朔月の玩具箱

ついのべ、都々逸、一文小説など。ブログ(宵月楼 http://ayakashi.tsuyushiba.com/ )に格納するまでの置き場なので、移動したものから消します。
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@sktkx

翼をください。僕を空まで運ぶ翼を。クリスマスイブに黒猫は夜空にそう願った。そこにいる人に会いに行きたいのです。もう戻っては来ないなら、僕が空を飛ぶしかないでしょう?でも彼は猫だから、クリスマスにプレゼントはもらえない。翌朝の空はどこまでも高く、澄みきっていた。 #twnovel

2012-12-03 21:50:18
@sktkx

竜の鱗を一枚、セイレーンの涙を一滴、ケット・シーのヒゲを一本 #この書き出しいかがですか #この締めいかがですか #この一文いかがですか

2012-12-03 12:23:00
@sktkx

バニラの香りの小さなサシェ、花とレースをあしらったシュシュ、お揃いの布で作ったお人形のドレス。今日の仕事は小さなレディからのご注文。小物屋の萩乃さんは古い足踏みミシンにボビンをはめ込む。魔法をかけるとカタカタとミシンが動き出した。クリスマスまでに仕上げなきゃ。 #twnovel

2012-12-03 12:16:09
@sktkx

ぶれる振り子を無理矢理手で止めて深呼吸をする。震える手から伝わる振動は振り子を微妙に揺らすけれど、できるだけ静かに指を離していく。止まったように見える振り子。とりあえずこれでいい。肩の力を抜きそっと吐き出した息で怯えるように少しだけ震えたのは見ないふりをした。 #twnovel

2012-12-03 07:03:32
@sktkx

機械仕掛けの執事が彼女の元に来たのは、彼女が十歳の誕生日だった。一人に慣れすぎて笑うこともできない彼女に、無表情な執事はこう言った。「にらめっこをしましょう」「にらめっこ?」「ええ、どちらが先に相手を笑わせるか競争しましょう。私は機械です。手強いですよ?」 #twnovel

2012-12-02 21:39:50
@sktkx

すき、きらい、すき、きらい、すき――ハナウラナイは嘘つきだった。「アナタの代わりに占ってあげる」それはハナウラナイの仕事だったから。でも好きだったあの人の恋の行方なんか知りたくない。だから。「あの人はアナタがきらい」彼と彼女の占いの時だけ、ハナウラナイは嘘つきだった。 #書き出し

2012-12-02 20:28:06
@sktkx

時計仕掛のクリスマス・プレゼントには、ひとつだけ思い出が込められる。お嬢様は自分の立体映像を封じ込めて蓋をした。蓋をしてしまえば時計にしか見えないそれを、機械人形の執事に贈る。百年先に時計はリボンをほどいて彼女の姿を彼に贈る。ずっと存在する彼に、自分は笑顔を贈るのだ。 #書き出し

2012-12-02 09:49:42
@sktkx

機械仕掛のクリスマス・ケーキを機械人形の執事が作った。食べられない。お嬢様はがっかりして部屋の隅に置き去りにした。クリスマスイブ。ぱちん。スイッチが入る。ケーキは音楽を奏でながら部屋に雪景色の立体映像を展開する。もう見られないホワイトクリスマスが、今年のプレゼント。 #書き出し

2012-12-02 09:43:59
@sktkx

画面越しはどこまでも残酷で、僕はただ無力感に苛まれる。なにもできやしない。僕はそういう存在だ。画面の中で笑顔を被って、決まりきった台詞を吐いて。本当はもっと言いたいことがあるのに。したいことがあるのに。作られた僕は永遠にネットの牢獄から外に焦がれ続ける。 #書き出し #二次元少年

2012-12-01 20:59:29
@sktkx

君が踏んだのは地雷だったんだよ。爆発の勢いで封じ込めてた物がみんな飛び出してしまった。パンドラの箱じゃないから残った物は何もない。粉々に飛び散って、もう集め直すことはできやしない。僕は勇者じゃないから、忌まわしいそれが世界を食い殺すのをただ呆然と見ているんだ。 #twnovel

2012-12-01 15:21:41
@sktkx

「僕がどんな人間だろうが、君は見たいものしか見ないでしょう?」偽りの笑みで僕は囁く。「君が欲しいのは僕じゃない。君を一番大事にしてくれる王子様でしょ?お姫様?」誰でもいいんでしょう?君をちやほやしてくれるなら。僕の中身は要らないと、無邪気な笑みが僕を引き裂く。 #twnovel

2012-12-01 07:16:22
@sktkx

姫は王子の魔法を解いてしまった。王子はカエルになって、池に帰ってしまった。「かわいそうに。魔法を解こうとしなければ、貴女はずっと夢を見ていられたのに」哀れむ魔女が耳元で囁く。「もう幸せは戻らない」王子がいない姫は、もう姫ではない。姫の魔法も解けてしまった。 #twnovel

2012-11-30 10:26:00
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