茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第751回「長い時間勉強するとは、どういうことか」
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滞在中のローマから、連続ツイート第751回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日も、引き続いて、日本を元気にするツイートシリーズ! (日本が元気になるまで、当分続きます)
2012-10-20 13:53:32など(1)波頭亮さんと話していると、よく、日本とアメリカの大学生の勉強時間の差が話題になって、日本の大学生は比較してまったく勉強しないという。授業のある平日に説明会や面接をやる日本企業の申し開きのできない「犯罪行為」は別として、なぜ勉強しないのか、あるポイントにヒントがある。
2012-10-20 13:56:02など(2)つまりは、「勉強」のイメージが貧困なのである。大学までの教育課程で、正解があり、点数がつく「ペーパーテスト」のための勉強のイメージが強い日本では、「長時間勉強する」ということに、つまり砂漠のようなイメージがある。世界の多様性を制限することが、勉強だと思っているのだ。
2012-10-20 13:57:12など(3)ところが、アメリカの大学における「勉強」は、そもそも意味が違う。というか、その前に、小学校、中学校、高校からして違う。ここでいう「勉強」とは、「プロジェクト」に近い。たとえば、家を壊してさら地にする。しばらくすると、植物がたくさん生えてきた、何故かという問題に取り組む。
2012-10-20 13:58:53など(4)植物の種は、他の植物が無くなるまで、何年も土の中で「待つ」ことができる。あるいは、鳥が種を運んでくる。そのようなヒントをあげると、子どもたちは「へー」というだろう。じゃあ、調べてみましょう。そこからの「空き地が草ボウボウになるまで」のレポートは、つまり際限がない。
2012-10-20 14:00:10など(5)あるいは、basic incomeが、福祉の窓口が認定するのにかかるコストを下げるという議論がある。権利があるのに公使できない(知らないとか、精神的にまいっているとか)を探し出して対処するコストはかかるという議論(最後の一マイル)もある。調べ始めたら、終わりはない。
2012-10-20 14:01:39など(6)日本の大学入試はペーパーテスト偏重だと言うと、「アメリカのアイビーリーグだって、高校の成績が良くないと入れない」と反論する人がいる。意味が違う。授業でAをもらうためにやることの内容が違う。オープンエンドの、プロジェクト型の勉強をして評価されるのと、点数合戦は全く違う。
2012-10-20 14:03:11など(7)想像してみよう。ビートルズが、なぜあの時期の英国から出たのか、というテーマでも、あるいはウェブアプリケーションをつくるというテーマでも、プロジェクト型の「勉強」は、やり始めたら面白くて切りがない。そうしたら、いくらでもやるに決まっている。面白いんだから。
2012-10-20 14:04:15など(8)社会に出た後で、実際に仕事をする時に必要な能力は、ペーパーテストの点数合戦と、プロジェクト型のテーマを遂行することと、どちらなのか考えてみよう。日本では、「公平性」という悪名の下に、大人たちまでもが資格試験や昇進試験に取り組んでいるんだから、救いがない。
2012-10-20 14:05:17など(9)変わらない、変わろうとしない日本という国の一部の旧弊たちのことはどうでもいい。自分を守り、自分の人生を輝かせよう。そのために、「長い時間勉強するとは、どういうことか」について、明確なイメージを持つことが必要。薄っぺらな教科書を丸暗記することじゃない。無限に向き合うこと。
2012-10-20 14:06:34