「リディアンハウス殺人事件」 - 終章 - 【解決編】「『ARI2』の正体」

オリジナルミステリー小説「リディアンハウス殺人事件」のまとめです。
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作家:リディアン @arito_lydian2

センダはベスパックスの部屋にやってきた。 ガチャッとドアを開け一礼し、中に入る。 ベスパックスは椅子に座り、ドアとは反対側の窓の外を眺めていた。 ベスパックス:「やっときたか」 ベスパックスは振り向きもせず言った。 #lydianhouse

2012-11-01 17:28:04
作家:リディアン @arito_lydian2

センダ:「あなただったんですね、『ARI2』は」 #lydianhouse

2012-11-01 17:29:06
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックスは椅子に座ったまま返事をしない。 センダは続けた。 センダ:「僕は今回の事件の動機となった昔の事件を全部調べました」 #lydianhouse

2012-11-01 17:42:17
作家:リディアン @arito_lydian2

センダ:「みーやによる自殺事件。 ゆきおんの会社による詐欺行為。 せいじの病院での人体実験疑惑。 そして、しゃぺんの覚せい剤所持。 さらに、こよみとみなもが起こした交通事故 ──。 ── すべて、あなたが担当した事件ですね」 #lydianhouse

2012-11-01 17:44:26
作家:リディアン @arito_lydian2

センダ:「あなたは正義感の非常に強い人です。 犯罪者は決して許さないという信念を持っています。 あなたは証拠不十分で罪に問われなかったこれらの事件の犯人を、許せなかったんじゃないですか? 」 #lydianhouse

2012-11-01 17:45:04
作家:リディアン @arito_lydian2

センダ:「つまりこういうことだ。 あなたは昔担当した事件の中から、不起訴処分となったものを取り上げ、 それらの中で犯人と犯人が殺し合う動機を持っている者を選び出した」 ── そして、あの招待状を送った ── #lydianhouse

2012-11-01 17:45:54
作家:リディアン @arito_lydian2

しばらく沈黙があった。 やがて、ベスパックスの座っている椅子が半回転し、ベスパックスの目がセンダを捉えた。 ベスパックス:「そうだ・・・全部私が仕組んだことだ」 #lydianhouse

2012-11-01 18:13:26
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックス:「しかし、それがどうしたというのだ?」 ベスパックスは言った。センダは驚いて言い返した。 センダ:「どうした?だって!? 人を5人も殺しておいて、よくもそんな・・!!」 #lydianhouse

2012-11-01 18:14:28
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックス:「おいおい、私は決して人を殺してなどいないぞ。 私はあの薄汚れた犯罪者共を、パーティへと招待してやっただけだ。 あとはやつらが勝手に殺し合った。それだけのことだろう?」 センダは何か言いかけて、言葉に詰まった。ベスパックスは続けた。 #lydianhouse

2012-11-01 18:15:17
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックス:「法律とは時として無力なものだ。 何故なら、世の中の全員が考える絶対的な正義など、本当はどこにも無いからだ」 #lydianhouse

2012-11-01 18:50:19
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックス:「自分と意見が"同じ"か"違う"か、この世にはそれしかない。 それを『法律』という一つの解答ですべてのケースに当てはめようとすることには無理がある」 ベスパックスはさらに続けた。 #lydianhouse

2012-11-01 18:50:49
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックス:「我々の正義とは何だ。 犯罪を許さずそれ相応の償いをしてもらうことだっただろう? 法で裁けないなら、誰かが裁くしかない。 私はそのことを『ARI』と名付けた」 #lydianhouse

2012-11-01 18:51:49
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックス:「あの屋敷に呼んだ奴らは皆、法で裁けない相手を持っていた。 つまり、奴らは『ARI』だったのだ。 そして、俺は奴らを決して許さない。 ── 俺は『ARI2』 ── 2代目の『ARI』だ」 #lydianhouse

2012-11-01 18:53:53
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックス:「お前も刑事としての正義を忘れないようにな。 決して犯罪者は許しちゃいかんぞ」 ベスパックスはいつもの諭すような口調で言った。 #lydianhouse

2012-11-01 21:03:00
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックス:「例の殺人ループは、血の気の多そうなしゃぺん辺りから始まって、 最後はゆきおんだけが生き残ることを想定して、 ゆきおんには招待状を送らず電話だけの連絡にしたのだが…」 #lydianhouse

2012-11-01 21:04:08
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックス:「しかし、まさかあそこまでうまくいくとは思わなかったぞ。 みなもが自殺までしてくれるとは・・・。 おかげで、私の計画は 完 璧 になったのだがな」 #lydianhouse

2012-11-01 21:04:51
作家:リディアン @arito_lydian2

センダは下を向いて震えている。 やがて、何かが弾けたように叫んだ。 センダ:「貴様!!本当にそれが正義だと思っているのか!? そんなものが正義であるはずがない!!」 #lydianhouse

2012-11-01 21:05:23
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックスはどこを見るわけでもなく、たばこを吹かしている。 ベスパックス:「それならば、もう一度問おう」 ゆっくりとした口調でベスパックスは言った。 以前にも聞いたことがあるこの台詞だった。 #lydianhouse

2012-11-01 21:20:14
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックス:「『正義』とは何か、考えたことがあるか?」 #lydianhouse

2012-11-01 21:20:42
作家:リディアン @arito_lydian2

センダ:「!……………」 ベスパックス:「おまえの正義とは何なのだ?」 ベスパックス:「自分の意見と同じものが正義なのではないか?」 センダ:「俺は…俺の正義はっ…!!」 #lydianhouse

2012-11-01 21:22:57
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックス:「結局俺とお前は同じなのだ」 ベスパックス:「俺が、、、、オレがセイギなのダ!!」 ベスパックス:「ハーッハッハッハッハッハッ……!!!!!!!」 センダ:「く…くそぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!」 #lydianhouse

2012-11-01 21:24:00
作家:リディアン @arito_lydian2

── 数日後、センダは警察を辞職した ── #lydianhouse

2012-11-01 21:28:05
作家:リディアン @arito_lydian2

ベスパックスに対する憧れはその行き場を失い、 センダの中には代わりに生まれた感情があった ──。 #lydianhouse

2012-11-01 21:28:46
作家:リディアン @arito_lydian2

センダ:「ベスパックスがしたことは正義でも何でもない。 あれは、正義の面を被った悪だ!絶対に許すことは出来ない。 しかし法律ではあいつを裁けないだろう・・・」 #lydianhouse

2012-11-01 21:29:13