 「ただ何となく、見ていたいと思ったんだ。…おたるさんの邪魔じゃなけりゃ、このまま見ていてもいいかな」 「邪魔だなんて!」 張り上げた自分の声に一段と頬を赤らめた彼女は、本当に普通の繕い物よ、と照れ臭そうに笑うと、再び手元の布地へ視線を落とした。

2012-11-17 03:35:48
こまつだ? @komatsuda99

【触れたい・鉢屋夢05】 器用に針と糸を操る彼女の指をじっと眺めていると、ふとあることに気付いた。 (…さかむけ、) 針を押さえるその爪の根元が、小さくささくれ立っていた。

2012-11-17 03:42:10
こまつだ? @komatsuda99

【触れたい・鉢屋夢06】 今はまだ彼女自身が気付かない程に小さくても、どこかに引っ掛けでもしてしまったら酷くなって、血も出てしまうだろう。 そうでなくとも、立冬もとうに過ぎたこの時期の空気は、傷口にぴりぴりと滲みてしまうに違いない。

2012-11-17 03:46:06
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