塔10月号「十代二十代歌人特集」を読む・第六回 #塔1020

「アラブの半月刀」こと千種創一(@chigusasoichi)と「砂丘の埴輪」こと吉田恭大(@tanka_daya)の野塔二人による短歌評。短歌結社誌「塔」十月号の「十代二十代歌人特集」から毎回数人づつ取り上げていきます。 前回→http://togetter.com/li/398246
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千種創一 @chigusasoichi

■吉田恭大と、千種創一の、塔十月号「十代・二十代特集」一首評! 今日取り上げるのは五十嵐基。吉田殿からどうぞ。 #塔1020

2012-10-31 15:24:45
Дая @nanka_daya

@chigusasoichi ごめん、アクシデント。ちょいまちで。

2012-10-31 15:32:38
千種創一 @chigusasoichi

吉田さんにアクシデント発生ということなので千種から行きますー。ハロウィンっ気のまったくないヨルダンの首都アンマンからお送りします。#塔1020

2012-10-31 15:39:03
千種創一 @chigusasoichi

あめ覆うとんぼ姿か風景かとんぼよとんぼわれ数えまじ /五十嵐基「異郷の母」 天(あめ)を覆うとんぼは姿だろうか風景だろうか私には数えられない、と読んだ。とんぼを「視れば」姿だし「見れば」風景の一部だという認識に留まらず、下の句でとんぼに呼びかけているのがいい。#塔1020

2012-10-31 15:46:19
Каракозов @hikaritoshigo

@chigusasoichi 文体が目立つ作品でした。一番成功しているのは引用のとんぼの歌じゃないかな。ちょっと読み下しにくいんだけど、昔の唱歌みたいな気配もあって、世界観が一貫しているところがいいと思います。 #塔1020

2012-10-31 15:59:00
千種創一 @chigusasoichi

五十嵐基も使う助詞や語彙の面で、擬古文寄りのド文語だけど、7首、読みやすい。自分の文体をもっている人だ。ただ連作「異郷の母」は最後の歌でこけている。。。こけた歌を紹介してもあれなので、吉田選にうつります。吉田さん、どうぞー #塔1020

2012-10-31 15:53:46
Каракозов @hikaritoshigo

藁ぼっちぽつねんとして我一人末期の秋とわれも眼に見よ /五十嵐基「異郷の母 「藁ぼっち」ってのは、脱穀後の稲を束ねて干しておく、三匹の子豚の長男の家みたいな形のようです。「藁ぼっち」の語と、それから結句のオーバーな言い回しにちょっとおかしみがある。 #塔1020

2012-10-31 16:13:04
千種創一 @chigusasoichi

@tanka_daya それ、千種選にしようか迷った。「藁ぼっち」、勉強させて頂きました。「末期の秋」って、晩秋のこととも読めるし、自分の病状(?)の末期とも読めるけど、その読みの揺らぎは、この歌の場合、前向きに働いているんじゃないでしょうか。 #塔1020

2012-10-31 16:16:25
千種創一 @chigusasoichi

@tanka_daya いや、末期って言葉は結構強い気がするがなあ。議論したいが時間もないので、次いきます。#塔1020

2012-10-31 16:22:47
Каракозов @hikaritoshigo

@chigusasoichi いや、普通に秋の終わりでいいんじゃない?擬人的になってるけど、死にゆく秋、くらいの読みで。 #塔1020

2012-10-31 16:20:08
Каракозов @hikaritoshigo

タイトルから分かるように郷愁が一連のテーマ。使う素材はありがちなんだけど、言い回しが変なのでついつい読んでしまいました。件の最後の歌「からすからす何処へ帰る嗚呼己は母のお腹へかえりたい」はやっぱり僕もダメだとおもうけど。 #塔1020

2012-10-31 16:16:01
千種創一 @chigusasoichi

@tanka_daya 引用しやがった!笑 せっかく引用こらえたのにー。五十嵐基、文体で読ませる人だよね。もっと読みたい。「作品2」欄にいるのかな。あとで探してみよう。では次、いきます。 #塔1020 

2012-10-31 16:19:48
Каракозов @hikaritoshigo

@chigusasoichi  そこまで触れたら引かないと、読んでない人が気になるでしょう。次お願いします。 #塔1020 

2012-10-31 16:21:46

※※※ 

千種創一 @chigusasoichi

■吉田恭大と、千種創一の、塔十月号「十代・二十代特集」一首評! 五十嵐基に続いて取り上げるのは鳥居。下の名前はないようです。 吉田氏からどうぞ。 #塔1020

2012-10-31 16:23:39
Каракозов @hikaritoshigo

けいさつをたたいてたいほしてもらいろうやの中で生活をする/鳥居『攪乱』モチーフがエキセントリックで、露悪的な連作でした。ただ、イメージが類型的すぎてそんなに迫力がない。平仮名表記にちょっとくすっと来たのでとりあえずこの歌を選びました。 #塔1020

2012-10-31 16:27:15
千種創一 @chigusasoichi

@tanka_daya 「警察を叩いて逮捕してもらい牢屋の中で生活をする」だけど、結句前までを平仮名に開くことで、また結句が「生活したい」ではなく「生活する」という終止形になっていることで強い狂気を感じました。#塔1020

2012-10-31 16:29:35
千種創一 @chigusasoichi

本好きな少女の脚に虐待の傷が静かな刺繍のように /鳥居「攪乱」 さっきの吉田選が一番露悪に成功している歌だろう。この歌も「静かな刺繍」という比喩は成功しているが、少女が本好きだという設定の効果がよくわからない。暗めの上の句に暗い下の句になってしまっている。 #塔1020

2012-10-31 16:36:29
Каракозов @hikaritoshigo

@chigusasoichi きっと内向的な少女だ、ってことなんじゃないかな。一首単位だとまだいいけど、連作全体で見ると「自殺」「不眠」「虐待」「自傷」みたいな要素が並んでいて、かえってバランスを崩している気がしました。#塔1020

2012-10-31 16:47:45

※※※

千種創一 @chigusasoichi

■吉田恭大と、千種創一の、塔十月号「十代・二十代特集」一首評! 鳥居に続き、本日最後に取りあげるのは常川真央。 #塔1020

2012-10-31 17:07:16
Каракозов @hikaritoshigo

蟻と蟻 蝉の在りかを取り交わし歩道に見えぬ謀略を描く/常川真央「炎の泡」韻律の端正さで選びました。「蟻と蟻」「在りか」。内容はシンプルだけど、読みどころが分かりやすくて面白い。 #塔1020

2012-10-31 17:12:39
千種創一 @chigusasoichi

@tanka_daya 蟻の不気味な感じと謀略という語もうまく調和している。(悉く選がかぶるな、今日の人たちは…) #塔1020

2012-10-31 17:16:11
千種創一 @chigusasoichi

一粒の泡閉じ込めた氷越し幼い頃の風景を乞う /常川真央「炎の泡」 見るとか幻視するとかではなく「乞う」のが少し面白いなあと。氷の透明感と幼児期の純粋性を重ねあわしている。 #塔1020

2012-10-31 17:22:13
千種創一 @chigusasoichi

けど、他の歌に関しては、全体的に言葉に寄りかかりすぎ、だろうか。作者の世界は素敵なんだけど、その世界を支えるための修辞が弱いんだよね。あと文体も定型を優先しすぎているような。吉田先生、時間大丈夫? #塔1020

2012-10-31 17:25:00