竹田圭吾さんが取材した北海道・幌延町の深地層研究センターのまとめ

■幌延深地層研究センターhttp://www.jaea.go.jp/04/horonobe/ ■北海道幌延町 | 幌延深地層研究センター http://www.town.horonobe.hokkaido.jp/www4/section/soumu/le009f0000000erz.html
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竹田圭吾 @KeigoTakeda

稚内なう。幌延の深地層処分試験場へ

2012-10-31 12:03:11
竹田圭吾 @KeigoTakeda

高レベル放射性廃棄物の地層処分研究をしているけれど北海道と幌延町と日本原子力研究開発機構の協定で放射性物質は「使用しない、持ち込まない」ことになっている研究坑の地下140メートルわず http://t.co/TteQqTq0

2012-10-31 16:05:03
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J-WAVE 81.3FM @jwave813fm

今夜20時から #jamtheworld 竹田圭吾がナビゲート☆放射性廃棄物と深地層研究との関係…元日本原子力研究開発機構の楠戸伊緒里さん☆20:40〜50 小黒一三 × 武部聡志さん (音楽プロデューサー) #jwave #radiko

2012-11-01 17:22:21
竹田圭吾 @KeigoTakeda

今週行った北海道・幌延町の深地層研究センター。稚内空港から車で1時間ほど。日本原子力研究開発機構(旧動燃)の施設。高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のゴミを深さ350m以上の地下に埋めるための研究を行っている。国内は他に岐阜県瑞浪市と茨城県東海村に研究施設がある。

2012-11-03 18:05:38
竹田圭吾 @KeigoTakeda

幌延は堆積岩の比較的やわらかい地層、瑞浪は花崗岩系の比較的かたい地層でそれぞれ実際に坑道を掘っての調査。どちらも施設に実際の放射性廃棄物は持ち込めないので、それは東海村で行っている。

2012-11-03 18:06:04
竹田圭吾 @KeigoTakeda

なぜ地層処分か。60年代初めまでは日本も含め核廃棄物は海洋投棄していたが、ロンドン条約で禁止に。宇宙投棄は高コストとロケット打ち上げ時の事故がリスク。地上保管は地震やハリケーンなど自然災害のほか、戦争、テロなど人為的なリスクが甚大。消去法で地下が安全と。

2012-11-03 18:06:21
竹田圭吾 @KeigoTakeda

フランス、アメリカ、ロシアなども地層処分に取り組む。が、最終処分地が決まり、処分方法もまとめて実際の埋設プロセスに入っているのはフィンランドの地下400mの施設オンカロだけ。映画『100,000年後の安全』に詳しい。

2012-11-03 18:06:50
竹田圭吾 @KeigoTakeda

なぜ幌延か。動燃はもともと処分場と研究施設を一体化して立地を探っていた。80年代に幌延町の有力者が誘致したが、酪農家などを中心に激しい反対運動。結局処分場のみ切り離し、道も反対運動を突き放して国策に乗った。経緯は滝川康治氏の著書『幌延 核に揺れる北の大地』に詳しい。

2012-11-03 18:07:04
竹田圭吾 @KeigoTakeda

どう処分するか。まず使用済み核燃料をガラスと混ぜて固化体に。それをバックパックと呼ばれる金属で包み、さらにベンドナイトという粘土性の物質で覆う。それを深さ350mに掘ってつくった広い地下室に並べ、スペースが埋まった段階で地下室、坑道、入り口まですべてをコンクリートでふさいで完了。

2012-11-03 18:07:38
竹田圭吾 @KeigoTakeda

安全かどうかは地中の変化の影響をどう受けるかによる。そこまでの深さの地下は海中、空中、地上などと比べて環境の変化がほとんどない。埋める前に地質や地層の特徴を確認してその場所に合った対策を十分にしておけば理論上は安全。という理屈。

2012-11-03 18:07:51
竹田圭吾 @KeigoTakeda

問題は数万年〜10万年後まで地中に変化がないかどうか。未来過ぎて想像もつかないので、逆に過去の地層などの変化(ナチュラル・アナログと呼ばれる)をたどって調べる。幌延では推定200万年前の地層も確認済み。過去の変化から未来を予測する手法。

2012-11-03 18:08:04
竹田圭吾 @KeigoTakeda

幌延では深さ140mの研究フロアまでケージ式のエレベーターで降り、推定200万年前の地層から染み出る水をなめてみた。しょっぱかった。地下水には天水系と塩水系があり、幌延は後者だという。幌延の研究工程は3段階に分かれ、すでに第二段階から第三段階に入りつつあるところ。

