塔10月号「十代二十代歌人特集」を読む・第一回 #塔1020

「アラブの半月刀」こと千種創一(@chigusasoichi)と「砂丘の埴輪」こと吉田恭大(@tanka_daya)の野塔二人による短歌評。短歌結社誌「塔」十月号の「十代二十代歌人特集」から毎回数人づつ取り上げていきます。 第二回はこちら→http://togetter.com/li/396284
0
Каракозов @hikaritoshigo

「アラブの半月刀」こと千種創一 氏 @chigusasoichiと吉田恭大@tanka_dayaで一首評をします。今回のテーマは塔10月号、十代二十代歌人特集について。 #塔1020

2012-10-24 16:59:25
千種創一 @chigusasoichi

吉田恭大と、千種創一の、塔十月号「十代・二十代特集」一首評! 今日取り上げるのは、宮崎可奈子。 #塔1020

2012-10-24 17:01:48
千種創一 @chigusasoichi

どこかしら似た者同士な君とわれ健やかなるとき病めるときでも /宮崎可奈子「似た者同士」 結句がいいかな。(精神が)病めるときでも、と読んだ。怒りっぽくなるとか、無気力になるとかある中で病み方まで同じってあまりない気がして。ただ韻律とか語句の選択とかまだ甘いけど。 #塔1020

2012-10-24 17:05:45
千種創一 @chigusasoichi

なお、一首評は同じく塔の吉田恭大 @nanka_daya の裏アカ @tanka_daya とで繰り広げます。#塔1020

2012-10-24 17:08:54
Каракозов @hikaritoshigo

「健やかなるときも病めるときも」って結婚式の誓いの言葉が念頭にあるんだけど、フレーズを上手く生かしきれずに「健やかなるとき病めるときでも」って韻律優先で加工しちゃったのが良くない。 #塔1020

2012-10-24 17:13:55
Каракозов @hikaritoshigo

一生の笑顔と涙を共にして歩まんいつかいついつまでも/宮崎可奈子 や他の同様なんだけど、結婚の幸福さがちょっと素朴に現れすぎていて苦手。「ああ、幸せなんですね。おめでとうございます。」としか言えない。 #塔1020

2012-10-24 17:21:44
千種創一 @chigusasoichi

うん、フレーズを生かしきれてない、という語は適切だ。あど、「どこかしら」とか「なんとなく」とかって歌で使うのは勇気要る言葉だよね。この歌ではあまり成功していないような気も。でも病んでるカップルって絵になるね。そうなりたくないけど。#塔1020

2012-10-24 17:23:10
千種創一 @chigusasoichi

具体的な道具やエピソードが出てこないから、まだ付き合い始めたばかりなのかと思ってしまった。わりと他の歌も既存のフレーズに頼っているのが多いしね。これからもっと彼の嫌なとこを見たりした後の歌が読みたい。僕、性格悪いすねー笑 #塔1020

2012-10-24 17:28:37
Каракозов @hikaritoshigo

歌の中で、あんまり病むことは想像してないと思う。あくまでフレーズとして使われているだけじゃないか。 #塔1020

2012-10-24 17:30:18
Каракозов @hikaritoshigo

結婚したことないからわからないけど、新婚の多幸感ってこういう感じなのだろうか、とかちょっと怖いっすね。あんまりこの話題引っ張ると僕が辛いので次に行ってもいいですか。 #塔1020

2012-10-24 17:32:14

※※※

千種創一 @chigusasoichi

吉田恭大と、千種創一の、塔十月号「十代・二十代特集」一首評! 宮崎可奈子に続き取り上げるのは、篠野京。では吉田くんから、どうぞ。 #塔1020

2012-10-24 17:36:04
Каракозов @hikaritoshigo

野良猫の死にしいきさつなど聞きて擬宝珠の花の群立【むらだち】のまへ/篠野京 「萍」 淡々とした死。野良猫の死、という話者にも聞き手にもちょっと遠い距離感がいい。あとは、ギボウシ、宗教的装飾から名付けられた植物だけど、その名前も効いているのではないかと。 #塔1020

2012-10-24 17:47:02
Каракозов @hikaritoshigo

距離感、もうちょっと補足。「いきさつ」を知っている話者と、聞いている主体の間には猫の死に対して温度差があって、それを伝聞で聞くしかない主体の距離感と下句の景が呼応している。 #塔1020

2012-10-24 17:53:02
千種創一 @chigusasoichi

「いきさつ」が生む温度差に加えて、「群立」もいいと思う。群立に見えるということはちょっと擬宝珠から距離があるってことだもんね。そうした温度差・距離感を、直接は言わずに出している。では、千種選行ってい? #塔1020

2012-10-24 18:02:04
Каракозов @hikaritoshigo

@chigusasoichi これは空想なんだけど、死んだ野良猫に加え、話しているのも別の野良猫かもしれない、みたいなことも考えました。いいともー。 #塔1020

2012-10-24 18:05:41
千種創一 @chigusasoichi

朝逢へばしづごころなし禁門へひそみし蛇の尾ろのさざなみ /篠野京「萍」  朝、御所の門で蛇を見てびっくりしたというだけの歌なんだけど、禁門と蛇の取り合わせに色気があるし、心のざわめきと蛇の尾のうねりを重ねているのもうまい。ちょっと文語というか擬古文くさいけど。#塔1020

2012-10-24 18:08:39
Каракозов @hikaritoshigo

構文も和歌っぽいよね。「尾ろ」とかちょっとやりすぎじゃないだろうか。 #塔1020

2012-10-24 18:13:34
千種創一 @chigusasoichi

「しづごころ」くらいまでなら抵抗ないけど、「尾ろ」はやりすぎに一票。辞書なしでは擬古文体はかなり読みにくい。でも篠野さんの七首はどれも好きだな。とりあわせに知的なセンスがある。#塔1020

2012-10-24 18:24:23
千種創一 @chigusasoichi

文語体と擬古文体は近いけど、文語の中でも擬古文体は現在人になじみのない単語、もしくは現代では意味の変化してしまった単語を古い用法で使うのが特徴だろう。 今俎上に上げた塔の篠野京もそうだし、外大短歌の藤松健介とかもこれに当てはまるかな。 #塔1020

2012-10-24 18:31:35
Каракозов @hikaritoshigo

擬古文体、本郷短歌会の歌会なんかでも時々あるね。文語がこなれていない、ともまた違う。特に結論もないんだけど、文語短歌と和歌の違いについて考えさせられます。 #塔1020

2012-10-24 18:41:04

※※※

Каракозов @hikaritoshigo

とりあえず今回はここまで。また続きは近々やりましょう。皆様からの感想、質問などもお待ちしています。 #塔1020

2012-10-24 18:42:28
千種創一 @chigusasoichi

早稲田とヨルダンには時差もあり、塔の十代二十代特集に参加した人が29名という大人数ということもあり、などの諸々の理由で数週間にわたる長丁場になりますがどうぞよろしくお願いします。皆様からの感想、質問などもお待ちしております。#塔1020

2012-10-24 18:50:19