「リディアンハウス殺人事件」 - 第11章 - 【事件編】「未だ見えぬ主」

オリジナルミステリー小説「リディアンハウス殺人事件」のまとめです。
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作家:リディアン @arito_lydian2

「カチ、カチ、カチ、カチ・・・・」 談話室にかかる柱時計が規則的なリズムを刻んでいる。 #lydianhouse

2012-10-29 08:14:17
作家:リディアン @arito_lydian2

談話室には全員 ── しゃぺん、せいじ、ゆきおん、みなもの4名 ── が揃っていた。 誰も一言も発することなく、時計の音だけが無情にも響き渡っている。 時刻はすでに深夜の12時に近くなっていた。 #lydianhouse

2012-10-29 08:14:49
作家:リディアン @arito_lydian2

ゆきおん:「どうなっとる!!」 ゆきおんがとうとうしびれを切らせて怒鳴った。 せいじ:「誰も・・・きませんね・・・」 しゃぺん:「おかしいぞ。何か事故でもあったのか」 #lydianhouse

2012-10-29 08:16:18
作家:リディアン @arito_lydian2

ゆきおん:「みなもさんと言ったか。あなたは何も聞かされていないのか?」 みなも:「はい、何も・・・」 みなもはすっかり元気がなく。今にも泣き出しそうである。 #lydianhouse

2012-10-29 11:13:37
作家:リディアン @arito_lydian2

せいじ:「ARI2という人物は、一体どんな人なのかな?」 みなも:「実は・・・私も会ったことがないのです。 先日、私の登録している派遣会社から急に派遣依頼が参りまして、メイドの仕事をやらせていただくことになりました」 #lydianhouse

2012-10-29 11:13:59
作家:リディアン @arito_lydian2

みなも:「依頼内容は、パーティーを開催することになったため、私はその料理の支度をするということでした。 依頼人はARI2様でしたが、依頼は電話で行われ、料金は先払いで銀行振込でいただきました。 なので、私は一度もARI2様にお会いしたことはないのです」 #lydianhouse

2012-10-29 11:15:48
作家:リディアン @arito_lydian2

ゆきおん:「なんてことだ!我々はどうすることもできないのか。 こうなったのも全部このパーティーを主催したやつの責任だ!」 ゆきおんは誰に向けるわけでもなく怒鳴ったが、行き場のない目線は最後にみなもをとらえた。 #lydianhouse

2012-10-29 12:02:09
作家:リディアン @arito_lydian2

しゃぺん:「おいおい、ちょっと待てよ。 この娘には関係ないだろ。雇われただけなんだから。 悪いのはARI2ってやつじゃないのか」 #lydianhouse

2012-10-29 12:02:23
作家:リディアン @arito_lydian2

ゆきおん:「とにかく!明日には迎えの船がくるはずだな。 私はそれでさっさと失礼するぞ!」 ゆきおんはイライラしたように言った。 せいじ:「しかし・・・こうなると一つ重要な問題がある」 せいじが深刻そうな顔で言った。 しゃぺん:「何だ?」 #lydianhouse

2012-10-29 12:03:34
作家:リディアン @arito_lydian2

せいじ:「我々が探した限り、この島には他に誰もいなかった。 そして、みーやは首をしめて殺されている。 ということは・・・」 せいじが一呼吸置いた。 「まさか・・・」 一同に口を揃えた。 #lydianhouse

2012-10-29 12:54:07
作家:リディアン @arito_lydian2

せいじ:「そう。犯 人 は こ の 中 に い る と い う こ と だ」 せいじがそう言うと、 まるでこの島全体の時間が止まったかのように、全員が凍りついた。 #lydianhouse

2012-10-29 12:55:43
作家:リディアン @arito_lydian2

ゆきおん:「そんな馬鹿な!!そんなはずがあるわけが無い」 せいじ:「いや、そうとしか考えられないのですよ。そうでしょう?」 せいじが諭すように言った。 しゃぺん:「確かにそうなるな・・・」 #lydianhouse

2012-10-29 14:03:16
作家:リディアン @arito_lydian2

せいじ:「どうやら、お互いにきちんと身元の確認をする必要がありそうですね」 しゃぺん:「そうだな。俺達はまだ何もお互いのことを知らないに等しいんだ」 みなもとゆきおんは黙ったまま下を向いている。 #lydianhouse

2012-10-29 14:06:52
作家:リディアン @arito_lydian2

しゃぺん:「そうだ。まずはARI2ってやつから届いた招待状を確認し合おう。 みなもさん以外は持っているはずだな」 しゃぺん:「俺の招待状はこれだ。ちょうどポケットに入れたままになってたよ」 しゃぺんが全員に回して見せると、せいじは大きくうなずいた。 #lydianhouse

2012-10-29 14:08:42
作家:リディアン @arito_lydian2

せいじ:「私もこれと同じものを持っています。来る時の電車の中でゆきおんさんにも見せましたが・・・少々お待ちください」 せいじは2階へと上がって行き、すぐ戻ってきた。 手には紙のようなものを持っている。 #lydianhouse

2012-10-29 16:17:28
作家:リディアン @arito_lydian2

せいじ:「私の招待状はこれです」 せいじはテーブルに招待状を置いた。 しゃぺんはうなずいた。 せいじ:「ゆきおんさんは?招待状をお持ちじゃないでしょうか。 お部屋にあるなら取ってきていただいてもよろしいでしょうか」 #lydianhouse

2012-10-29 16:17:59
作家:リディアン @arito_lydian2

せいじが言うと、皆の目が一斉にゆきおんに向けられた。 ゆきおんはほんの少し顔をゆがめて突然席を立った。 ゆきおん:「馬鹿馬鹿しい!!こんな茶番に付き合ってられるか。 招待状ごときでいったい何が分かるというのだ。私は失礼する!」 #lydianhouse

2012-10-29 16:19:23
作家:リディアン @arito_lydian2

ゆきおんは足音をドカドカとたてながら自分の部屋に戻っていった。 部屋が急に静かになった。 しゃぺん:「・・・ゆきおんに間違いない。さっきのうろたえた顔を見ただろう」 しゃぺんが声を潜めて言った。 #lydianhouse

2012-10-29 17:04:23
作家:リディアン @arito_lydian2

せいじ:「まだそう決め付けるわけにはいかん。しかし、私も見る限り彼が一番怪しいと思う」 みなも:「あの・・・私には何も分かりません。一体何がどういうことなのか・・・」 みなもはすっかり頭が混乱しているようだった。 #lydianhouse

2012-10-29 17:04:40
作家:リディアン @arito_lydian2

しゃぺん:「やっぱりやつだ!今から部屋へ行って白状させてやる。そして明日の朝まで縄で縛っておいて、警察に突き出してやろう」 しゃぺんが立ち上がり、2階へ駆け出そうとした。 その瞬間! #lydianhouse

2012-10-29 17:19:04
作家:リディアン @arito_lydian2

「ぎゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」 (第11章:終) #lydianhouse

2012-10-29 17:19:40