2012-11-03 18:08:18
竹田圭吾 @KeigoTakeda

いくつかの疑問。一つは研究結果の汎用性。幌延(や瑞浪)の地下で実験して大丈夫とわかっても、そのままよその場所に当てはめられるのか。日本原子力研究開発機構の幌延の人「場所が違うとそっくりは使えない。数学でいうと応用。基本的なところはそのままいけるが地下水の流動系などは異なる」

2012-11-03 18:08:32
竹田圭吾 @KeigoTakeda

幌延での研究が進んだことで、国内のこの場所が処分地として適しているというのもわかるのでは?「ここ、というのは言えない。我々はあくまで三者協定(放射性廃棄物を持ち込まない、使用しないことを北海道、幌延町と約束している)に従って研究を行っているだけ」

2012-11-03 18:08:44
竹田圭吾 @KeigoTakeda

実際に放射性廃棄物を使って実験しないとわからないこともあるのでは?「非放射性の同位体のものではやっている。あと必要なことは東海のセンターで確認できる」日本では処分自体困難という結論が出る可能性もあるのか。「ないと思っている。ここでは200万年前の地層が出ているが変動していない」

2012-11-03 18:08:55
竹田圭吾 @KeigoTakeda

断層がずれたりとかは?「うーん、そこは確定的に言えるということは…」「第二次取りまとめ(地層処分の技術的信頼性に関する99年中間報告)と大きく矛盾するものは出てきていないが、部分的に見直さないといけない部分はある」

2012-11-03 18:09:08
竹田圭吾 @KeigoTakeda

幌延がそのまま廃棄物の最終処分地になることはないのか。要するに幌延は「地層処分を行うための調査や解析の方法を検証する施設」であって、処分地の選定にかかわること自体がないと言う。埋め戻すための掘削土も敷地内にすべて保管してある。

2012-11-03 18:09:24
竹田圭吾 @KeigoTakeda

ただ、ここまで実地的に試験を行った施設をそのまま埋め戻すことはないのでは、という見方もあると別の場所で関係者から聞いた。現状で周辺も含めた自治体や北海道が受け入れる可能性はゼロだが、処分地が決まらない状況で、研究が完了したら即時閉鎖するのかどうか。

2012-11-03 18:09:38
竹田圭吾 @KeigoTakeda

幌延は一般の見学者もあり、最終処分地が「本番の舞台」で研究センターは「稽古場」という例えで説明していると。舞台で稽古する芝居もあれば別々の芝居もある、幌延は稽古場だから処分地になりませんよと。それって幌延が本番の舞台にならない保証にはなりませんよねと突っ込むとまあそうですねと。

2012-11-03 18:09:59
竹田圭吾 @KeigoTakeda

国の計画では2020年代半ばまでに処分地を決定、30年代半ばから処分開始というスケジュールだが、現実の問題として最終処分の候補地さえ数年以内に決まる見込みはない。国内にはすでに六ヶ所村の再処理施設に約1500本のガラス固化体と各地の原発に使用済み核燃料がある。

2012-11-03 18:10:14
竹田圭吾 @KeigoTakeda

六ヶ所村の原燃などは核燃料サイクルを止めるなら廃棄物はどこかへ持っていってもらう、場所がないなら各地の原発に戻すと言っている。日本学術会議などは最近「暫定保管」「最終貯蔵」といった概念を打ち出した。「中間貯蔵」施設はアメリカやドイツ、スイス、オランダなどにすでに建設されている。

2012-11-03 18:10:26
竹田圭吾 @KeigoTakeda

核のゴミをどうするかは原発問題と関係がない。脱原発であれ継続であれ使用済み燃料の処分は避けられない。現実にはそうした中間貯蔵形式が当面の策になる可能性が高い気がする。数百年スパンでは地層処分がおそらく最も安全だが、政治的なハードルを乗り越えられそうにない。

2012-11-03 18:10:38
竹田圭吾 @KeigoTakeda

数千年、数万年の話になると、仮にゼロリスクであっても、いまの人類の経済的な受益の負担をそこまで先の人類と地球に押しつけるのはあまりに無責任で図々しいのではないか。『100,000年後の安全』に出てくるように、地下に埋めたものが何かを数万年後の人類にどう説明するかに苦労している。

2012-11-03 18:10:53
竹田圭吾 @KeigoTakeda

原子力を発電に利用するようになってまだ100年も経っていない。地層処分という選択肢を全否定はしないが、いまの人間がそこから得たものの対価としての負担やリスクは、基本的にはいまの人間が託せる世代の範囲の限りにおいて引き受けるべきではないかと個人的には思う。

2012-11-03 18:16:31