幕末、なぜ剣術が流行ったのか?

【「幕末、刀は銃に破れた」のか?】 http://togetter.com/li/400736 こっちのまとめを読み返して、「なぜ幕末に剣術が流行ったのか」については、 もうちょい補足した方がいいかなー、と思ったので、つらつらと。
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神無月久音 @k_hisane

まとめのコメント読んでて、補足した方がいいのかしらん、と思ったのは、「刀剣の効果そのものは別に変わってないので、銃が持ち込めない状況(平時の市中とか)では刀は有用だったし、そこでは実戦剣術は相応に意味があった」ということでしょうか喃。

2012-11-03 20:40:45
神無月久音 @k_hisane

実際、刀は平時の武器で、戦時の武器である銃(小銃)と比べるものではない、というのは先に書いた通りで、「平時が戦時に移った時、平時の日常は破られる」というのが、「刀が銃に破れた」という表現になってるわけで砂。

2012-11-03 20:45:45
神無月久音 @k_hisane

まとめでも書いた通り、幕府戦力の核となるべき旗本の認識は、「まあ、銃を使うような戦にはならんだろ。戦ではこちらの人数が多いのだから、歯向かう奴も戦を挑むようなことはしないだろうし。それより、不逞浪士をなんとかしろよ。警備強化警備強化」と、こんなとこだったでしょうな。

2012-11-03 20:51:37
神無月久音 @k_hisane

だから、銃を使う訓練に人気はなく、入る奴もやる気がなく、そして、いざ、実戦になった時、訓練も覚悟もないから、装備はそこそこよくて、人数的には圧倒してても、ぼろぼろ崩れた、というわけで砂。

2012-11-03 20:53:50
神無月久音 @k_hisane

ただ、そんな彼らも、日常の中で発生する凶事(暗殺の横行など)には敏感だったわけで、その辺が、「だから起こるかどうかわからん戦のための銃より、万が一に備えて剣を使えるようにならないと」と、剣術隆盛につながったというわけで砂。

2012-11-03 20:57:40
神無月久音 @k_hisane

実際、対立する主張をする相手を暗殺、というのは頻発しており、その象徴とも言うべきものが井伊直弼の暗殺だったわけで砂。「テロは国家の気力体力を削る」というのはその通りで、だからこそ、テロ対策として剣術に期待が集まったと。浪士組結成も大元はその辺の対策の一環ですし喃。

2012-11-03 21:02:09
神無月久音 @k_hisane

これの悩ましいところは、テロする側にとっても剣術は有効だったわけで、「天誅」なんて言ってはいますが、要はテロだろと。幕末で剣といえば新撰組のイメージが強いですが、これを組織せざるを得なかったくらい、暗殺が横行してたという世情がまずあったわけで砂。

2012-11-03 21:16:08
神無月久音 @k_hisane

テロ側にしても、銃の入手は難しいし、そもそも銃は集団活用してナンボな訳で、己の主張を通す為の「暴力」として、手っ取り早く手元の「刀」を使おうとするのは普通の考えだろうと。その辺考えると「貧者の武器」ことAKよりも更に手近な存在だったのが「刀」という訳で砂。そりゃテロも横行するよと

2012-11-03 22:16:22
神無月久音 @k_hisane

体制が刀以上の武器の所持を規制し、それでいて刀はほぼ誰でも持っていて、それを奪うことは武士の価値観的に無理であり、それを扱うための術もその辺で学べるとなれば、テロ側にせよ、それを防ぐ側にせよ、そりゃ皆でして剣術を学ぶでしょうし、そんだけ皆でやれば、流行るのも当然で砂。

2012-11-03 22:20:35
神無月久音 @k_hisane

つまり、剣術の隆盛は「平時の混乱」あってのものであったわけで、その混乱が限界を越え、「戦時」になれば、そりゃ効果も減るだろと。「兵法のほか」であるところの、「たばかりと 矢とめかうおく 長具足 たぜひにぶぜひ」が全部解禁されるわけですから。

2012-11-03 22:30:33
神無月久音 @k_hisane

剣術は学ぶだけなら概ね誰でも学べたわけで、その意味では、諸刃の剣というか、剣は道具、剣術は技術、というお話で砂。島田虎之助が「剣は心なり。心正しからざれば、剣また正しからず。剣を学ばんと欲すれば、先ず心より学ぶべし」と言ったのは、その裏返しだったのかもで砂。

2012-11-03 21:28:28
神無月久音 @k_hisane

島田虎之助は勝海舟の師匠だったわけで、その影響を受けた海舟は、後にこう述懐してま砂。「坐禅と剣術とがおれの土台となって後年大層ためになった。瓦解の時分、万死の境を出入りして、ついに一生を全うしたのは、全くこの二つの功であった(続く)

2012-11-03 21:46:00
神無月久音 @k_hisane

(続き)ある時分、たくさんの刺客やなんかにひやかされたが、いつも手取りにした。この勇気と胆力とは、ひっきょう、この二つに養われたのだ」 【氷川清話-精神上の一大作用について】http://t.co/izJsFoI7

2012-11-03 21:47:09
神無月久音 @k_hisane

島田虎之助は男谷精一郎の高弟で、海舟に虎之助門下入りを進めたのは誠一郎と言われてま砂。というかこの人、海舟の従兄弟で、後に幕末の剣聖と称されるくらいの大剣士だったわけですが、そういう環境にあって尚、前に紹介した建白書を書かざるを得なかった海舟の心境も相当な複雑だったでしょうな。

2012-11-03 21:51:57

補足

神無月久音 @k_hisane

幕末に剣術が流行った理由の話から、新撰組についての会話に移ってからの話の流れを、@erokimotoさんにまとめて頂けたのでご紹介をば。 【新撰組の話から派生した会話まとめ】 http://t.co/K9enO2mn

2012-11-04 18:02:20