- fujishiro1127
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うふふー☆と微笑む美しい女性を前にして、僕は本日何度目かわからないため息をついた。SP-2だって…またまた…。「なーによため息なんかついちゃって!辛気臭い坊やね!!」
2012-10-20 21:23:51「…失礼。」自分で言うのもなんだが、しぶしぶ、といった感じで僕は軽く頭を下げた。「よりにもよって、お前がサポートのトップとはな…。」オゾノ様も、納得いかないご様子。
2012-10-20 21:28:53それもそのはず。SP-2部というのは、このUNIONでも非常に特殊な部署の一つなのだ。もともとは、平沢総帥がタイに視察に赴いた折、体は男性だが心は女性という方々に多大な感銘を受け、そのような方々を第二の女性、すなわちSP-2という略称で呼んだのが始まりであった。
2012-10-20 21:31:31総帥は、SP-2の方々に、自らの音楽活動をはじめとする業務に参加してもらい、それを基にした書籍も発表した。近年は、タイだけでなく日本や、アジア、さらに世界におけるSP-2の方々を次々とスカウト。そして、約三年前に、このCHAOS UNIONにおいて、SP-2部が誕生したのだった。
2012-10-20 21:35:11「ちょっと、聞いてんの?!」…あ、説明なんてしている場合じゃなかった。「は、はい!」「んもう!」この方が、どうやらそのSP-2部の主任研究員らしい。「もー。最初っから説明し直すから、ちゃんと聞いててよね!!」「…はい。」
2012-10-20 21:37:53「あんたは、これから平沢進御大の捜索に駆り出されるのよね。」「そうです。」「さっきチラッと言ったけど、私はそのサポート役を務めます。具体的には、あんたの行動を監視して、それについての助言や注意などをするってのを、主に行います。」「?それはそこにいらっしゃるオゾノ様が…。」
2012-10-20 21:41:26「ああん、そんなことは分かってるっつーの!それはそれ!私は、女子の目線からあんたをサポートするっつってんの!!」「…女子?」「あ、何よその目―!何を疑ってんだか知らないけど、あたしはもうマジの女の子よ!それに…」と、あんどー主任研究員は、何やら僕の眼前に突き付けた。
2012-10-20 21:45:59「これが何か分かる?」「いいえ…?」「!!そ、それは…!!」首をかしげる僕と、うろたえ始めるマスター秋山。「きみ、もうそんなものまで頂いてたの…?」「あーら、当然でしょ。あたしは主任研究員なのよ!」
2012-10-20 21:47:37あんどー主任研究員が取り出したのは、何やらストラップのような、マスコットのような小さな物。赤黒いくて、かなり形がいびつで、唇が何箇所かについている。「…それ、なんなんです…?」
2012-10-20 21:49:30「これ?マスターの証。」「…え?ええええええええー!!!」これには僕もびっくりだった。「あ、あなた、マスターだったんですか!これは、大変失礼いたしました!」「んふ。わかればよろしいのよ。」
2012-10-20 21:50:52そうか、これがマスターの証だったか。 ここでまた話が少しそれるが、主任研究員がみなマスターと呼ばれているわけではない。マスターは、主任研究員の中でもトップクラスの者に与えられる称号で、それを授かったものは、総帥から直々にその証をも授けられると言う噂を聞いていたのだが。
2012-10-20 21:52:33どうやら真実だったようだ。 「はいはい。そんなわけで。これからあたくしのことは、マスターあんどーと呼んでね。秋山ちゃんとオゾノ様もOK?」「わ、わかりましたー…。」マスター秋山は静かに頷く。「お前も、もうそんな地位に…よろしい、ならば安心して、この小僧のサポートを任せられるな。」
2012-10-20 21:54:41オゾノ様は、先ほどとは違い納得したように、その目をパチパチとさせた。 「てなわけです、坊や。あんたは物分かりがいい方だって聞いていたけど、まさか、これでもあたしのことを疑ったりはしないわよね…?」
2012-10-20 21:55:57笑顔こそ美しいものの、目がまったく笑っていない、マスターあんどーを見て、僕は今度こそ観念した。「承知いたしました。全て、仰せの通りに…。」と、今度は深々と頭を下げた。
2012-10-20 21:57:16「はい、いい子。よっし、旅支度よ打ち合わせよー!!!!」それを聞き、満足そうに、とびきりの笑顔を見せた、マスターあんどー。僕は、これが今日最後であってほしいと願いながら、またまた溜息をついたのだった。 To Be Continued…
2012-10-20 21:59:12