旧カオスラウンジ黒瀬陽平君今期のアニメは?
F/Tの秋葉原論でもいい加減な知識で秋葉原を騙った黒瀬陽平くんが
今度は仲良しの宇野常寛君のところでアニメを批評し始めたみたいだよ?
あれ? でも黒瀬くん そんな事やって本当に大丈夫?
「人類は衰退しました」 ☆☆☆☆☆ ベタなSF×ユルさの可能性 ☆☆ 【黒瀬陽平:7点】 新感覚SFアニメ、というほど新しくはないが、筋の通ったSFとユルさのブレンドはおもしろい。
2012-11-01 21:44:11「妖精さんの、おさとがえり」(5話、6話)のようなベタなSFや、「妖精さんたちの、じかんようじゅつ」(7話、8話)のようなループものも同じノリでやれてしまう万能さは、深夜アニメに留まらない可能性を感じさせる。
2012-11-01 21:44:39ただ、「妖精さんたちの、さぶかる」(3話、4話)のような内輪ウケでしかない自虐ネタは作品全体のコンセプトを曖昧にするだけだし、その方向でオチをつけてしまうと『絶望先生』のような毒にも薬にもならないギャグアニメと同じになってしまう。
2012-11-01 21:44:49かと言って、結局「イイ話」に持っていった最終2話が良かったとは思わないけれど、1クール飽きさせないクオリティだったことは確か。作画の悪さを叩くむきもあるようだが、むしろ多少作画が崩れても成立させていた手腕を評価すべきだろう。
2012-11-01 21:45:01本作で終始描かれるのは、アイデンティティについての悩み、自己実現の問題、友人関係や家族関係の葛藤など、総じて思春期特有の内面的な問題であるわけだが、そのような、悩んでいる本人以外にはきわめてどうでもよい、取るに足らないものをテーマにしてどうしようというのだろうか。
2012-11-01 21:45:59もちろん、主題としての青春群像劇を否定しているのではない。多くの優れたアニメがそうであるように、重要なのは「青春群像劇を描くことによって何を表現したいか?」である。そんな当たり前のことも忘れ、思春期の悩みあれこれを詳細に描いてさえいればよい、とでも言いたげな脚本、演出は、
2012-11-01 21:46:25深刻な思考停止とキャラクターアニメの衰退を強く感じさせるものだった。そもそも、この内容であればアニメにする必要はないだろう。本作にくらべれば、青春群像劇でありながらキャラクターたちの内面が空っぽな『けいおん!』の批評性がいまさらながら引き立ってくる。
2012-11-01 21:46:37「じょしらく」 ☆☆☆☆☆ お笑いバラエティとしてのアニメ ☆☆★ 【黒瀬陽平:7.5点】 『ゆるゆり』のような最近のウェルメイドな空気系と久米田節がミックスされ、お互いの短所を補完しあう作品。
2012-11-01 21:46:51つまり、ゆるーい空気を楽しみつつしっかりとキャラに萌えることができ、かつちゃんとした笑いもある、という理想的なバランスになっている。全編通して、水島努と横手美智子の力量に感服させられっぱなしなわけだが、同時にひとつの大きな疑問が頭をもたげてくる。
2012-11-01 21:47:06これはよくできた「お笑いバラエティTV」なのではないか?キャラたちの見事なかけあいはさながら人気芸人のコントのようだし、「ツッコミ芸」を駆使したトーク展開も最近のお笑いのトレンドそのままだ(早くも2話の段階で、ツッコむ対象を求めて「外ロケ」に踏み切っている)。
2012-11-01 21:47:20アニメ作品をお笑い番組化する、という試み自体は可能性があると思うが(すでに『gdgd妖精s』のような傑作があるのだから)、本作の「洗練されたお笑い番組のようなアニメ」という方向がどこに着地するのかはわからないままだ。
2012-11-01 21:47:34思春期のトラウマや自分探しがアニメの大きなテーマになりうる、という勘違いはどこからはじまったのか?という問いには、とりあえず「エヴァ」という答えが一般的なのかもしれないが、その通説は多くの誤解を振りまいている。
2012-11-01 21:48:00エヴァはそういった私小説的なテーマとアニメの形式的な表現そのものをぶつけあい、崩壊するさまを見せた作品なのであって、「トラウマもの」や「自分探しアニメ」にお墨付きを与えたわけではない。本作がアニメ化される背景にはそういう誤解があったのかもしれない。
2012-11-01 21:48:12いちおう本作の売りのひとつはSF要素なわけだが、それも良きジュブナイルファンからは鼻で笑われてしまうようなものであり、何か新しい試みがあるようには見えない。個人的には稲葉というキャラがあまりにも薄っぺらく、沢城みゆきの声すら不快に感じさせる点が最も罪深いと思う。
2012-11-01 21:48:24かろうじて、八重樫を『School Days』の誠だと思って見てみればいいかもしれない。「ふうせんかずら」は作者あるいは視聴者の欲望を代行する存在なのだから、本作をエロゲー的に作りなおせばいくらかの批評性はあると思うのだが、どうだろうか。
2012-11-01 21:48:36『涼宮ハルヒの憂鬱』と比較することで「京アニの自己模倣」のように見えなくもないが、『ハルヒ』におけるキョンと小泉の会話を自己目的化し、そのホモソーシャルな関係性を作品の中心に据えた作品として見れば、本作のコンセプトが浮かび上がってくるような気がする。
2012-11-01 21:49:13さらに、女子高生のたわむれを描写することに徹していた『けいおん!』と対をなすと考えれば、やはり京アニは一貫していると言わざるを得ない。『けいおん!』では自己目的化したコミュニケーションを細密に描くことで青春ドラマを脱臼させたが、奉太郎と里志の過剰な掛け合い(推理)を描く本作では、
2012-11-01 21:49:39結果としてシャーロック・ホームズのような探偵ものを脱臼させているように見えるところも興味深い。凶悪事件の事件解決よりも、それをめぐるホームズとワトソンの会話こそ至高、というわけだ。
2012-11-01 21:49:58以上のように、本作の主役は明らかに奉太郎と里志であるにもかかわらず、アニメ全体としては千反田萌えを無理やり押し付けるような展開であったことが最大の不満である。
2012-11-01 21:50:03「おおかみこどもの雨と雪」 ☆☆☆☆☆ 最新のキャラクター存在論 ☆☆☆☆★ 【黒瀬陽平:9.5点】 まず、大傑作である。
2012-11-01 21:50:18