「ミステリとは何か」思索過程の備忘ツイート
「ミステリとは何か」をずっと考え続けているが、最近は作者と読者の双方向性・互換性をジャンルの特徴と考えるようになった。ワトスンとキョンの並行比較をしていくと彼らが読者の代理人と物語の作者を兼ねていることが分かる。次の段階はホームズ譚とハルヒシリーズの違い。さらに考えねば…。
2012-10-24 21:19:29「ミステリとは何か」続き。昨夜の銭湯でホームズ譚とハルヒシリーズの持つ作者と読者の双方向性・互換性の共通まではつぶやいた。では、その違いはというと、作品に対する読前・読後の印象だろう。ハルヒは読前・読後の印象は特に大きく変化しない。
2012-10-25 14:48:25ホームズ譚、ひいてはミステリは読前・読後の印象ががらりと変化する。以前少しつぶやいたことがあるが、ミステリは読まれることによって「完成」する。読者は作品を形成する要素として織り込まれているのだ。
2012-10-25 14:51:16極端な話、「未完成」なミステリに読者がどんな最後のピースを当て嵌めるのかでその作品の「最終完成形」が読者個々で異なるということだ。つまり未読状態と既読状態では同じタイトル・同じテキストの「モノ」でも「別作品」なのだ。
2012-10-25 14:54:09「ネタバレ」が漠然とではあるが「禁忌」として捉えられてきた理由が、ここに明らかとなる。知る以前と知った後の作品は「別作品」だからだ。
2012-10-25 14:56:08従って極端にテキストに負って、微細な違いを広げ、様式やしきたりを前面に出しているだけではミステリについての考察は一向に進まないことになる。むしろ作者と読者のトポロジー的関係論が突破口となる。
2012-10-25 15:03:29例えば「密室」は作者と読者が「明瞭な謎」を挟んで対峙するイメージで探偵役は大盤解説するという関わりだろうし、「日常の謎」は作者が指摘する「不明瞭な謎」を読者と共有し、読者が作者目線で探偵役に「如何に」と挑戦する関わり方といえる。
2012-10-25 15:12:59それぞれの位置関係から考えると「倒叙」と「正叙」で区分けするのも実はかなり問題がありそうだし、「叙述トリック」もそこに読者を想定しなければ作品足り得ないことが分かる。
2012-10-25 15:21:14いきなり話は全然すっ飛ぶ。相当昔なのだが「赤いシリーズ」という一連のTVドラマがあった(おとーちゃんに聞いてみてね)。その中に『赤い激流』という作品がある。
2012-11-04 02:29:21画期的なことに視聴者に「犯人当て」を挑戦した連続ドラマであった。「赤いシリーズ」定番の山口百恵さんがキャスティングされず、水谷豊さんが才能ある若きピアニストの卵として主役を張り、緒形拳さんを殺した罪を着せられる。
2012-11-04 02:33:38宇津井健さんがやはり重要な役で、水谷さんを救おうと東奔西走する。そこに音楽学院の派閥抗争やピアノコンクールが重層的に絡み、怪しい人物たちが続々登場という作品であった。「英雄ポロネーズ」が瞬間的に大ブームになったことで記憶されてる方もいることだろう。
2012-11-04 02:37:39結果的に私は真犯人を言い当てたのだが、未だに釈然としてはいない。重度のミステリ脳のせいか、誰にでも割り振れるようにシナリオを操作して、応募総数が最も少ない人物にしたように思えてならないのだ。
2012-11-04 02:41:03レンタル視聴出来れば検証し直してみたいくらい気になっているのだが「真犯人」の犯行というのは、かなり違和感を覚えたものだ。我ながら「苦い勝利」だったことを白状しておこう。
2012-11-04 02:44:16この状況をTVの無い時代にスライドしてみよう。大衆小説が新聞・雑誌に連載され、アンケートや評判で読者を強烈に意識した作者が、チェス盤・将棋盤などを挟んで「次の一手」に呻吟するイメージだ。ここに「ミステリ」の萌芽を見ることが可能となる。
2012-11-04 02:52:12「ミステリ」が犯罪をチョイスする背景には、掲載媒体が好んで取り上げた記事・読み物が犯罪実話やゴシップであったことと無縁ではないだろう。
2012-11-04 02:58:36そうした粗悪な素材が、言葉の錬金術師の手によって科学的で論理的な光を放つという「意外性」もまた、普段は雑誌など手にしないお高い読者にまで広く訴えかける力となったのであろうし、科学的・論理的メスが社会の「患部」である犯罪をチョイスした面もあるだろう。
2012-11-04 03:05:53しかし作者と読者の間で同様な関係性を持つ上で、媒体の制約や先行成功例を踏襲するという消極的理由以外に「犯罪」にこだわる必然性は実はない。
2012-11-04 03:09:03作者と読者にとって時を忘れるほど熱中できる魅力的な素材であれば「ミステリ」に設えることに何ら問題があるわけではない。積極的拡幅は今後の課題だと思う。
2012-11-04 03:20:08あ、ホントにとりとめなくなってきた。後、備忘的に「ワトスン」について。これは『人類は衰退しました』の「f」単位からの連想なのだが、「本格」と「ハードボイルド」はそれぞれ「ワトスン=W(読者兼作者)」とした場合、各々「1W」と「0W」と言える。
2012-11-04 03:32:52「1W」はいみじくも松本清張いうところの「お化け屋敷」に自ら入っていくイメージだろうし、「0W」はTVモニタ上で右往左往するキャラクターの動きに一喜一憂するイメージだ。従って「0W」での「昏倒→場面転換」の多用も直接的な「痛み」に還元されるわけではないからだろう。
2012-11-04 03:39:13