漫画が出来るまで~打ち合わせ編~

漫画が作られる時、作家さんと編集者さんの間でどのようなやりとりが行われているのか、という事が気になり、調べてまとめてみました。いま話題の「別マガ班長」こと、講談社 別冊少年マガジン(の班長)さん(@betsumaga)のつぶやきです。
マンガ
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班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
打ち合わせでは、どんなことをするかというと、作家さんが描いてきてくれたネームを読み、それへの感想を言います。「代案のない反対意見はしない」というのが講談社のモットーなので、面白くないかも、と言うときは、こうしたほうがということも合わせて言います。いや、言ってました。
班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
「このラストだと、結局、主人公は何の壁も乗り越えてないっていうふうに見えます。どうしましょう?」とか、なんだかヒドいぶん投げ方をするときもあります。そして、最近になって気づいた手法なのですが、作家さんとの間に圧倒的な信頼関係があるときは、また初心に帰ります。
班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
作家さんとの間に、非常に良い信頼関係があるときは、あらためて僕はたくさん代案を出します。もうプロットを紙に書いちゃったりすることさえあります。それは、その作家がそのプロットを一瞥し、そして、それよりも圧倒的に面白いプロットを出しなおしてくることが分かっているからです。
班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
この作品「ループループ」は8年前の新人賞で受賞者の中で最高賞(入選)を受賞し、そして掲載されたマガジンSPECIALでも異例の高人気を獲得しました。参考になる部分も多いかと思います。まずは、僕と奈央先生の出会いから。コミックマーケットで知り合いました。
班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
奈央先生が大学1〜2年生(忘れた)のころ、先生の描かれた創作同人誌を読ませていただき、名刺を渡して、プロを目指しませんか?と声をかけましたこの作品「ループループ」を描かれたのは、それから2年後くらいのことです。写真は1ページ目。 http://t.co/26FrGJip
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班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
僕「今度の作品は、何かメッセージがほしい」奈「メッセージ?」僕「賞レース用の原稿だけど、いい賞を取ったら雑誌に載るし、子どもたちも読むよね。奈央先生の伝えたいことを、漫画に込めてほしい」奈「伝えたいことって言ってもまだハタチそこそこの俺にそんな偉そうなもんないような・・・」
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僕「ごめんごめん。そりゃないよね。あるわけないよね。こう考えたら何か浮かぶ?もしも今、奈央先生にひとり息子がいたとする。いや、ありえないけどね。でもいる。息子が。めっちゃ可愛い」奈「なるほど」僕「その子どもに、この世界で生きていくうえで大切だと思うことを一つだけ伝えるとしたら?」
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奈「え?ひとつだけ?」僕「ほら、伝えたいこといっぱいあるじゃない。でもね、今はひとつだけ。ひとつしかダメ。何でもいいよ。お金が大事だぜ!でもいい。セックスはたくさんしろよ、でもいい。メイドには騙されるな、でもいい奈「メイドさんとなんかあったんすか」僕「うん。でもそれは今はいい」
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奈「一人息子に伝えたいこと。僕は『好きなものに妥協するな』かなあ」僕「なるほど。いいんじゃない!」*奈央先生は当時、就職をするか漫画家を目指すか、岐路にありました。今、思えばその心理状態も影響した「伝えたいこと」なのでしょう。時間は超早回しです。すでに打ち合わせは2回目かも。
班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
僕「好きなものに妥協しない、立派なポリシーだよ。それはいいよ!」奈「じゃあ好きなものに妥協しない主人公にしましょうか」僕「そうそう。いいよいいよ」奈「いや、まだ意味わかんないですよね。好きなものに妥協しない主人公ってだけじゃ」僕「そうだね。たぶん、
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僕「たぶん、その主人公と好きなものの間にめっちゃ障害があるんじゃない?すっげー邪魔されるんじゃない」*これは伝えたいことを漫画にする今回の例の最大のポイントです。ポイント1主人公に「伝えたいこと」を体現させる。ポイント2その主人公の前にめっちゃ高いハードルを用意する。
班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
奈「なるほど。障害ですね」僕「そうそう。ところで、主人公は何が好きなの?」奈「うーん。女の子」僕「えっ!女の子!!?」奈「あ、はい。好きな子がいるみたいな」僕「へー、なるほど。意外だったけどいいんじゃない?主人公はその女の子が好き。そのことには絶対に妥協しない。どんな障害が?」
班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
奈「その女の子が死んじゃうっていうのは、どうでしょう」僕「なるほど。面白い」奈「でも、主人公はその子が大好きだから」奈「だから絶対に助ける。自分の命に代えても」僕「へー。おもしろい!」奈「そしたら、主人公は生き返る。事故の日の朝に。で、もう一度、助けようとするというお話」
班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
僕「面白いね。でも、まだ足りないわー。『好きなものに妥協しない』感じがまだ伝わってこないわ」奈「・・・・・・・・」僕「だって好きな女の子が事故に巻き込まれたんなら助けちゃう人ってけっこういると思うよ?」奈「・・・じゃあ、100日目っていうのは?」僕「は?」
班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
奈「主人公はヒロインを、助けて死ぬ。また助けて死ぬ。助けて死ぬ。それを繰り返して、今日が100日目なんです・・・。ダメっすか」僕「面白い!!!それでいこう!」というわけで、奈央先生の「伝えたいこと」である好きなものには妥協しない。とことん行けという漫画ができました。
班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
以前、漫画やネームを読むときに個性意外性読みやすさの3点を大事にしていると書きました。漫画ののっけから、これだけ主人公に災難がふりかかるなんて意外性もばっちり。そして、ヒロインのために何度も死んでいるという設定を、具体的に何度も殺すことで見せてくれるので飲み込みやすいです。
班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
まとめ:「伝えたいことは何だろう?」って大上段にかまえすぎない。あなたがふと日常に思う、腹の立つこと、こうすればいいのにって思うこと、こんな人ってかっこいいなあ、って所にも、あなたの「伝えたいこと」は隠れていますよ、ってこと。最悪、見つからなくてもいい。言語化できなくてもいい。
班ちょ@新人漫画賞「GATE」班長 @betsumaga
作者は言語化できてなくても、主人公には「何がしたいやつなのか?」というのを必ず用意してあげること。そして彼の前にとんでもない障壁を用意すること。あとは、その主人公がその難関をどう乗り越えていくのか、それを主人公と一緒に考えてあげよう。そしたら、漫画ができてるはず!たぶん!!
おまけ*奈央先生のつぶやき
奈央晃徳 @画集発売中! @naoakinari
当時全く売れない同人誌を作ってたわけですが、それを10分以上はずっと目の前で熱心に立ち読みしてる人がいるわけです、それが別マガ班長との出会いでした。最初は新手の冷やかしかと思いましたが(笑

コメント

miu_miu3 @miu_miu3 2012年10月30日
ご指摘を受け、キャプション等修正いたしました。
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