主婦/夫専用RPG!!「ファミリーズ!」ができるまで

はるを( @haruwosumi )氏による同人TRPG「ファミリーズ!」制作秘話(?)
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まとめ 空戦ロボットTRPG『グレイブライン』ができあがるまで なめくじ たべぞう氏自身が製作した同人TRPG『グレイブライン』が完成するまでに、何を考え、何に躓き、どのようにしてそれを抜けてきたかの発言をまとめました 7658 pv 35 1 user 1
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

グレイブラインができるまで、を楽しく読みながら、ファミリーズ!ができるまで、の需要があるのかどうかを思いながら、少し考えてみた。「『美鳥の日々』がすごいんですよ!と3時間語っていたらできた(途中略)」、という大変に参考にならないものが浮かんでは消えたw

2012-10-27 02:29:01
なめくじ たべぞう @namekuji_tabezo

@haruwosumi こんばんは。お楽しみいただけて幸いです。美鳥の日々が~ の件、知りたいですw

2012-10-27 02:36:53
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

@namekuji_tabezo おっと。すみません。なんか途中でおじゃまするような形になってしまいました。タイミング見計らってもうちょっと細かいディティールを放流しますので、ひとまず、どうぞ

2012-10-27 02:38:48
なめくじ たべぞう @namekuji_tabezo

@haruwosumi お気になさらず~ ではひとまず書いてきますw

2012-10-27 02:40:18

『ファミリーズ!』ができるまで

はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

『美鳥の日々』はすごいんですよ。

2012-10-27 02:31:09
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

『美鳥の日々』で生活の舞台となるのは、いかにも80年代的な当時の中産階級が郊外に建てたような一戸建てですが。

2012-10-27 02:37:01
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

我が敬愛する『美鳥の日々』は2002年ころからサンデーで連載の始まったラブコメ漫画である。とはいってもふつーのラブコメではない。ある男の子に恋をしたひっこみ思案の女の子が、思い詰めたあまり、なんと男の子の右腕となってしまったのだ!(物理的に) というお話。

2012-10-27 02:53:58
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

異様な設定と、それなのに手堅いコメディ風味を持ち、きちんと孤独というもののにおいがする優しい作品であった。さて、それをアニメ化するにあたって、そのスタッフは叙情的な演出を強化し、さらにどこか運命の残酷を強調した作劇に換骨奪胎していくこととなる。そのために描かれたのが、家事であった

2012-10-27 02:57:26
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

『美鳥の日々』のアニメ版は、とにもかくにも生活描写が詳細だった。主人公のセイジ君の部屋は、美鳥がきたことによってだんだんだんだん片付いていくし、諸事情あって男の一人暮らしだった彼の食生活もものすごい勢いで改善されていく。もちろんできなくなってしまったことも少なくないのだけれど

2012-10-27 03:00:01
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

「告白」もできない、ことを悩む少女の物語から始まったのに、いつのまにか、「告白」どころではない、長い時間を人と人が暮らしをともにし思いを交わすとは何かを描いていくことを通じて、少しずつ彼らの苦い青春が明らかになっていくのであった。大事なシーンでは、無言で家事ばっかしてるのに

2012-10-27 03:02:05
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

と、いうようなことを、F!の原案者の一人としてクレジットしている某Tくんに私はえんえんえんえんとしゃべっていた。その日は、私が案内するから横浜水道道を歩こう、という企画でうろうろしていたのだった。なぜかそのうち、じゃあ家事をするゲームを作ればいいじゃない、という雰囲気になったw

2012-10-27 03:03:38
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

じゃあ『美鳥の日々』の何が面白いかを、家事を通じてゲームにしようぜ、みたいな思考実験を始めることになった。TRPG初心者でも遊べ、20までの一回に一桁の計算しか用いず、シナリオの記法を簡便にして準備時間の短いものがイイネ、なんて話になった

2012-10-27 03:05:40
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

家事をゲームにするにあたって、これをひとまず定義した。「家事とは、ひとまず生活で必須で、かつ今ここに必要な要件を満たす諸活動であり、さらにその円滑な運営には長期展望を必要とする」あたりになった。最小限の分類として、衣食住と買い物の4バリエーションが選ばれた。

2012-10-27 03:08:05
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

どんなにご立派なことを言おうと、今飯を食わなければ腹が減って死んでしまう。服を着なければ寒い。家が無ければつらい。もちろんお金は大事だ。けれど、目の前のものを片付けるだけでは生活はおぼつかず、計画性や人間関係の円滑化もいるし、もう一つ、運を必要とする。それが家事だ、と。

2012-10-27 03:09:53
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

課題が複数連続で現れ、ゲームの場には課題が飽和し、個々人がそれを解決していなければならないうえに、全体課題もクリアしなければならない、という大まかな構造はこうして家事から求められた。のちに、シナリオ、ミッション、タスク、家事の4つの課題が並行するこの分類は、時間の流れで分けられた

2012-10-27 03:11:51
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

今ここでクリアしなければならないもの、この5日でクリアしなければならないもの、キャラクターがずっと抱えている課題。それらは待ってなぞくれず、いっぺんに現れてくる。この輻輳をばったばったと片付ける様が、ゲームの主人公としてかっこいいのではないか!? しかも家事じゃん!? となった

2012-10-27 03:13:39
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

しかし多数の課題で場を飽和させるためには、課題自体をランダム供給する必要がある上に、どうしてもプレイヤーのネタ出しを必要とする。まあそんなわけで、のちに基本ルールだけで216バリエもできるミッション表だの、家族の設定を深める属性だのタスク(長期的問題)などのルールが作られた。

2012-10-27 03:15:24
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

余談だけど、この多種多様な家事労働(?)によって場を飽和させる、というやりかたは、以前から作ってみたかった「物語が様々なタイムスケールで並行するモジュラー型のドラマ構造をTRPGで再現したい」というスタイルにもぴったりだった。

2012-10-27 03:17:07
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

と、まあここまで本当に1〜2時間、しかも『美鳥の日々』の話をしているほうが長いという体たらくのうちにあれよあれよとできていったのだが(ちなみに途中でもう一人原案者が加わった)、笑っちゃうことに最後に、で、この主婦/夫さんたちは何を解決するのさ、という問題が立ちふさがった

2012-10-27 03:19:06
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

一つの答えはもちろんあった。家事を解決するのである。つまり、ある種の単位である家庭を円滑に運営すること。しかしそれは、落ちてくるものに対してひたすら片付けていくという作業であり、ゲームという感じではないように思われた。というか、TRPGの主人公には「英雄」性がちょっとほしかった

2012-10-27 03:21:28
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

英雄性という言葉についての個人的な定義はさておき、ようは、どこで現実を越えるか、だ。もちろん、家事だの家庭内のもめ事だのがポイントを稼げば解決する、などというのは絵空事もいいところなのだが、さらにもっと強いフィクションが必要であろう、と考えたのだった。

2012-10-27 03:23:10
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

さて、なんだかんだで、現行のルールのうち「フィックス」(これは3度めのテストプレイから実装した)を除く全てがその3時間ほどでできてしまったのだが、この作品の嘘をどこに置くか、というのは課題として残された。

2012-10-27 03:25:22
はるを@浅川河畔スタジオ @haruwosumi

家に帰ってから、また『美鳥の日々』を見て、家事しかとりえがないと思っていた少女が、しかし家事を通じて様々なものを繋ぐのを見て、けれども、いくつもの決定的な瞬間に、まるで美鳥の運命に優しく手を伸ばされる大嘘の瞬間を幾度も見て、ホームドラマのことを考えていた。

2012-10-27 03:27:31