人に勧めるには注意を要するカー作品
さて、先日うっかりつぶやいてしまったお題、「人に勧めるには注意を要するカー作品」を何とかひねり出してみたので、お届けします。@mysteryEQさんのようにはうまくまとまっていませんが、ご容赦くださいませ。 では、まずは代表作っぽいところから5作。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:46:12その1『三つの棺』。鮮やかな現象を支える密室トリックが、少々凝りすぎている上に無理な部分もあり、また解明がやたらに煩雑で、一読してもよくわからない恐れあり。他の作品を読んでカーの作風に慣れた上で、余裕のある時に再読覚悟で臨むのが吉。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:46:37その2『ユダの窓』。トリックが超有名なため、読まずに敬遠されるきらいがなきにしもあらず。実はトリックを知っていても、法廷劇を通じて「いかに解明されるか」に重点を置いた倒叙ミステリとして、十分に楽しむことができる傑作。ただし版元品切れ中(涙)。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:46:55その3『皇帝のかぎ煙草入れ』。ゴテゴテしたところもなく読みやすく、トリックもシンプルな一発ネタで理解しやすい――つまりは「ちっともカーらしくない」傑作で、他の作品とのギャップが大きく、本書から入ると「次にどれを勧めるか」が難しくなる罠。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:47:20その4『帽子収集狂事件』。乱歩の高評価で有名ながら、カー好みの怪奇趣味もドタバタもなく、「カー=密室」とのイメージにもそぐわない、今ひとつ面白味をつかみにくい作品。じわじわと「味」が出てくる終盤まで持ちこたえられるかどうかが問題か。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:47:35その5『連続殺人事件』。これもトリックが超有名、しかも「穴」らしきものがあることまで有名(涙)。しかしプロットは十分に面白く、酔っぱらいのドタバタやヒロインのツンデレなど見どころもあり、意外とカー初心者向け。ただし絶賛品切れ中(涙)。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:47:52youmoutei ちなみに『連続殺人事件』は、実際にかつて某掲示板の読書会で、カーを読んだことがないという方々にも割と好評でした(ログはこれ http://bit.ly/dfFKLx )。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:49:29続いて、言われなくともあまり人には勧めなさそうなw、「人に勧めるには注意を要するカー作品」を5作。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:50:27その6『盲目の理髪師』。安楽椅子探偵の長編、なおかつ話の半分ですでに手がかりが示されるという、ユニークな作品。しかし本書の場合、何よりも「全編を通じて際限なく繰り広げられる、無茶苦茶なドタバタ劇を受け入れられるか?」――それがすべて。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:50:39その7『死者はよみがえる』。「意外すぎる犯人」シリーズその1。ピントが狂ったような不条理な謎もさることながら、おそらくほとんどの読者が唖然とさせられる犯人、そしてそれを成立させるための限りなく反則技に近い仕掛けは、逆に一読の価値がある、かも。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:50:52その8『五つの箱の死』。「意外すぎる犯人」シリーズその2。あまりに奇天烈な発端、殺人をよそに進んでいくプロット、そして極めつけに読者が途方に暮れること間違いなしの真犯人。よく考えると面白い趣向といえなくもないものの、強烈な脱力感が……。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:51:06その9『魔女が笑う夜』。カーのトリックに突っ込みだすときりがないので、バカトリックの代表作を。ドタバタ続きの展開からすると意外にシリアスな解決場面を、すっかり台無しにしてしまうほど凄まじい真相のくだらなさ(←ほめてます)が何とも。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:51:20その10『パンチとジュディ』。結婚式を翌日に控えた情報部員が、わけもわからないまま次々と巻き込まれる不可解な騒動から逃れようと奮闘する――このあらすじだけ見ても、カーに対するイメージが覆されること確実の怪作。いや、最後にはちゃんと謎解きが……w #air_mys_ken
2010-08-05 22:51:35その11『仮面荘の怪事件』。某短編を長編に仕立てたもので、短編ネタを強引に引き延ばしたために物語が中だるみしている上に、事件の結末がより後味の悪いものになっており、H.Mの奇術以外にはあまり見るべきところなし。マニア以外は某短編の方を読めば十分。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:53:54先に挙げた『ユダの窓』や『連続殺人事件』以外にも、『貴婦人として死す』や『プレーグ・コートの殺人』など、お勧めしたい作品が品切れ中なのが残念ですが、興味を持ってカー作品を手に取っていただければファンとしても幸いです。以上、お目汚し失礼しました。 #air_mys_ken
2010-08-05 22:57:34@daimokuzin18 個人的には『火刑法廷』は後にとっておいた方がよかった気がしますが、「妖魔の森の家」ともども傑作なのは確かですね。他の作品もぜひ。
2010-08-05 23:04:07@toru_hikawa ありがとうございます。いきなり『三つの棺』はやっぱりキツイんじゃないかと。私も何度か読みましたが、ちゃんと整理して理解できているのかどうか不安ですw
2010-08-05 23:08:48@narasinogonbe 私自身も結構そんな感じだったので、敬遠しがちだったんですが、読んでみるとトリックを知っていても面白かったです。
2010-08-05 23:23:36