「リディアンハウス殺人事件」 - 第6章 - 【事件編】「出航」

オリジナルミステリー小説「リディアンハウス殺人事件」のまとめです。
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作家:リディアン @arito_lydian2

ポートフューチャーの船着場はとてものどかな場所だった。   白いかもめが2,3羽のグループをつくり、海面をかすめるように優雅に飛んでいる。 #lydianhouse

2012-10-25 00:46:25
作家:リディアン @arito_lydian2

波止場を打ち付ける波の音が心地よく胸に響く。 潮の香りは爽やかに体を突き抜け、全身が浄化されるような気分になっていく。 #lydianhouse

2012-10-25 00:46:39
作家:リディアン @arito_lydian2

この船着場は、普段は公の船着場としては使われておらず、個人が所有している船の一時停泊に、 誰でも自由に使ってよいことになっていた。 #lydianhouse

2012-10-25 00:47:14
作家:リディアン @arito_lydian2

16時が近づくと、パーティーに招待された4人は続々と船着場に到着した。 その4人はお互いが同じパーティーに招待された者同士だということがすぐに分かった。 #lydianhouse

2012-10-25 01:50:26
作家:リディアン @arito_lydian2

というのも、地元の者らしき人が数名歩いていたり、船の周辺で作業している人がいたり、そういった類の人の姿はちらほら見えるが、 誰か迎えの者が来るはずだと回りをきょろきょろ探しているような所在ない感じの者は、 この4人を除いて他にはいなかったためである。 #lydianhouse

2012-10-25 01:51:44
作家:リディアン @arito_lydian2

4人は一箇所に集まって待つことにした。 …みーやだけは少し離れていたが。 #lydianhouse

2012-10-25 01:52:10
作家:リディアン @arito_lydian2

しばらく待っていた4人であったが、ゆきおんがまず口を切った。 ゆきおん:「確か迎えがくるようになっていたはずですよね」 しゃぺん:「ええ、そのはずです」 #lydianhouse

2012-10-25 01:52:46
作家:リディアン @arito_lydian2

ゆきおん:「パーティーに招待されたのはこの4人だけなのかな」 せいじ:「多分もう少しはいるでしょう。おそらく別ルートで来る人もいるんじゃないかな」 その後は何となく取り留めのない話が交わされていた。 #lydianhouse

2012-10-25 01:53:12
作家:リディアン @arito_lydian2

やがて、1人の男が近づいてきた。 男:「みなさん、ARI2様のパーティーに招待された方でございますね」 4人は一斉にうなずいた。 #lydianhouse

2012-10-25 01:53:43
作家:リディアン @arito_lydian2

ガイド:「私はARI2様に雇われて、みなさんをお屋敷まで案内するように言われています。どうぞよろしく」 ガイドの男は4人にそれぞれ挨拶をすると、船着場に泊まっている一隻の船の方へ皆を導いた。 #lydianhouse

2012-10-25 07:55:05
作家:リディアン @arito_lydian2

ガイド:「それでは、こちらへ来てください。 これからこの船にて、皆さんをARI2様の所有する『リディアンハウス』がある島へとお連れいたします」 #lydianhouse

2012-10-25 07:56:51
作家:リディアン @arito_lydian2

ガイド:「皆さんの他にパーティーに招待されている方々もおられますが、別の場所から別の船で向かう予定ですので、 この船では4名様のご招待ということになっています。 島までの所要時間はおよそ30分です」 #lydianhouse

2012-10-25 07:57:28
作家:リディアン @arito_lydian2

その船は小さい船ではあったが、まるで新品であるかのように船体をピカピカと光らせていた。 設備はそんなに備わっていないものの、3,40分の航海ならばその綺麗なボディーを眺めているだけですぐに到着してしまいそうな感じであった。 #lydianhouse

2012-10-25 07:57:47
作家:リディアン @arito_lydian2

4人がぞろぞろと船に乗り込むと、男は回りの安全を確かめ出港の準備をした。 やがて船は、リディアンハウスがある島の方へその船首を手向け、小さな船体に似合わず力強く進んでいった。 #lydianhouse

2012-10-25 07:58:46
作家:リディアン @arito_lydian2

進んでいくうちに、太陽はどんどんその姿を遥か彼方の水平線の向こうへと落としていった。 それにつれて空は、爽やかなブルーから、血で染まったような真っ赤にその色を変えていく。 #lydianhouse

2012-10-25 20:19:04
作家:リディアン @arito_lydian2

綺麗な船体はその赤を見事に反射させ、ギラギラと異様なまでに輝き始めた。 白いカモメはいつの間にかその姿を消し、 代わりに黒いカラスがカーカーと鳴きながら船の上を飛んでいる。 心なしか、潮の匂いまで生臭く感じられてきた。 #lydianhouse

2012-10-25 20:19:26
作家:リディアン @arito_lydian2

この4人にこれからどのような運命が待ち構えているのか、 この時には誰も知る由も無かった──。 (第6章:終) #lydianhouse

2012-10-25 20:20:33