「リディアンハウス殺人事件」 - 第3章 - 【事件編】「集結 ─ せいじ」

作家：リディアン @arito_lydian2

第3章 【事件編】「集結 ─ せいじ」 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

その男はポートフューチャーへ向かう電車の中にいた。 彼は日頃の疲れを癒すように、流れていく海岸の景色をぼんやりと眺めていた。 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

この辺りは街から程近いにも関わらず、きちんと整備された区画に大きな公園があり、港まで通じる道路は完璧な直線で、果てしなく遠くまで見渡せるようになっている。 男の顔は日頃の疲れがにじみ出てはいるものの、その容姿は端麗であり銀縁の眼鏡が非常に似合っている。 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

彼のインテリぶりは、何も話さなくても体からにじみ出てきていた。 彼の名前はせいじ、高名な医師であった。 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

1人でこうしていることが、彼にとっては一番落ち着く行動なのだった。 日常の激務や病院内の人間関係のいざこざといった喧噪から離れ、ひとときの安らぎを身体の隅々まで行き渡らせているようだった。 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

彼は何気にカバンから1枚の手紙を取り出した。 そこにはこう書いてあった。 『親愛なるせいじ様。突然のお手紙、大変失礼いたします』 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

『私はあなたの古い友達である、ゆきおん様と親しい仲にあるものです。 この度、ゆきおん様と私の数人の共通の知り合いを集め、パーティーを催すことにいたしました。 つきましては、ゆきおん様の知り合いである、せいじ様にも是非参加して頂きたく、ご連絡致しました』 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

『日時は○月○日です。○月○日の16時に、下記地図に記してある、ポートフューチャーの船着場までお越しください。 そこから先はガイドが案内させていただきます。参加費等は一切いただきません』 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

『また、パーティーはディナー時間に行いますので、その日はそのままお泊りください。 お泊りになる部屋、及び宿泊に必要なものはすべてこちらで用意いたしますので、 特に何もお持ちにならなくても不自由はされないと思います』 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

『ただし、同封の招待状だけは絶対にお忘れのありませんように──。 よろしくお願いいたします。 ―ARI2―』 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

彼はそれを一通り見ると、またカバンに収めた。その直後だった。 その声は突然目の前で聞こえた。 ゆきおん：「あ！あなたもそうだったんですか！！」 （第3章：終） #lydianhouse